【コラム】入れ歯と姿勢、歩行

入れ歯の有無と噛み合わせは、実は密接な関係があると報告されています。
今日はそのお話をしましょう(^ – ^)

入れ歯のことを「義歯」と私たちは呼びますので、
今回のコラムでも「義歯」という言葉を使いますね。

義歯の装着により頭位が変化する、
義歯の有無により立っている時の体のふらつきが変化すると言われています。

また、義歯の装着により歩行速度が増加するというデータもあります。
研究では総入れ歯で歩行の際に加速度センサーを付けて、歩行速度、体のふらつきを測っています。
この研究により、高齢者の身体の平行機能の維持・向上に義歯が一役かっていることが示唆されました。

私は以前に高齢者の方の施設に往診に行っていました。
歯がない方に総入れ歯を作成した時のことです。
それまで車椅子生活で、全身的にも意識があまりはっきりしない状態の方がいました。
なんとか総入れ歯を作らせていただいたあと、
義歯完成の翌週に訪問したところ、
壁の手すりをつたって歩いておられてびっくりしました。
ぼんやりして受け答えもわかりにくい状況でしたが、
入れ歯が入ってからわりとしっかりとお話をしてくださるようになりました。
これは、もう6、7年以上前の経験ですが、
印象的な出来事として心に強く残っています。

単に噛むための道具というだけではなく、
非常に大きな役割が入れ歯にはあるのです。