「昔入れた銀歯があるけれど、このまま使っていて大丈夫?」
「痛くなくても銀歯は交換した方がいい?」
「セラミックに替えると何が違うの?」
このような質問を診療室でもよくいただきます。
最初に結論をお伝えすると、銀歯には「○年経ったら必ず交換」という一律の交換時期はありません。
大切なのは使用年数だけではなく、
- 銀歯と歯の境目に隙間がないか
- 銀歯の内部にむし歯ができていないか
- 歯や銀歯にひび・欠けがないか
- 噛み合わせに問題がないか
- 歯ぐきの状態は良いか
などを歯科医院で確認することです。
一見すると問題なく使えている銀歯でも、その内側でむし歯が進行していることがあります。
今回は、銀歯をセラミックに交換するタイミングや、セラミック治療のメリット・注意点、治療期間について、歯科医師の立場からわかりやすく解説します。
銀歯は何年くらいで交換するもの?
銀歯は「5年経ったら交換」「10年経ったら交換」というものではありません。
詰め物や被せ物の寿命は、
歯の状態、むし歯の大きさ、噛む力、歯ぎしり・食いしばり、歯磨きの状態、使用する材料、接着方法、定期的なメンテナンスなどによって大きく変わります。
そのためMiho歯科医院では、単純に年数だけを理由に銀歯を外すのではなく、歯と修復物の境目やレントゲン、噛み合わせなどを確認したうえで判断しています。
痛くない銀歯でも注意が必要です
銀歯が外れていないからといって、内部まで問題がないとは限りません。
銀歯と歯の境目から細菌が入り、詰め物や被せ物の下で再びむし歯になることを「二次う蝕(二次むし歯)」と呼びます。
二次むし歯は銀歯の下で進行するため、患者さん自身では見つけにくいことがあります。
痛みが出た時にはむし歯が神経近くまで進んでいることもあるため、古い銀歯がある方は定期的に状態を確認することをおすすめします。

銀歯の交換を検討した方がよいサイン
次のような状態がある場合は、一度歯科医院で診てもらうとよいでしょう。
1.銀歯と歯の境目が黒くなっている
着色だけの場合もありますが、境目からむし歯が進んでいる可能性もあります。
2.銀歯が浮いている、段差がある
修復物と歯の適合が悪くなっている場合があります。
3.噛んだ時に違和感や痛みがある
むし歯だけでなく、歯のひびや噛み合わせなどが関係していることがあります。
4.銀歯が欠けた・外れた
外れた銀歯をそのまま戻せる場合もありますが、内部にむし歯がある場合には再治療が必要です。
5.銀歯を入れてから長期間、歯科検診を受けていない
症状がなくても、一度状態を確認することをおすすめします。
銀歯をセラミックに交換するメリット
セラミックというと「白くてきれいな歯」というイメージが強いかもしれません。
もちろん審美性は大きなメリットですが、私がセラミック治療で大切だと考えているのは、見た目だけではなく、歯をできるだけ長く良い状態に保つことです。
天然歯に近い色や透明感を再現できる
セラミックは天然歯に近い透明感や色調を再現できます。
笑った時に見える小臼歯や前歯では、特に自然な仕上がりを希望される患者さんが多くいらっしゃいます。
金属を使用しない治療が選択できる
オールセラミックやジルコニアなど、金属を使用しない修復方法を選択できます。
歯科用金属に対するアレルギーが心配な方にとって、メタルフリー治療は選択肢の一つになります。
ただし、皮膚症状などがある場合には自己判断で原因を銀歯と決めつけるのではなく、必要に応じて皮膚科などで金属アレルギーの検査を受けることも大切です。
汚れが付着しにくい
セラミックは表面が滑らかで、プラークが付着しにくいという特徴があります。
ただし、セラミックにすればむし歯にならないわけではありません。
セラミックと自分の歯との境目には毎日の歯磨きが必要ですし、定期的なメンテナンスも重要です。
接着技術を利用できる
現在のセラミック治療では、修復物を単純にはめ込むだけではなく、接着性レジンセメントなどを使用して歯と接着させます。
この「接着」はセラミック治療の重要なポイントです。
治療する歯の状態や残っている歯質、使用する材料に合わせて適切な接着操作を行うことが、長期的な安定につながります。

セラミックは何年くらい持つ?
