歯周病の初期症状とは?原因・予防・治療・食生活まで歯科医師が解説

「歯磨きをすると歯ぐきから血が出る」

「最近、口臭が気になる」

「歯ぐきが下がって歯が長くなったように見える」

このような症状はありませんか?

これらは、歯周病のサインである可能性があります。

歯周病は、初期には強い痛みが出にくいため、自分では気づかないまま進行することがあります。

進行すると歯を支えている骨が減少し、歯がぐらついたり、最終的には歯を失う原因になることもあります。

一方で、早い段階から適切なセルフケアと歯科医院での管理を行うことで、進行を抑え、安定した状態を維持できる可能性があります。

今回は、歯周病の原因、初期症状、予防方法、歯科医院で行う治療、さらに食生活や栄養との関係まで、歯科医師の立場からわかりやすく解説します。


歯周病とは?

歯周病とは、歯そのものではなく、歯ぐきや歯を支えている骨などの「歯周組織」に炎症が起こる病気です。

主な原因となるのは、歯の表面や歯と歯ぐきの境目に付着する細菌のかたまり「プラーク(歯垢)」です。

歯磨きが十分にできずプラークが残った状態が続くと、まず歯ぐきに炎症が起こります。

この段階を「歯肉炎」と呼びます。

歯肉炎がさらに進行すると、炎症が歯を支える組織に広がり、歯槽骨と呼ばれる骨が徐々に失われます。

これが「歯周炎」です。

歯周炎は慢性的に進行し、重症になると歯を支える骨が減少して歯が動くようになり、最終的には歯を残すことが難しくなることがあります。


歯周病が「静かに進行する病気」といわれる理由

歯周病の怖いところは、初期から中等度まで進行しても、強い痛みが出ないことが多い点です。

むし歯なら「冷たいものがしみる」「痛い」といった症状で気づくことがあります。

しかし歯周病では、

「少し血が出るだけ」

「歯ぐきが少し腫れている」

程度で進んでいることも珍しくありません。

そのため、症状がない=歯周病ではない、とは限りません。

定期的に歯周ポケットの深さや出血の有無、歯の動揺、レントゲンによる骨の状態などを確認することが重要です。


歯周病の初期症状

次のような症状がある場合は、一度歯科医院で歯周病の検査を受けることをおすすめします。

歯磨きをすると血が出る

歯ぐきからの出血は、歯肉に炎症が起きている代表的なサインの一つです。

「強く磨いたから血が出ただけ」と思われることがありますが、繰り返し出血する場合には確認が必要です。

歯ぐきが赤い・腫れている

健康な歯ぐきは引き締まっています。

炎症が起きると赤みを帯びたり、丸く腫れたように見えることがあります。

口臭が気になる

歯周ポケットの中で細菌が増殖すると、口臭の原因になることがあります。

もちろん口臭の原因は歯周病だけではありませんが、歯周病の症状の一つとしてみられることがあります。

朝、口の中がねばつく

プラークや歯周病菌が多い場合、起床時に口の中のねばつきを感じることがあります。

歯ぐきが下がってきた

歯周病が進行すると、歯ぐきが下がって歯が以前より長く見えることがあります。

歯と歯の間に隙間ができてきた

歯を支える骨や歯ぐきが減少すると、以前はなかった隙間が目立つ場合があります。

歯がぐらつく

歯が動く状態は、歯周病がある程度進行している可能性があります。

早めに診察を受けましょう。


歯周病の主な原因はプラークです

歯周病の発症に深く関係しているのが、歯に付着する**プラーク(歯垢)**です。

プラークは単なる食べかすではありません。

多数の細菌が集まって形成されたバイオフィルムです。

毎日の歯磨きでこのプラークを除去することが、歯周病予防の基本になります。

しかし、プラークが長期間残ると石灰化して「歯石」になります。

歯石は歯ブラシでは取り除くことができません。

歯科医院で専用の器具を使って除去する必要があります。


歯周病を悪化させるリスクファクター

