顕微鏡を用いた歯科治療

最近、歯科治療の際に顕微鏡を用いる歯医者さんが増えてきました。マイクロスコープとも呼ばれる歯科用顕微鏡は、治療の精度を上げてくれる素晴らしい医療機器です。当院でも6年ほど前から顕微鏡を導入して治療してきました。今回はそんな歯科用顕微鏡の特徴やメリット、デメリットをわかりやすく解説します。

▼肉眼の視野を20倍まで拡大

歯科用顕微鏡を用いると、最大で肉眼の20倍まで視野を拡大することができます。歯というのはそもそも、とても小さな組織なので、通常のむし歯治療でも視野の狭さに苦しめられるものです。それが根管治療ともなると、ほぼ盲目的な処置とならざるを得ないのです。そんな時、歯科用顕微鏡を活用することができれば、治療の精度も大きく向上します。

また、顕微鏡には明るい照明が付いています。口の中で精密な作業をするには薄暗くては不可能です。

明るい視野で大きく拡大して治療することで精密な治療が可能となります。

▼一般の歯科医院でも導入している?

歯科用顕微鏡は、大学病院のような大きな医療施設には必ずといって良いほど完備されていますが、一般の歯科医院となると一部に限られます。全国で数パーセント程度と言われます。

また、歯科用顕微鏡を用いて治療を行うには、それなりの経験が必要となることから、歯医者であれば誰でも使いこなせるということでもないのです。そういった点から、歯科用顕微鏡による処置をお願いするのであれば、できるだけ経験豊富な歯医者さんにお願いした方が良いといえます。顕微鏡を使いこなすためのトレーニングを受けたり、顕微鏡用の機材を揃えたり、顕微鏡治療のためのアシスタントを配置したり、顕微鏡のある歯科医院ではさまざまな配慮がされています。

▼保険は適用される?

歯科治療に歯科用顕微鏡を用いる場合、原則的には保険適用されません。ですから、その費用を歯科医院側が負担するか、患者さんが負担するかしなければ、歯科治療で活用することは難しいといえます。とはいえ、適切な方法でマイクロスコープを活用すれば、治療の精度が上がり、再発のリスクは大きく減少するので、結果的に治療費が安くなることも珍しくありません。そのため、費用が少し高くなるからといって、歯科用顕微鏡による治療をあきらめるのももったいないことといえます。大切なのは何に重きを置くかです。

▼歯科用顕微鏡を活用できる歯科治療

歯科用顕微鏡は、主に根管治療で活用されます。その他、通常のむし歯治療で活用している歯科医院もあります。ですので、活用できる治療というのは必ずしも限定されているわけではありません。処置を施す上で有利に働くのであれば、積極的に活用した方が良いといえます。

▼まとめ

このように、歯科用顕微鏡は治療の精度を大きく向上させる素晴らしい医療機器です。保険が適用されないというデメリットを覗けば、メリットばかりなので積極的に活用していくことをおすすめします。

ダイレクトボンディングとは

最近の歯科治療は、MI(ミニマルインターベンション)という考え方が主流となってきています。日本語では「最小限の侵襲」と直訳できるのですが、簡単にいうと「できるだけ削らない、抜かない治療」を意味します。そんな考え方を実現する上で非常に有用なのが「ダイレクトボンディング」という治療法です。今回はそんなダイレクトボンディングの特徴やメリット、デメリットについてわかりやすく解説します。

▼コンポジットレジンによる治療

ダイレクトボンディングと聞くと、何か特別な治療法のような気がしますがしますよね。けれども実は、とても身近な治療法のひとつがダイレクトボンディングなのです。具体的にいうと、ちょっとしたむし歯治療で使われる「コンポジットレジン」による修復処置がそれに当たります。

例えば、歯の表面に小さな穴が開いたむし歯では、細菌に感染した歯質だけを取り除いて、あとはコンポジットレジンを充填しますよね。その際、歯の型取りを行って模型を製作するようなプロセスは踏まず、直接レジンを接着します。これがまさに「ダイレクトボンディング」なのです。