これも非常によく聞かれる質問です。
セラミックだから必ず何年持つ、と一律に決めることはできません。
海外のシステマティックレビューでは、セラミックのインレー・アンレーなどの部分修復について、5年で約9割以上、10年でも約9割前後が機能していたという報告があります。
一方で、破折、脱離、二次むし歯、歯の神経の問題などによって再治療が必要になる場合があります。
つまり、
「セラミック=永久に持つ」ではありません。
長く使うためには、材料そのものだけでなく、
治療前の診断、むし歯を適切に除去すること、残っている歯をできるだけ保存すること、適切な接着、噛み合わせの調整、そして治療後のメンテナンスまでが重要です。
歯ぎしりや食いしばりが強い方では、就寝時にマウスピースを使用していただくこともあります。
銀歯からセラミックへ交換する治療の流れ
まず銀歯を外して、その下の歯の状態を確認します。
ここが非常に重要です。
銀歯を外してみると、
「中の歯はほとんど問題なかった」
という場合もあれば、
「銀歯の下にむし歯が広がっていた」
という場合もあります。
むし歯があれば感染した部分を取り除き、必要に応じて歯を補強したうえでセラミックを製作します。
神経まで感染が達している場合には、先に根管治療が必要になることもあります。
歯周病がある場合には、セラミック治療より先に歯ぐきの治療を行うこともあります。
セラミック治療には何回通院する?
一般的なセラミック治療では、
診察・診断
↓
古い銀歯やむし歯の除去
↓
歯の形を整える
↓
型取りまたは口腔内スキャン
↓
セラミックの製作
↓
装着
↓
噛み合わせや経過の確認
という流れになります。
通常は複数回の通院が必要ですが、歯の状態や使用するシステムによって治療期間は変わります。
Miho歯科医院ではCERECによるワンデーセラミックにも対応しています
Miho歯科医院では「CEREC(セレック)」という歯科用CAD/CAMシステムを導入しています。
口腔内スキャナーと呼ばれる小型カメラで歯を撮影し、コンピューター上でセラミックの形を設計します。
そのデータをもとに、院内のミリングマシンでセラミックブロックから詰め物や被せ物を削り出します。
症例によっては、歯を削ったその日にセラミックを装着することも可能です。
従来の粘土状の型取りが苦手な方や、何度も通院するのが難しい方にとってもメリットがあります。
ただし、
むし歯が深い場合
根管治療が必要な場合
歯周病治療が必要な場合
複雑な色調再現が必要な場合
などは、1日で治療が完了しないことがあります。
「ワンデー治療ができるかどうか」は診察後に判断します。
【内部リンク:セレック治療について詳しくはこちら】

セラミックにもデメリットはあります
どの治療にもメリットとデメリットがあります。
セラミック治療も例外ではありません。
主な注意点としては、
歯を削る必要があること
治療後に一時的にしみることがあること
強い力によって欠けたり割れたりする可能性があること
外れたり再治療が必要になることがあること
歯の状態によって神経の治療が必要になる場合があること
自由診療の場合は治療費が高くなること
などがあります。
「白いからセラミックにする」のではなく、歯の状態や噛み合わせまで考えたうえで治療方法を選択することが重要です。
銀歯は全部セラミックに交換した方がいい?
いいえ。
問題なく機能している銀歯を、必ずすべて外さなければならないわけではありません。
歯科治療では、一度削った天然歯を元に戻すことはできません。
そのため私は、必要のない治療を増やすよりも、
「今ある歯をできるだけ残す」
という考え方を大切にしています。
現在の銀歯の状態を確認し、
そのまま経過を見るのか、
修復物だけ交換するのか、
むし歯治療が必要なのか、
セラミック以外の方法が適しているのか、
一緒に考えていくことが大切です。

よくある質問
Q.痛くなくても銀歯の下にむし歯があることはありますか?