歯周病はプラークだけで決まる病気ではありません。

生活習慣や全身状態など、さまざまな要因が影響します。

喫煙

喫煙は歯周病の重要なリスクファクターの一つです。

喫煙者では非喫煙者より歯周病のリスクが高く、治療への反応も悪くなる場合があります。

また、喫煙によって歯ぐきの血流が影響を受けることで、炎症があっても出血などの症状が目立ちにくくなることがあります。


糖尿病

糖尿病と歯周病には密接な関連があります。

糖尿病のある方では歯周病が起こりやすく、特に血糖コントロールが良くない場合には歯周病が進行しやすくなることがあります。

糖尿病のある方は、内科での管理と合わせて歯科医院で定期的に歯周組織をチェックすることが重要です。


歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりそのものが歯周病の直接的な原因ではありません。

ただし、歯周組織が弱っている歯に過剰な力が加わると、歯の動揺などの問題を悪化させる場合があります。


ストレスや生活習慣

睡眠不足、ストレス、食生活などが直接歯周病を引き起こすわけではありませんが、セルフケアや免疫機能などを介して口腔環境に影響する可能性があります。

歯周病を考える際には、お口だけを見るのではなく、生活習慣を含めて考えることが大切です。


歯周病を予防する毎日のセルフケア

1.歯ブラシで「歯と歯ぐきの境目」を丁寧に磨く

歯周病予防では、歯の表面だけではなく、歯と歯ぐきの境目に付着したプラークを除去することが重要です。

強く磨けばよいわけではありません。

歯ブラシを適切な角度で当て、細かく動かしましょう。

自分では磨けているつもりでも、いつも同じ場所にプラークが残っている方は少なくありません。

歯科医院で染め出しをすると、自分の磨き癖を確認できます。


2.歯間ブラシやデンタルフロスを使う

歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークを十分に取り除くことができません。

そこで、

  • デンタルフロス
  • 歯間ブラシ

を併用します。

特に歯周病によって歯と歯の間が広くなっている方では、歯間ブラシが適している場合があります。

ただし、サイズが大きすぎる歯間ブラシを無理に使用すると歯ぐきを傷めることがあります。

ご自身に合ったサイズを歯科衛生士に確認してもらうことをおすすめします。


3.就寝前の歯磨きを丁寧に

就寝中は唾液の分泌量が減少します。

そのため、寝る前にはできるだけプラークを取り除き、お口の中を清潔にしておくことが大切です。

忙しい方でも、特に就寝前は、

歯ブラシ+フロスまたは歯間ブラシ

まで行うことをおすすめします。


4.洗口液は「補助」として使う

殺菌成分などを配合した洗口液は、セルフケアを補助する目的で使用することがあります。

ただし、

洗口液だけで歯周病を予防できるわけではありません。

歯に付着したバイオフィルムは、歯ブラシや歯間ブラシなどによる物理的な除去が基本です。

洗口液はその補助として考えましょう。


歯科医院で行う歯周病予防・治療

歯周病予防では、毎日のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアの両方が重要です。

歯科医院では、まず現在の歯周組織の状態を調べます。

歯周ポケット検査

歯と歯ぐきの間にある「歯周ポケット」の深さを測ります。

同時に出血の有無なども確認します。

レントゲン検査

歯を支えている骨がどの程度残っているか確認します。

歯の動揺度の確認

歯がどの程度動いているかを確認します。

プラーク・歯石の除去

歯の表面や歯周ポケット内部のプラークや歯石を専用の器具で取り除きます。

歯ぐきより深いところに歯石が付着している場合には、複数回に分けて丁寧に除去することがあります。


歯周病は「完治」する?

