フッ化物の安全性について

こんにちは。
深井駅前 Miho歯科医院 院長の前原です。
今回は、フッ化物の安全性についてお話していきます。

最近では、虫歯予防としてフッ素配合の歯磨き粉が販売されたり、フッ化物洗口が行われていたりします。
これから、その安全性について説明していきます。

①フッ素とは
まず、フッ素のことについて説明します。
フッ化物には、その名の通りフッ素が含まれています。
フッ素とは、元素の名前です。中学校、高校で聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
原子番号9番、元素記号はFです。
フッ素は、海水や土壌の中だけでなく、私たちが普段口にする食べ物の中にも含まれています。
日頃普通に飲んだり食べたりしているのです。

②フッ素の効果
フッ素は、私たちの体に良い影響を及ぼします。
主な効果を、3つ紹介します。
・エナメル質を強化する
歯の表面にあるエナメル質を強化し、酸に対する抵抗性を増加させます。
・歯の再石灰化を促進する
エナメル質に、酸による少しのカルシウムの損失が起きても、フッ素が歯質の再石灰化を促進します。
再石灰化とは、失われたカルシウムが再び戻る現象のことです。
・細菌の活動を抑制する
フッ化物の水溶液に生じるフッ化イオンには、抗菌作用があります。
その作用が、プラーク中に潜むう蝕の原因菌が産生する酵素の働きを阻害したり、酸を産生する能力を抑制してう蝕を予防します。

このように、むし歯に対して大きな効果があり、日本の小学校でもフッ化物洗口が行われています。
実際、フッ化物洗口が行われている都道府県ではむし歯になる子供が激減しているというデータもあります。
さらに、世界ではフッ化物を水道水に含ませている国もあります。
一定量以上のフッ化物を含んだ水道水を使っている地域の住人には、むし歯が少ないということが研究によって分かりました。
そのことから、適正なフッ化物濃度の水を利用した「水道水フロリデーション」が生まれました。
54カ国以上、4億4000万人ほどがこれの恩恵を受けています。

③フッ化物の利用方法
フッ化物を効果的に利用するためには、「低濃度」「高頻度」の2つが非常に重要です。
歯科医院では、定期健診で高濃度のフッ化物を使用することがありますが、それだけでは不十分です。
フッ化物は、歯だけでなく、血液や唾液を通して全身に作用します。
その効果を十分に発揮させるためには、家でのケアも大切になります。

フッ素やフッ化物が心配だという方は、安心してください。
フッ化物の安全性は、科学的に証明されています。
上記のように、日本国内だけでなく、世界でもフッ化物は歯の健康のために利用されているのです。
むし歯など、歯の病気に対して大きな効果を発揮するので、積極的に利用してみてください!

妊娠による口腔内の変化

こんにちは。
深井駅前 Miho歯科医院 院長の前原です。
今回は、妊娠による口腔内の変化についての関わりについてお話していきます。

妊娠による母体への変化と言われると、みなさんは何を思い浮かべますか?

つわり、お腹の張り、体のむくみなどが代表的な変化として認識されていることが多いと思います。実は妊娠による変化は口腔内にもあるのです。

その変化とは、「唾液の分泌量が減って口の中がネバネバする」といった症状や、「唾液の分泌が多すぎて気持ちが悪い」といった症状まで様々です。それだけではなく、口腔内の環境を整えていた唾液の働きが低下するため、口の中にプラークという細菌が溜まり、虫歯が発症、進行しやすくなります。また、嗜好の変化やつわりの影響により、唾液が酸性に傾き、歯のエナメル質を弱くしてしまいます。その他にも、「何か食べてないと気持ちが悪くなる」といった食べづわりで食事回数が増えたり、不規則になったりすることで、口腔内の環境が悪化します。加えて、歯磨きそのものが気持ち悪くなってしまうという妊婦さんも多くいらっしゃいます。

「妊娠と歯周病」

妊娠すると女性ホルモンのエストロゲンや黄体ホルモンが増えるため、唾液や歯ぐきの溝からでてくる組織液の中の女性ホルモン濃度も上昇します。それは妊娠していないときの10〜1000倍とも言われています。

歯周病菌は女性ホルモンを栄養素とするので、女性ホルモンが増加すると歯周病菌も同時に増えます。そのため、妊娠関連性歯肉炎が起こりやすいと言われています。

加えて、歯周病にかかると低体重児出産のリスクが5〜7倍に膨らむといわれています。歯周病の炎症があると、子宮を収縮させる作用がある物質の血中濃度が高まるとされているからです。その物質の中には陣痛促進剤として使われるほど子宮収縮作用が強いものもあるため、歯周病が悪化すると早産や低体重児出産の可能性が高まるのです。

「妊娠中のお口ケア」

妊娠すると口腔内に様々な変化が生じ、それは胎児にも影響を及ぼすかもしれません。では、妊娠中のお口ケアはどのように行えばよいのでしょうか。

妊娠中はつわりや食の好み変化、体調の変化などによって、食事回数の増減があり、それに伴って歯磨きも不十分になりがちです。

しかし、そのようなときは無理のない範囲内で歯磨きを心がけましょう。気分がよいときにささっとブラッシングを行えるように、洗面所だけでなく、キッチンやリビングといった目につく場所に歯ブラシを置いておき、できるときにブラッシングをする方法がオススメです。

また、虫歯予防に効果があるキシリトール成分が含まれているガムやタブレットを摂取することも効果的です。プラークの粘着性を低めたり、唾液の分泌が増えて歯の再石灰化を促進する効果が期待されるためです。また、食後に水で強めにブクブクとうがいをするだけでも、食べかすを洗い流す効果があります。 できる範囲でお口の中を清潔に保つことを心がけましょう。