あります。
特に神経を取っている歯では、むし歯が進行しても痛みを感じないことがあります。定期検診で状態を確認することが重要です。
Q.銀歯を外したら必ずセラミックにできますか?
歯の残っている量やむし歯の状態、噛み合わせなどによります。
まず歯を保存できる状態かどうかを診断します。
Q.セラミックなら二度とむし歯になりませんか?
いいえ。
セラミックそのものはむし歯になりませんが、その周囲に残っている天然歯にはむし歯ができます。
毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスが必要です。
Q.銀歯からセラミックへの交換は1日でできますか?
CERECを使用できる症例では、最短で当日に装着できる場合があります。
ただし、むし歯・歯周病・根の治療などが必要な場合は複数回の通院が必要です。
Q.歯ぎしりがあってもセラミックにできますか?
可能な場合もありますが、歯ぎしりや食いしばりが強い方では破折リスクを考慮する必要があります。
材料の選択や噛み合わせを検討し、必要に応じてマウスピースを使用します。
銀歯が気になる方は、まず「交換するべきか」を調べましょう
古い銀歯があるからといって、すぐにすべて交換する必要はありません。
しかし、
「何年も歯科医院で診てもらっていない」
「銀歯の境目が気になる」
「銀歯の下がむし歯になっていないか心配」
「金属ではなく白い歯にしたい」
という方は、一度状態を確認してみてください。
Miho歯科医院では、治療することだけでなく、なるべく健康な歯を残し、治療した歯を長く使っていただくことを大切にしています。
銀歯をそのまま使用できるのであれば、その選択肢も含めてお話しします。
セラミック治療をご希望の場合も、見た目だけでなく、噛み合わせや残っている歯質、将来的なメンテナンスまで考えて治療方法をご提案します。
【内部リンク:審美歯科・セラミック治療について】
【内部リンク:CEREC・ワンデーセラミックについて】
【内部リンク:料金について】
この記事を書いた歯科医師
前原 美保 歯科医師
Miho歯科医院 院長
岡山大学歯学部卒業。大学病院での臨床研修および歯科医院勤務を経て、2013年に大阪府堺市でMiho歯科医院を開院。
所属学会:日本口腔インプラント学会、日本抗加齢医学会(専門医)、分子栄養学研究会認定医
Miho歯科医院では「悪くなった歯を治すだけではなく、お口の健康をつくる歯科医療」を診療方針とし、マイクロスコープ・拡大鏡・口腔内スキャナー・CERECなどを用いた精密な歯科治療を行っています。
※本記事は、前原院長の現在の診療内容および歯科医学文献を確認し、患者さんにわかりやすい形に再構成したものです。
セラミック治療について
セラミック治療は症例により自由診療となります。
治療内容
むし歯や既存の修復物を除去し、歯の形を整えた後、セラミック製の詰め物・被せ物を製作し接着します。
治療期間・回数
CERECによる治療では条件が整えば1日で完了する場合があります。通常は数回の通院が必要で、むし歯、歯周病、根管治療などが必要な場合には治療期間が延びます。
費用
【70,000円〜/1歯あたり】
主なリスク・副作用
治療後に一時的なしみ・痛み・違和感が生じることがあります。セラミックが欠ける、割れる、外れる場合があります。むし歯が深い場合には神経の治療が必要になることがあります。治療後も二次むし歯が生じる可能性があり、定期的なメンテナンスが必要です。
参考文献
・Morimoto S, et al. Survival Rate of Resin and Ceramic Inlays, Onlays, and Overlays: A Systematic Review and Meta-analysis. J Dent Res. 2016.
・Al-Haj Husain N, et al. Effects of manufacturing methods on the survival rate of ceramic and indirect composite restorations: A systematic review and meta-analysis.