これは患者さんからよく聞かれる質問です。

歯肉炎の段階であれば、原因となるプラークを適切に除去することで、健康な歯ぐきに戻れる可能性があります。

一方、歯周炎まで進行して失われた歯槽骨は、原因を除去しただけで完全に元通りになるとは限りません。

そのため進行した歯周病では、

「治療して終わり」

ではなく、

病気の進行を止め、良い状態を長期間維持する

という考え方が非常に重要になります。

歯周病治療後も定期的なメンテナンスが必要なのはこのためです。


歯周病と食生活・栄養の関係

歯周病は細菌と、それに対する身体の炎症反応が関係する病気です。

そのためMiho歯科医院では、お口の中だけでなく、全身の健康や食生活にも目を向けています。

ただし、ここで重要なのは、

栄養だけで歯周病を治すことはできない

ということです。

歯周病治療の基本は、プラークと歯石の除去、適切なセルフケア、必要に応じた歯周治療です。

栄養は、その土台となる身体や歯周組織の健康を支えるものと考えます。


タンパク質

歯ぐきなど身体の組織をつくるためには、タンパク質が必要です。

肉、魚、卵、大豆製品などを偏りなく取り入れましょう。


ビタミンC

ビタミンCはコラーゲンの合成などに関わる栄養素です。

歯周組織との関連についても研究されていますが、ビタミンCを摂取するだけで歯周炎が治療できるわけではありません。

野菜や果物などから、日常的に不足しないよう摂取することが大切です。


ビタミンD・カルシウム

カルシウムやビタミンDは骨の健康に関係しています。

歯を支える歯槽骨も骨ですので、全身の骨の健康を維持するという観点からも、適切な栄養摂取は重要です。


亜鉛・鉄などのミネラル

鉄や亜鉛をはじめとする微量栄養素も、身体のさまざまな代謝や組織の維持に関係しています。

ただし、サプリメントを多く摂れば歯周病が改善するというものではありません。

不足が疑われる場合には、食生活や全身状態を含めて考える必要があります。


ビタミンA

ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に必要な栄養素の一つです。

一方で、脂溶性ビタミンは過剰摂取にも注意が必要です。

サプリメントを使用する場合には、自己判断で大量摂取するのではなく、必要性を考えたうえで利用しましょう。


歯周病が気になる方は、こんな時に受診してください

次の項目が一つでも当てはまる場合は、歯周病検査をおすすめします。

  • 歯磨きをすると血が出る
  • 歯ぐきが腫れる
  • 口臭が気になる
  • 朝、口の中がねばつく
  • 歯ぐきが下がった
  • 歯が長く見えるようになった
  • 歯と歯の間に隙間ができた
  • 歯がぐらつく
  • 歯石がたくさん付いている
  • 喫煙している
  • 糖尿病がある
  • 何年も歯科検診を受けていない

症状が強くなってからではなく、まだ困っていない段階で状態を知ることが歯周病予防では非常に大切です。


よくある質問

Q.歯磨きで血が出ても、そのまま磨いて大丈夫ですか?

炎症によって出血している場合があります。

出血するからといって全く磨かなくなると、さらにプラークが増えて炎症が悪化する可能性があります。

ただし、強すぎるブラッシングで歯ぐきを傷つけている場合もあります。

出血が続く場合は、一度歯科医院で原因を確認してください。


Q.歯周病は自分で治せますか?

軽い歯肉炎であれば、適切なブラッシングによって炎症が改善することがあります。

しかし歯石は歯ブラシでは取れません。

また、歯周ポケットの内部に歯石が付着している場合には歯科医院での処置が必要です。


Q.歯周病は痛くなくても進んでいますか?

はい。

歯周病は強い痛みを伴わず進行することがあります。

そのため定期的な歯周病検査が重要です。


Q.歯周病で下がった歯ぐきは元に戻りますか?

原因や程度によります。

炎症による腫れが改善すると歯ぐきの見え方が変わる場合がありますが、一度失われた歯周組織が自然に完全に元通りになるとは限りません。

状態によっては歯周外科治療や再生療法などを検討する場合もあります。


Q.歯周病の予防には何か月ごとに歯科医院へ行けばいいですか?

