お問い合わせの多い歯周病の治療について
今日はお話したいと思います。
歯周病の治療方法は様々あり、病気の進行程度や個人のご希望により、
何が自分に合った治療法なのかということは異なってきます。
基本的な治療法をご紹介しますので、
ご自身の治療を選択される際のご参考になさってください。
これらの治療法は単独で、または組み合わせて進められていきます。
ブラッシング指導
歯周病治療の最も基本的で重要な治療が、日々のご自身でのブラッシングです。
毎日歯磨きはしているけれど悪くなってきた、
というのは、「磨いて」いるけれども「磨けて」いない、
ということになります。
野球でもテニスでも、バットやラケットにボールが当たらなければ
球は飛んでいきません。
歯磨きも同じで、いくら磨いていても、
肝心な部分に歯ブラシが当たっていなければ歯垢は落ちませんし。
虫歯や歯周病といった病気になってしまいます。
当院でもブラッシング指導には十分お時間をいただいて、
ご自身の歯磨きでお口の健康を守れるようにご指導をしています。
スケーリング
歯に付着した歯垢や、それらが「石灰化」といってだ液中のカルシウムで硬く石になってしまった「歯石」を、「スケーラー」と呼ばれる器具で除去する治療法です。
歯石の表面はざらざらしているため、より多くの細菌が棲む棲みかとなります。
ハンドスケーラーといって手作業で少しずつ歯石を取るタイプのものと、
超音波スケーラー、エアースケーラーといって機械で歯石を取るタイプのものに大きく分けられます。
歯科医師や歯科衛生士が歯垢・歯石を取ることで、
歯茎に感染を起こす歯周病菌を取り除きます。
ルートプレーニング(SRP)
スケーリングと総称してスケーリング・ルートプレーニングの略称で
SRPと呼ばれます。
スケーリング終了後に歯根の表面に付着した汚染物質を取り除きます。
歯周病が進行して歯茎の奥深い場所に歯石がついている場合、
痛みが出るので麻酔をかけてから歯石を取ることも多いです。
痛みに敏感な方は事前に麻酔の希望を相談してみましょう。
この治療もスケーラーを用いて行われます。
フラップ手術
歯周病が進行している場合は、スケーリングやSRPだけで治癒を目指すことは難しくなり、外科治療のフラップ手術を行います。
切開をして歯茎の奥の歯石を取り、歯茎の形態も整えて歯磨きしやすい環境に整えます。
一連の処置の後は歯茎を縫い合わせます。
縫った糸は1週間程度で抜き、柔らかい歯ブラシでしばらくの間はお手入れをしていただきます。
術後にしみたり歯の揺れが出ることがあります。
歯周ポケットが深くなっているところは、外科手術ですっきりすることが多いですが、タバコを吸っている場合や歯ブラシに時間をかけられない方の場合は治りが悪いです。
歯周組織再生療法
上記のフラップ手術の処置に加えて、歯茎や骨の再生を促すたんぱく質を入れて治療する方法です。
エムドゲイン、リグロスといった材料が使われます。
再生療法は適用症が限られてくるため、誰でもどんな歯でも、
この処置を行えば歯を抜かずに歯周病を治せるというわけではありません。
歯科医師の診断の元、治る見込みがあると判断される場合のみ行います。
歯周組織再生療法は骨の再生を促し、処置後の歯茎の治りも促進されます。
フラップ手術同様に、喫煙している方や歯磨きが十分にできない場合はお勧めできません。
メインテナンス
歯周病治療の成功のカギとなるのは、基本治療の後の定期的なメインテナンスです。
歯周病菌はバイオフィルムという膜で歯の表面に繁殖します。
1~3か月ごとに歯科衛生士が器具・機械を用いて、歯のお掃除をします。
長い間治療に通ってせっかく治った歯周病もメインテナンスが途切れてしまうと、また再発していつの間にか進行してしまったということは珍しいものではありません。
歯周病は生活習慣病でもあり、痛みなどの症状が出ないものです。
何年もかかって徐々に進行していく病気ですので、
治療も何か月、場合によっては年単位で症状が落ち着くということもあります。
治った良い状態を維持するメインテナンスもお忘れなく。