神経を取った前歯が黒くなってきたら?

虫歯は進行度に応じて、治療法も変わってきます。比較的重症度の高い虫歯では、歯の神経を抜く処置が行われます。その後、歯の色が黒く変色していくケースは珍しくありません。それが目立ちやすい前歯ともなると、いろいろ問題も大きくなりますよね。そこで今回は、歯の神経を取った前歯が黒くなってきたときの対処法をわかりやすく解説します。

▼ホワイトニングでは改善できない?

歯科医院で受けられるホワイトニングというのは、基本的には「生活歯(せいかつし)」に対する処置法です。そのため、神経を取った歯に対しては、ホワイトニング効果が見込めません。ですから、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングといった一般的なホワイトニング法を受けても意味がないといえます。

ただ、神経を取った「失活歯(しっかつし)」に対しても効果が見込めるホワイトニング法もあります。「ウォーキングブリーチ法」というもので、歯の神経が収まっていた「歯髄腔(しずいくう)」という空間に、ホワイトニング剤を入れて歯を白くする方法です。この方法は、どの歯科医院でも行っているというわけではないので、まずは施術を受けられる歯医者さんを探すことが大切です。

▼被せ物で白くする

神経を取って黒ずんだ歯は、セラミック製の被せ物を装着することで変色を改善できます。審美歯科における「セラミック治療」と呼ばれるものですね。歯を削る必要はありますが、色や形、質感などを理想的なものに仕上げることが可能です。前歯というのは、口元の美しさを左右する重要なものなので、セラミック治療によって審美性を回復するのは、とても良い方法といえます。

▼抜髄による変色のデメリット

抜髄することによって前歯が変色した場合、主なデメリットとしては「審美性の低下」という点が挙げられます。ですから、上述したようなウォーキングブリーチやセラミック治療は、積極的に受けても良いといえます。ちなみに、歯の機能や健康面においては、それほど大きなデメリットはありません。黒くなったからといって、さらに歯質がもろくなるなどの弊害はありませんのでご安心ください。

▼まとめ

このように、神経を取った前歯が黒くなったら、その色を改善する歯科治療を受けた方が良いといえます。今回ご紹介した方法以外にも、ラミネートベニアのような比較的負担の少ない治療法もありますので、まずは歯医者さんに相談してみましょう。

糖尿病と歯周病

歯周病は、いろいろな病気との関連が指摘されています。その多くは、心筋梗塞や脳梗塞、誤嚥性肺炎など、命にかかる重篤な全身疾患ばかりです。なかでも糖尿病との関連には十分注意する必要があります。今回はそんな糖尿病と歯周病の関係についてわかりやすく解説します。

▼歯周病が糖尿病のリスクを引き上げる

歯周病が重症化すると、糖尿病の発症リスクが高まることがわかっています。これは歯周病菌や炎症性物質であるサイトカインが血流に乗って全身へと巡るからです。とりわけ、ある種のサイトカインは血液中のインスリンの効果を減弱することが判明しています。

インスリンというのは、血糖値を下げる大切なホルモンですよね。その機能が低下するのが糖尿病なので、サイトカインによるインスリンの効果減弱は、そのまま糖尿病の発症リスク上昇へとつながります。もうすでに糖尿病を発症している人は、その症状が悪化するのは言うまでもありませんね。

▼歯周病と糖尿病の負の相互作用

実は、歯周病と糖尿病というのは、負の相互作用があることもわかっています。つまり、歯周病が糖尿病のリスクを上昇させるだけではなく、糖尿病も歯周病のリスクを上昇させることがあるのです。そのため、歯周病が原因で糖尿病を発症した場合、今度は糖尿病のせいで歯周病の症状が悪化していくこととなります。そこで気になるのが「なぜ糖尿病が歯周病を悪化させるのか」という点ですよね。