適切な間隔は患者さんごとに異なります。

歯周病の程度、歯石の付きやすさ、磨き残し、喫煙、糖尿病、歯並びなどを考えて決めます。

一律に「○か月に1回」と決めるより、ご自身のリスクに合わせたメンテナンス間隔を設定することが重要です。


歯周病予防で一番大切なのは「早く気づくこと」です

歯周病は、進行してから治療するより、早い段階で発見して管理する方が歯を守りやすい病気です。

そして、

毎日のセルフケア

と

歯科医院での定期的なチェック・プロフェッショナルケア

の両方が重要です。

Miho歯科医院では、単に歯石を取るだけではなく、

「なぜその場所に歯周病が起きたのか」

「どこに磨き残しがあるのか」

「歯ブラシ・歯間ブラシをどう使えば改善できるのか」

「生活習慣や全身状態で考えるべきことはないか」

まで確認しながら、一人ひとりに合わせた予防・メンテナンスをご提案しています。

歯ぐきからの出血や口臭など、少しでも気になる症状がある方は、進行してからではなく一度状態を確認してみてください。

【内部リンク:Miho歯科医院の歯周病治療について】

【内部リンク:予防歯科・定期メンテナンスについて】

【内部リンク:歯科と栄養について】


この記事を書いた歯科医師

前原 美保
Miho歯科医院 院長・歯科医師

岡山大学歯学部卒業。
大阪府堺市中区・深井駅前でMiho歯科医院を開院。

Miho歯科医院では、悪くなった歯を治療するだけでなく、できるだけ自分の歯を長く健康に保つことを重視し、予防歯科、歯周病治療、精密歯科治療、栄養面からの健康管理などに取り組んでいます。

【内部リンク:院長プロフィール】


参考資料

・Centers for Disease Control and Prevention(CDC), About Periodontal Disease
・Centers for Disease Control and Prevention(CDC), Smoking, Gum Disease, and Tooth Loss
・Centers for Disease Control and Prevention(CDC), Diabetes and Oral Health
・Dommisch H, et al. Effect of micronutrient malnutrition on periodontal disease and periodontal therapy. Periodontology 2000.
・Tada A, Miura H. The Relationship between Vitamin C and Periodontal Diseases: A Systematic Review.

子供の虫歯予防:健康な笑顔を守るために

こんにちは。堺市中区深井駅前のMiho歯科医院の院長の前原です。

今日は子供の虫歯予防についてのブログを書きます

私たちの最大の願いの一つは、子供たちが健康で幸せな生活を送ることです。その中でも、子供の口腔健康は特に重要です。特に、子供の虫歯予防は、幼少期からの健康な習慣を育む上で欠かせません。

虫歯の原因と予防策

虫歯は、口内の細菌が糖分を分解し、酸を生成することで歯を徐々に溶かす病気です。子供の虫歯予防の鍵は、このプロセスを阻止することにあります。

  1. 正しい歯磨き習慣:子供が小さいうちから正しい歯磨きの方法を教え、毎日の習慣にすることが重要です。フッ素入りの歯磨き粉を使用し、少なくとも一日二回、朝と夜に歯を磨くようにしましょう。
  2. バランスの取れた食事:砂糖や炭水化物が多い食事は虫歯のリスクを高めます。野菜や果物、タンパク質を豊富に含むバランスの良い食事を心がけましょう。
  3. 定期的な歯科検診:子供の歯の健康を維持するためには、定期的な歯科検診が不可欠です。歯科医師は初期の虫歯を発見し、適切な治療を行うことができます。

虫歯予防のための日常生活の工夫

子供の虫歯予防は、日常生活の中での小さな工夫から始まります。

  • 水分補給は水で:ジュースや炭酸飲料は糖分が多く、虫歯の原因になります。水分補給は清潔な水を使いましょう。
  • おやつの選び方:おやつは、糖分が少なく、歯にくっつきにくいものを選びましょう。例えば、チーズやナッツは良い選択肢です。
  • 歯磨きゲームを利用する:子供が歯磨きを楽しむように、歯磨きタイマーやアプリを利用してみましょう。

子供の虫歯予防は、健康な成長のために非常に重要です。正しい歯磨き習慣の確立、バランスの取れた食事、定期的な歯科検診を心がけることで、子供の口腔健康を守りましょう。親としてできる最善のケアを提供し、子供たちが一生涯にわたって健康な笑顔を保つ手助けをしましょう。



