歯周病にどうしてなるのか

歯周病は、日本人の成人の8割以上がかかっていると言われている病気です。

ここまで多いと日本人の国民病といっても過言ではありませんが、そもそもなぜ歯周病を発症するのでしょうか?

▼歯周病は細菌感染症

歯周病は虫歯と同じ細菌感染症の一種です。P.g菌に代表される歯周病菌に感染することで発症します。

ですから、大元となるのは歯垢や歯石といったお口の中の汚れであり、不衛生な口腔環境といえます。

▼細菌が増えることで発症する

実は歯周病菌も多くの人のお口の中に存在しています。

歯周病菌というのは、虫歯菌と同じように、唾液を介しても感染するものなので、恋人間や家族内でも細菌が広がっていくものなのです。

ただ、細菌の数が少ないうちは歯周病を発症することがありません。

歯茎にも病原体と戦う力が備わっていることから、そう簡単に炎症などを起こすこともないからです。

けれども、お口の中が不潔になると細菌の数も増え、歯茎の免疫力も十分な効果を発揮できなくなります。

▼歯石の形成が重要なカギを握る

虫歯の発症には、主に歯垢が関与しているといえます。専門的にはプラークと呼ばれるものですね。

プラークはその大半が細菌によって構成されており、病原性は非常に高いです。

そんな細菌の塊が歯の表面に長く付着していると、歯が溶かされていきます。

そうして虫歯を発症します。

一方、歯周病の主な原因となるのは歯石です。歯石は歯垢が石灰化を受け、石のように硬くなった物資です。

歯と歯茎の境目や歯周ポケットの奥深くに形成されやすいです。

歯石も細菌の絶好の住みかとなるだけではなく、常に歯茎と接することとなり、歯周病のリスクを大きく上昇させるのです。

そのため、歯周病を発症している人は、歯石が堆積していることが多いです。

▼歯石は歯ブラシで取り除けない

歯石というのは、とても硬い組織なので歯ブラシでゴシゴシ磨いても取り除くことができません。

ですから、一度歯石が形成されてしまうと、常に歯周病のリスクにさらされることとなるため要注意です。

そんな歯石は、歯科医院で受けるスケーリングによってと取り除くことができます。

歯石が形成されやすい人は、定期的に歯科を受診して、歯石除去やブラッシング指導を受けることが大切です。

▼まとめ

このように、歯周病はお口の中で歯周病菌が繁殖することで発症する病気です。

それだけに歯周病を予防するためには、日々のオーラルケアを徹底することが大切です。

酸蝕症とは

皆さんは、虫歯以外でも歯が溶ける病気があるのをご存知でしょうか?

「酸蝕症(さんしょくしょう)」と呼ばれるもので、昨今、その危険性が指摘されています。

今回はそんな酸蝕症の症状や予防法についてわかりやすく解説します。

▼酸蝕症ってなに?

酸蝕症とは、酸によって歯が溶ける病気です。

そう聞くと虫歯が思い浮かびますが、酸蝕症は虫歯とは無関係です。

厳密にいうと、細菌感染による歯質の溶解ではなく、単純な酸刺激が原因の病気です。

▼酸蝕症の原因

酸蝕症の主な原因は、酸性の飲食物です。よく話題に上がるのはスポーツドリンクですね。

スポーツドリンクは、飲むとお口の中を酸性に傾けてしまいます。

一度や二度、口に含んだだけでは歯も溶けませんが、日常的に飲んでいると歯質が徐々に溶解していきます。

これは唾液による緩衝作用が追い付かなくなるからです。

その他、逆流性食道炎や拒食症などで、胃酸の逆流が頻繁に起こる場合も酸蝕症のリスクが高まります。

▼脱灰と再石灰化のバランス

私たちの歯は、常に脱灰と再石灰化を繰り返しています。

脱灰とは酸によって溶けることで、再石灰化とは溶けた歯質を修復する作用です。

これらがバランスよく生じることで歯も正常な状態を保つことができます。

酸性の飲み物ばかり飲んでいると、そのバランスが崩れ、脱灰ばかりが生じてしまうのです。その結果、酸蝕症を引き起こします。

▼酸蝕症の予防法

酸蝕症は細菌感染症ではありませんが、放置することで着実に歯が溶けていきます。

そうした失われた歯質は元に戻りませんので、虫歯と同じように予防することが大切です。

具体的には、スポーツドリンクやジュースなどの清涼飲料水を頻繁に飲むことを控えることが大切です。

水やお茶であれば、お口の中のpHが酸性に傾くこともありませんので、頻繁に摂取してもとくに問題はありません。

それからワインやウィスキーなどをチビチビと飲む習慣も酸蝕症の原因となるため控えることが大切です。

そうした飲み物は嗜好品でもあることから、一切控えるのも辛いことかと思いますので、口に含んだ際にはしっかりとオーラルケアをすることが大切です。

▼まとめ

このように、酸蝕症は虫歯ではありませんが、歯が溶けてしまう怖い病気です。

その原因も明らかなので、心当たりのある人は食生活を見直すよう努めましょう。

虫歯ではないにしても歯が溶けてしまったら、同様に詰め物や被せ物を装着しなければならなくなります。