▼糖尿病は末梢の血液循環を悪くする

糖尿病の主な症状は、血糖値の上昇です。食後に上昇する血糖を効率よく体に吸収させるためには、インスリンが欠かせません。糖尿病ではそんなインスリンの数が減ったり、機能が低下したりすることで、食後血糖が下がりにくくなるのです。その結果、血液循環が悪くなります。とりわけ、末梢の組織の細い血管には酸素や栄養素、免疫細胞などが行き届かなくなり、感染を引き起こしやすくなります。歯周病も細菌感染症の一種なので、糖尿病によって易感染性となることで、歯周病の発症リスクも高まるのです。

▼まとめ

このように、歯周病と糖尿病は負の相互作用という、切っても切れない関係があります。ですから、いずれの病気も発症した時点で早期に治療を受けることが望ましいです。逆にいうと、それぞれの病気をきちんと治療することで、今現れている症状も大きく改善していきますので、まずは歯医者さんで歯周病治療を始めてみませんか?

インプラント後のお手入れ

インプラントはかなり特殊な歯科治療といえます。人工歯根であるフィクスチャーを顎の骨に埋め込み、人工歯である上部構造をアバットメントで連結させます。そんなインプラントは、治療後のお手入れも一般的な修復物・補綴物とは異なる点があるので注意が必要です。そこで今回は、インプラント後のお手入れについてわかりやすく解説します。

▼インプラント後のセルフケア

インプラントは、天然の歯よりも汚れがたまりやすくなっています。人工歯である上部構造自体はセラミックで作られているので、比較的汚れが付着しにくくなっています。けれども、人工歯根と人工歯の連結部分は、天然歯とは少し異なる形態をとっていることから、汚れがたまりやすくなっているのです。

そのため、インプラント後のセルフケアでは、連結部分のブラッシングをていねいに行う必要があります。天然歯と同じようにザっと終わらせてしまうと、汚れがたまり、「インプラント周囲炎」というインプラント特有の歯周病を引き起こしてしまうため注意しましょう。

▼インプラントはメンテナンスが不可欠

インプラントを正常な状態で使い続けるためには、必ずメンテナンスを受けるようにしましょう。定期的に歯医者さんを受診して、インプラントやアバットメント、上部構造に異常が生じていないかをチェックしてもらうことが大切です。インプラントと上部構造を連結するネジが緩んでいたら、その場ですくに調節してくれますよ。何よりインプラントの洗浄を行ってもらえる点が大きなメリットといえます。

▼インプラントのプロフェッショナルケア

インプラントのメンテナンスに行くと、汚れがたまりやすい連結部分のクリーニングを受けることができます。やはり、この部分のお掃除はセルフケアのみでは不十分となりがちなので、プロフェッショナルを定期的に受けるのが望ましいのです。インプラントのタイプによっては上部構造とアバットメントを外してクリーニングすることも可能です。インプラント後はそうしたプロフェッショナルケアとセルフケアを両立させるようにしましょう。

▼まとめ

このように、インプラント後のお手入れは、通常の人工歯とは異なる点があります。とくに歯科医院で受けるプロフェッショナルケアは、絶対に自宅で行うことができないので、定期的に歯科を受診することが必要です。そうすることで、インプラントの寿命も10年、20年と長くなっていきますよ。

虫歯リスクを下げるには?

虫歯になると、歯を削るなどの嫌な思いをするので、可能な限り予防したいものですよね。そこで重要となるのが虫歯リスクを下げる方法です。ここではそんな虫歯リスクを下げる方法をわかりやすく解説します。

▼糖質の摂取を控える

虫歯は、ミュータンス菌に代表される虫歯菌に感染することで発症する病気です。虫歯菌は、スクロースのような糖質をエサにして生命活動を営みます。ですから、糖質の摂取量を控えるだけでも虫歯リスクを下げることが可能です。

例えば、普段は砂糖入りのコーヒーや紅茶を飲んでいる人は、ノンシュガーのものに代えるのはわかりやすい取り組みですね。それから、お菓子やスイーツも代用糖を使用しているものを選べば、虫歯菌がエサとすることができず、虫歯リスクも低下します。

ちなみに、糖質というのは砂糖だけに限ったものではありません。ご飯やパン、パスタといった「炭水化物」全般が糖質なので、その点でも踏まえた上で糖質の摂取量をコントロールするようにしましょう。