子供の虫歯予防における賢いおやつの選び方

子供たちにとっておやつの時間は、日々の小さな楽しみの一つです。しかし、虫歯予防の観点からは、おやつの選び方に特に注意が必要です。以下に、子供の健康を守りつつ、彼らが楽しめるおやつの選び方をご紹介します。

1. 糖分の少ないおやつを選ぶ

糖分が多いおやつは、虫歯のリスクを高めます。特に、粘着性のあるお菓子や長時間口の中に残るスナックは避けるべきです。代わりに、自然な甘みを持つフルーツや、糖分が少ないヨーグルト、全粒粉のクラッカーなどが良い選択肢です。

2. 歯にくっつきにくいスナックを選ぶ

歯にくっつきやすいスナックは虫歯の原因になります。チーズやナッツのように、歯にくっつきにくい食品を選びましょう。これらは唾液の分泌を促し、口内環境を改善する効果もあります。

3. 健康的な手作りスナックを試す

市販のスナックには保存料や添加物が含まれていることが多いです。可能であれば、自宅で健康的なスナックを手作りするのが最善です。例えば、フルーツを使った自家製ポップシクルや、野菜スティック、全粒粉を使ったミニマフィンなどがおすすめです。

4. 食後のおやつを心がける

食事の後におやつを与えることで、食事中に分泌された唾液が口内を洗浄し、虫歯のリスクを減らすことができます。また、食後におやつを食べる習慣をつけることで、一日の食事のリズムも整えることができます。

5. 飲み物にも注意を

おやつと一緒に提供される飲み物にも注意が必要です。砂糖が多いジュースやソーダは避け、清潔な水や無糖のお茶を選びましょう。

まとめ

子供の虫歯予防には、おやつの選び方が大きく影響します。糖分の少ない、歯にくっつきにくい、自然な食材を使ったスナックを選ぶことで、子供たちの口腔健康を守りながら、彼らのおやつ時間を楽しいものにすることができます。親として、子供たちの健康な食生活をサポートすることが、虫歯予防の第一歩です。

顎が痛い時はどうするの?

こんにちは。堺市中区、深井駅前のMiho歯科医院、院長の前原です。

顎関節症についてのコラムです。

・「音がする」

口を開けた時に「ジャリジャリ」「ゴリッ」など、「音がする」というのは顎関節症の典型的な症状です。一番軽度なタイプなので、あまり心配し過ぎる必要はありません。特別な治療が必要でないことも多いです。治療が必要かどうかは、歯科医院で診察を受けると良いでしょう。「音がする」というときは、顎をリラックスさせ、悪い姿勢など生活習慣を見直しましょう。最近はスマホがすっかり普及して、お子さんからご高齢に方まで空いた時間はスマホでちょっと息抜きや情報収集ということが増えています。長時間のスマホ操作は顎関節症に繋がりますのでご注意を。

・「痛みがある」

「口を開けたり噛みしめると痛みがある」または、「今までは音がするだけだったのが痛むようになってきた」という時は、早めに歯科を受診して歯科医師の診断を受けましょう。歯科で痛みの原因が顎関節内部にあるのか、関節を覆う筋肉にあるのか診断を受け、必要な指導や治療を受けます。重要なことは、痛みが出るような顎の動きはしないということです。硬いものを食べたり、大きな口を開けてカラオケを歌うなどは、顎関節に負担がかかります。まずは安静にして様子をみます。必要に応じて鎮痛剤を処方したり、顎の負担を減らすマウスピースを作成することもあります。

・「口が開かない」

「大きく口を開けられない」「今までは音がするだけだったのが口が開かなくなった」という時は、できるだけ早めに歯科を受診してください。顎関節の内部に問題が起きています。顎関節では、上顎骨と下顎骨の間に「関節円板」という組織があります。この組織がクッションのように働くお陰でスムーズに顎の開閉が可能になります。ここがうまく機能せず顎の動きが妨げられると口が開かなくなります。歯科においては関節円板の動きを改善するマニピュレーションをおこなったり、それが難しい場合は開口訓練を行ったりします。

