歯周病は、いろいろな病気との関連が指摘されています。その多くは、心筋梗塞や脳梗塞、誤嚥性肺炎など、命にかかる重篤な全身疾患ばかりです。なかでも糖尿病との関連には十分注意する必要があります。今回はそんな糖尿病と歯周病の関係についてわかりやすく解説します。
▼歯周病が糖尿病のリスクを引き上げる
歯周病が重症化すると、糖尿病の発症リスクが高まることがわかっています。これは歯周病菌や炎症性物質であるサイトカインが血流に乗って全身へと巡るからです。とりわけ、ある種のサイトカインは血液中のインスリンの効果を減弱することが判明しています。
インスリンというのは、血糖値を下げる大切なホルモンですよね。その機能が低下するのが糖尿病なので、サイトカインによるインスリンの効果減弱は、そのまま糖尿病の発症リスク上昇へとつながります。もうすでに糖尿病を発症している人は、その症状が悪化するのは言うまでもありませんね。
▼歯周病と糖尿病の負の相互作用
実は、歯周病と糖尿病というのは、負の相互作用があることもわかっています。つまり、歯周病が糖尿病のリスクを上昇させるだけではなく、糖尿病も歯周病のリスクを上昇させることがあるのです。そのため、歯周病が原因で糖尿病を発症した場合、今度は糖尿病のせいで歯周病の症状が悪化していくこととなります。そこで気になるのが「なぜ糖尿病が歯周病を悪化させるのか」という点ですよね。
▼糖尿病は末梢の血液循環を悪くする
糖尿病の主な症状は、血糖値の上昇です。食後に上昇する血糖を効率よく体に吸収させるためには、インスリンが欠かせません。糖尿病ではそんなインスリンの数が減ったり、機能が低下したりすることで、食後血糖が下がりにくくなるのです。その結果、血液循環が悪くなります。とりわけ、末梢の組織の細い血管には酸素や栄養素、免疫細胞などが行き届かなくなり、感染を引き起こしやすくなります。歯周病も細菌感染症の一種なので、糖尿病によって易感染性となることで、歯周病の発症リスクも高まるのです。
▼まとめ
このように、歯周病と糖尿病は負の相互作用という、切っても切れない関係があります。ですから、いずれの病気も発症した時点で早期に治療を受けることが望ましいです。逆にいうと、それぞれの病気をきちんと治療することで、今現れている症状も大きく改善していきますので、まずは歯医者さんで歯周病治療を始めてみませんか?