▼歯質を失う量を最小限に抑えられる

ダイレクトボンディングの最大のメリットは、失う歯質の量を最小限に抑えられるという点です。むし歯治療で、詰め物や被せ物などを製作する場合、一定量の歯質の削除が必要となります。これは修復物や補綴物を歯質にしっかり接着させるために、いろいろな形態を付与する必要があるからです。とくに、クラウンのような被せ物を装着するとなると、かなりの歯質を削らなければなりません。その点、ダイレクトにレジンを接着できるダイレクトボンディングなら、むし歯菌に侵された歯質だけを取り除けば良くなります。

▼治療時間が短い

ダイレクトボンディングのメリットとしては、「治療時間が短い」という点も挙げられます。上述したように、ダイレクトボンディングでは歯を削る量が少なく、修復物を製作するための型取りなども不要となることから、その日に治療が完了することも珍しくありません。これもまた患者さまにとっては大きなメリットのひとつといえます。

▼まとめ

このようにダイレクトボンディングには、いろいろなメリットがあります。もちろん、適応範囲が限定されているというデメリットもありますので、そうしたメリットとデメリットを勘案した上で治療選択することが望ましいです。

マウスウォッシュについて

歯磨きだけではなく、いろいろなオーラルケアを取り入れている人も多いかと思います。その中でもマウスウォッシュまで習慣化している人は意外に少ないものです。今回はそんなマウスウォッシュの効果やメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

▼マウスウォッシュとは?

マウスウォッシュとは、いわゆる「洗口液」です。いろいろな成分が含まれた薬液を口に含んで、ぐちゅぐちゅとうがいをします。最も有名な洗口液はリステリンですね。もうすでに日々のオーラルケアに活用している人もいらっしゃるかもしれませんね。

▼マウスウォッシュに効果はある?

マウスウォッシュでよく問題となるのが、そもそも虫歯や歯周病予防に効果があるのか、という点です。マウスウォッシュ自体には、そこまで強力な殺菌作用や虫歯・歯周病予防の効果は期待できます。そんなに強い消毒液は、お口の中で使うことができないからです。けれども、お口の中の細菌の数を少し減らしたり、繁殖を抑えたりする効果はあります。ですから、毎日こまめに使っていくことで、虫歯や歯周病予防に大きく貢献するといえます。

▼歯磨きも必要

上述したように、マウスウォッシュ単独では、高い洗浄効果は期待できません。歯磨きを行わず、マウスウォッシュだけでオーラルケアを済ませていると、歯垢や歯石が徐々に溜まっていきます。ですから、当然ではありますが歯ブラシによるブラッシングも必ず行うようにしましょう。

ただ、出先などで歯磨きできないような状況では、マウスウォッシュだけでも虫歯予防に大きな効果を発揮します。やはり、食事のあと何もせず放置すると、食べかすをエサとして細菌が繁殖してしまうものです。そうした食べかすを洗い流したり、細菌の活動を低下させたりする上でマウスウォッシュは有用といえます。

▼高齢者にはとくにおすすめ

高齢の方は、唾液の分泌量が低下したり、上手に歯磨きできなくなっていたりするものですから、マウスウォッシュでお口の中のきれいにすることはとても良いことです。お口の中がきれいになれば、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などの重病を予防することにもつながります。

▼まとめ

このように、マウスウォッシュは単独で大きな効果を発揮するものではありませんが、ブラッシングと併せて行うことで、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らすことが可能です。

歯の神経を保存するMTAセメントとは?