▼正しいブラッシング法を身に付ける

虫歯リスクを下げる方法として、最も効果的なのは正しいブラッシング法を身に付けることです。正しく歯磨きできれば、虫歯菌の温床となる歯垢や歯石が沈着することもありません。常にプラークフリーな状態を維持できるため、虫歯リスクも自ずと低下します。

そんな正しいブラッシング法は、歯科医院の「ブラッシング指導」で身に付けることができます。歯磨きの専門家である歯科衛生士が患者さまお一人おひとりに最適といえるブラッシング法をご提案しますので、まずはお気軽にご来院ください。

▼歯を強くする

虫歯リスクを下げる上でもうひとつ重要な要素が「歯質の強化」です。歯には「耐酸性能」という酸に対して抵抗する力が備わっているのですが、これが弱くなっていると容易に虫歯菌に溶かされてしまいます。ですから、歯科医院で「フッ素塗布」を受けて歯質の強化をはかりましょう。当院でも行っているフッ素塗布は、フッ素入り歯磨きの10倍程度のフッ素を作用させることから、歯を強くする効果も極めて高くなっております。もちろん、普段の歯磨きでもフッ素入りの製品を併用すれば、歯質強化作用も大きくなります。

▼まとめ

このように、虫歯リスクを下げるには、糖質の摂取を抑える、虫歯菌の数を減らす、歯を強くする、といった3点に着目することが大切です。効率的な虫歯予防法についてさらに詳しく知りたい方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。

歯茎が痩せるのはどうして?

歯周病にかかると、さまざまな症状が現れます。歯茎が赤く腫れたり、ブラッシング後に出血したりするのは、最もポピュラーな症状ですよね。その他、「歯茎が痩せる」という症状も認められることがあります。今回はそんな歯周病で、歯茎が痩せる理由をわかりやすく解説します。

▼軽度の歯周病では歯茎が増える?

比較的軽度の歯周病では、どちらかというと歯茎が増えたように見えます。これは歯茎に炎症が起こり、腫脹しているためです。そのため、実際に歯茎が増えているわけではないので注意しましょう。歯周病の治療が成功すると、歯茎は元の状態へと戻ります。けれども、歯周病が進行していく中で、歯茎は徐々に痩せていきます。この現象を不思議に思う方が少なくありません。

▼歯茎が痩せる理由

歯周病で歯茎が痩せる理由は至ってシンプルです。歯周病による炎症反応が進み、歯茎という組織が破壊されるからです。その状態を「歯茎が痩せる」「歯茎が下がる」など、いろいろな表現で表すことがありますが、要は歯茎の細胞自体が減っていってしまっているのです。

実際、重度の歯周病の患者さんでは、歯茎という組織が減少し、歯の根元まで露出するようになります。そうした失った歯茎の細胞は、そう簡単に元には戻せません。さらに深刻なのは、歯茎だけではなく、顎の骨まで痩せていく現象です。

▼顎の骨が痩せる理由

中等度から重度の歯周病では、歯茎に加え「歯槽骨(しそうこつ)」と呼ばれる顎の骨まで痩せていきます。この症状は、レントゲン撮影をすると一目瞭然です。歯の周囲の骨が溶けてなくなってきているので、黒く透けて見えます。こうした所見を専門的には「骨吸収」と呼びますが、一般的には「骨が痩せる」ともいいます。骨が痩せていくと、いよいよ歯を支えきれなくなり、グラグラと動揺するようになるのです。

▼歯茎が痩せる前に治療を開始する

歯茎が痩せるということは、もうすでに歯周組織の破壊が始まっていることを意味します。そこから治療を開始したのでは、歯周病を完治させるのも困難となります。ですから、歯周病は歯茎が痩せる前に治療を開始することが大切です。3ヶ月に1回程度の定期検診を受けていただければ、比較的早期に歯周病を発見することが可能となりますよ。

▼まとめ

このように、歯茎が痩せるのは、歯周病が進行している証拠ですので、一刻も早く治療を受けるようにしましょう。早期に治療を始めることができれば、基本的な治療だけでも症状を改善することができます。