以上のように、顎関節症は患者さんご自身で生活習慣を改善していくことと、歯医者さんと相談して治療を進めていくことがあります。

顎関節症は他因子疾患と言われ、様々な要因が絡み合って発症するものです。生活習慣で猫背や悪い姿勢で巻き肩になっているなど、日常生活の関与も大きく、その症状の改善には時間がかかるものでもあります。夕食に糖質が多いものを食べて寝ると、夜間に血糖値が下がり、下がった血糖値をあげようとアドレナリンが出て交感神経優位となり、夜間の歯ぎしりが起きると言われています。夜間の歯ぎしりで筋肉に負担がかかると顎の痛みに繋がります。糖質過多の生活も顎関節症の観点からは良くないのです。

お口も老化する?

「口腔機能低下症」という言葉を聞かれたことはありますか?
お口の機能が低下すると・・・

・むせる

・食べ物をこぼす

・飲む込みにくい

・滑舌が悪くなる

・噛めない食品が増えてくる

こういった自覚症状が現れてきます。

年齢とともに衰えていくお顔の筋肉。

筋力の衰えは機能低下を招き、お口の機能低下は身体の機能低下へと繋がります。

噛めなくなってしまうと食事が偏ってしまい、身体の健康に必要な栄養素がとれなくなってしまいます。

身体が元気でなくなると活動が減り、引きこもりがちになって社会的に孤立してしまうこともあります。

身体が弱ることで転倒リスクが上がり、転んだ方をきっかけに寝たきりになってしまうケースもあります。

寝たきり予防にお口の機能を健康に保つことが有効です。

では、口の機能が健康かどうかはどうやって判定するのでしょうか?

「口腔機能低下症」の判定には以下の7つの項目あります。

1.舌苔付着度:舌についている白い苔状のものは、皮膚では垢にあたるようなものです。細菌や食べカス、口の粘膜の剥がれたもののかたまりで、口の機能が低下すると分厚くなります。9分割してどのくらい溜まっているか評価します。

2.口腔乾燥度:ムーカスという機器で測定する方法と、ガーゼを口に入れて出てくる唾液を吸わせ、ガーゼの重量がいくら増えたかを計測する方法とあります。

3.咬合力:バイトフォースアナライザーという機器を使ってデンタルプレスケールⅡで測定する方法と、残っている歯の本数を評価する方法があります。

4.舌口唇運動機能評価:パ タ カ の各音を5秒間で何回発音できるか計測します。

5.舌圧:舌圧計で舌の筋力を計測します。

6.咀嚼機能評価:専用のグミゼリーを咀嚼してその状態を評価します。どのくらい細かくなったか大きさを評価する方法と、グミゼリーから溶け出した糖分を機器で測定する方法があります。