MTAセメントは「Mineral Trioxide Aggregate」の略で、歯科用のセメントです。ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、酸化ビスマス、石膏などが主な成分です。

MTAセメントは強アルカリ性(PH12)で、強い殺菌作用をもちます。
お口の中のように唾液があって水分の多い状態でも硬くなる性質を持っています。

歯の中の神経にまで達した深い虫歯の場合、神経を取る治療を行わないといけなくなります。しかし歯の神経を取ると、

①歯がもろくなる、

②虫歯の再発に気づきにくいため結果的に抜歯が必要になってしまう、

③大きく削るため歯の強度が弱くなる、

などの理由により、歯の寿命が短くなる可能性が高くなります。

MTAセメントを使用した治療は、このような根管治療を回避し、できるだけご自身の歯を長持ちさせるとして、最近注目されている治療方法です。

具体的には露出した神経や血管をMTAセメントで覆うことによって歯の神経を残します。

【MTAセメントのメリット】

●水、組織液などで濡れている状態でも硬化する
口の中は水分、組織液、血液などで湿った状態です。ほかのセメントは、通常湿った状態だと固くならなかったり、接着力が低下したりしますが、MTAセメントは濡れている状態でも硬化します。

●強い殺菌作用
MTAセメントは強アルカリ性(PH12)で、強い殺菌作用をもっています。 通常ほとんどの細菌は、PH9.5で破壊されます。

●生体親和性が高い
MTAセメントは体の中に入れても悪い影響の少ない、体にやさしい素材です。

●セメントが硬化するときに膨張する
MTAセメントは硬化するときに膨張します。細かな隙間がうまることにより緊密に患部を封鎖することが可能になります。

●良質なデンチンブリッジ(保護層)が形成される
MTAセメントを使用すると良質なデンチンブリッジ(保護層)が形成されます。それによって患部に細菌が入り込むのを食い止める効果も期待できます。

【MTAセメントのデメリット】

・変色する場合があります。(前歯の治療では要注意)
・非常に高価です。1グラムあたりが金よりも高価になります。
・ほとんどのケースで保険適用外となります。(クリニックにより治療費は異なります)
・根管内に入れた場合、固いので除去が困難になります。(今後の再治療が困難)
・扱い方が少しむずかしく、操作性が悪くなります。(治療テクニックが難しい)


歯を抜かず自分の歯で過ごすために、MTAセメントは有効な症例があります。

高強度ガラスセラミック e.maxとは

こんばんは。

堺市中区 深井駅前のMiho歯科医院 院長の前原です。

現在、審美歯科治療で人気の「e.max」について、解説したいと思います。

どうぞ最後までお付き合い下さい。

前歯6本をe-max で治療した症例です。

古くなった被せものを外して作り変える際にかみ合わせも整えました。

前歯の印象がガラリと変わりました。

セラミックは自分の歯のような透明感や艶があるので、

特にこのようにパッと見て目が行く部分に使用することで

その良さを実感できると思います。

e-maxはエンプレスマックスの意味を持つシステムで、

ニケイ酸リチウムガラスセラミックを主成分にしたセラミックの種類です。

ガラスで出来ているので非常に透明感があり、色調がとても綺麗です。

強度も日常生活には十分あります。

デメリットは自費治療であること、

歯を削る量が金属を使った治療よりも多くなること

歯ぎしり・噛み締めで割れるリスクがあること

などです。

自然な色調は多くの方に喜ばれています。

<症例の解説>

上の前歯6本をセラミックで被せました。

治療期間:約1ヶ月

リスク、副作用:しみる事がある、痛みが出ることがある。人によっては削ることにより歯の神経を取る必要がある、麻酔をした部分のむくみや内出血を生じることがある

費用:総額858,000円 プラス処置費用(保険負担分)

セラミックは周りに発生する虫歯(二次う蝕)が少なく、

汚れ(プラーク)がつきにくいので歯茎が腫れたりしにくいのが長所です。

入れたあとで10年、20年と良好に保っている方も多いです。

保険適用の被せもので金属の「銀歯」と呼ばれるものは4−5年で虫歯が再度発生してくると言われます。

何度も削るとそのうち抜歯になってしまいます。

将来の抜歯を避けるためにセラミック治療を選択することはご自身の歯を保つためにもおすすめできる治療です。