歯茎が痩せるのはどうして?

歯周病にかかると、さまざまな症状が現れます。歯茎が赤く腫れたり、ブラッシング後に出血したりするのは、最もポピュラーな症状ですよね。その他、「歯茎が痩せる」という症状も認められることがあります。今回はそんな歯周病で、歯茎が痩せる理由をわかりやすく解説します。

▼軽度の歯周病では歯茎が増える?

比較的軽度の歯周病では、どちらかというと歯茎が増えたように見えます。これは歯茎に炎症が起こり、腫脹しているためです。そのため、実際に歯茎が増えているわけではないので注意しましょう。歯周病の治療が成功すると、歯茎は元の状態へと戻ります。けれども、歯周病が進行していく中で、歯茎は徐々に痩せていきます。この現象を不思議に思う方が少なくありません。

▼歯茎が痩せる理由

歯周病で歯茎が痩せる理由は至ってシンプルです。歯周病による炎症反応が進み、歯茎という組織が破壊されるからです。その状態を「歯茎が痩せる」「歯茎が下がる」など、いろいろな表現で表すことがありますが、要は歯茎の細胞自体が減っていってしまっているのです。

実際、重度の歯周病の患者さんでは、歯茎という組織が減少し、歯の根元まで露出するようになります。そうした失った歯茎の細胞は、そう簡単に元には戻せません。さらに深刻なのは、歯茎だけではなく、顎の骨まで痩せていく現象です。

▼顎の骨が痩せる理由

中等度から重度の歯周病では、歯茎に加え「歯槽骨(しそうこつ)」と呼ばれる顎の骨まで痩せていきます。この症状は、レントゲン撮影をすると一目瞭然です。歯の周囲の骨が溶けてなくなってきているので、黒く透けて見えます。こうした所見を専門的には「骨吸収」と呼びますが、一般的には「骨が痩せる」ともいいます。骨が痩せていくと、いよいよ歯を支えきれなくなり、グラグラと動揺するようになるのです。

▼歯茎が痩せる前に治療を開始する

歯茎が痩せるということは、もうすでに歯周組織の破壊が始まっていることを意味します。そこから治療を開始したのでは、歯周病を完治させるのも困難となります。ですから、歯周病は歯茎が痩せる前に治療を開始することが大切です。3ヶ月に1回程度の定期検診を受けていただければ、比較的早期に歯周病を発見することが可能となりますよ。

▼まとめ

このように、歯茎が痩せるのは、歯周病が進行している証拠ですので、一刻も早く治療を受けるようにしましょう。早期に治療を始めることができれば、基本的な治療だけでも症状を改善することができます。