今日のテーマは「老化と歯の病気」です。
昔から、歯を悪くしてしまうことが「老い」の自覚の代表でした。
実は、若い頃から適切なケアを心掛ければ、
歳をとっても歯が悪くなることはないのですが、
老化が様々な病気の危険因子になることは否定できません。
忘れてはならないのは、
様々な病気が歯の健康を損なう原因になり、
丈夫な歯を失うことが心身の老化の引き金になるという事実です。
高齢になって口の中の具合が悪くなるひとつの原因は唾液の問題です。
加齢とともに唾液をつくる「唾液腺」の働きが衰え、
唾液が減少している方がいます。
唾液は、消化を助け殺菌に役立ち、口の中をきれいに保つのに欠かせない液体で、
酵素や免疫因子などを含んでいます。
唾液が出なくなると、ものを噛み飲み込むことが辛くなります。
のどや口の粘膜の病気にかかりやすくなります。
そして虫歯にもかかりやすくなります。
また、唾液の出にくい人は、皮膚の乾燥など色々な不調を持っていることが多いようです。
皮膚や消化管などの健康は、分泌液がそこに住む細菌と良い関係を作ってくれることで成り立っているのです。
唾液腺の病気や放射線療法などが原因で、
唾液が出にくくなっている高齢者もいますが、
多くの高齢者の問題は薬の副作用です。
高血圧の薬(血圧降下薬、利尿薬)
アレルギーの薬(抗ヒスタミン薬)
喘息の薬(気管支拡張薬)
痛みや炎症抑制の薬、
精神・神経の薬
など、様々な薬に唾液の分泌を抑制する副作用があります。
唾液や汗が出にくくなるぐらいは大した問題ではないという誤解があるようです。
確かに唾液が出にくくても、身体がかゆくても、命に別状はありません。
しかし、これは失ってみなければその辛さはわからないもので、
食事がおいしく食べられることほどありがたいものはない、
と話すお年寄りは多いのです。
さらに、高齢になるとどうして間食が増えます。
唾液が出にくく間食が増えると、虫歯になる危険性はぐんと高くなります。
しかも、高齢の方は歯茎が下がって歯の根の露出しているところが多く、
この部分は硬い歯の表面に比べて非常に虫歯になりやすいのです。
高齢者の歯の健康のためには、唾液はとても重要な働きをしているのです。
かかりつけの歯科医院で唾液をチェックしてもらいましょう!
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