7.嚥下機能評価:嚥下機能をアンケートにより評価します。

これらの項目で3項目以上に低下が見られる場合が口腔機能低下症と言われます。

もし、口腔機能低下が見られた場合には、機能を改善するトレーニングがあり、

それらに積極的に取り組んでいくことで改善することができます。

口から美味しく食事を食べられることは、身体を維持するための栄養摂取にとても大切なことです。

普段から食事ではよく噛んで食べることと、噛み応えのあるものも避けずに食べるようにして、口の筋肉が衰えないようにしていきましょう。

一口で30回咀嚼すると、食物も細かく粉砕されて胃腸にも優しくなります。

また咀嚼するときに唾液と混ぜ合わせることで唾液中の消化酵素が混ざり、消化がよくなります。

お米は噛むほど甘くなるといいますよね。

唾液中に消化酵素のアミラーゼが含まれるためです。

むせたりこぼしたりなど気になる症状がある場合は早めに歯医者さんにご相談にくださいね。

セレックによるワンデートリートメント

こんにちは。

Miho歯科医院の院長の前原です。

当院に「セレック」システムを導入して約半年ほど経ちました。

今日はセレック治療について、そのメリットなどとともにまとめていますので、

どうぞ最後までお読みくださいね。

こちらはセレックシステムでセラミックインレーを設計しているところです。

セレックは約40年ほどの歴史があり、

虫歯の治療としては長持ちする予後の良い治療システムです。

口腔内スキャナーと呼ばれるコンパクトなカメラでお口の中をカラーで撮影し、

最先端の3D画像を用いてコンピューターで詰め物の設計をデザインして、

ミリングマシーンと呼ばれる加工機によりその場でセラミックのブロックから詰め物を短時間で削ります。

詰め物は大きさにより5〜10分程度で削り終わります。

ワンデートリートメント

セレックの最大のメリットは、最短で虫歯治療の当日にセラミックの詰め物がお口の中に装着できる、ということです。

それにより、

通院、麻酔をする回数が1回で済みます。

次回装着の場合は仮歯を装着しますが、

仮歯の間に歯が汚染されたり割れたりするリスクがありません。

また、大抵は型取りから1〜2週間の間は仮歯で過ごさねばなりませんが、

当日に詰め物や被せ物が入るということは大幅に治療の期間も短縮でき、

仮歯の不便な生活をしなくて済みます。

仮歯は最終の歯と違って取れたりしみたりする可能性がありますから、どうしても食事の内容に制限ができたりと気を遣って過ごさねばなりませんよね。

人と会うのに仮歯では会いにくいので約束を先延ばしにしたということもあるでしょう。

歯科的に最も重要なことは、

削ってその日につけることで、削った歯が汚染されないので

接着剤がしっかりとその性能を発揮してくれ、強固にしっかりと装着することができるということです。

研究論文によるとワンデートリートメントのセラミックは9割が30年の耐久性があるとのことです。

一般には保険治療での虫歯治療のサイクルは約5年スパンである、と言われています。

初発で虫歯が発生した場合には、小さい虫歯のうちでしたら大抵はコンポジットレジンと呼ばれる樹脂(プラスチック)の詰め物をします。

レジンは平均使用年数が5.2年です。

レジンは特殊な光を当てて口の中で固めますが、その際に重合収縮といって95〜97%くらいに小さく縮んでしまいます。

そのため、レジンの詰め物は詰めた後でヒビ割れたら剥がれたらして、しばらくすると虫歯になります。

体積が関係するので大きな詰め物ほど危険性が高いでしょう。

また再度虫歯になると次はインレーと呼ばれる金属の詰め物になります。

銀歯ですね。

銀歯にするためには便宜的に歯を削る必要があります。

詰め物の厚みを確保したり、外れにくい形に整えたり、型取りしやすい形にするなどで、

だいたい1回で2〜3mmの歯質を失います。

銀歯は平均使用年数が5.4年です。

保険で使用するセメントは接着力が弱くて経年的に劣化して溶け出していったり、

銀歯が噛む力で少しずつ変形して隙間ができたり、

また口の中にはアイスクリームのような冷たいものやスープやお味噌汁、ラーメンなどの熱いものが入り、温度変化が5℃〜50℃と言われますから、それにより変形が起こります。

こうして、噛む力と温度変化により詰め物と自分の歯に隙間ができ、

そこに細菌が繁殖して虫歯になっていきます。

詰め物を作り替えて、もう一度少し大きな銀歯になり、また再度虫歯になって…と5年サイクルで再治療を繰り返していると、そのうち歯の神経に達してしまって「抜髄」という神経を抜く治療が必要になります。

神経を抜くためにはさらにら大きく歯を削ることになります。

神経の管が見えるように整えて、消毒の器具が届くように神経の入り口を広げたりと、さらに歯は小さく弱くなっていきます。

そして神経を抜いたあとはクラウンと呼ばれる被せ物になります。

被せ物にした場合の平均使用年数は7.1年です。

被せた縁に虫歯ができたり、根っこが折れたりして抜歯になってしまいます。

つまり、

初発の虫歯→レジン治療→5.2年後インレー→5.4年後クラウン→7.1年後抜歯

最初の虫歯から約18年後には抜歯になっていきます。

20歳の時に虫歯治療をしたら38歳でその歯は抜歯になる計算ですね。

抜歯をしてブリッジにした場合どうでしょうか?

3ユニットブリッジ(3本の連続したブリッジ)の10年生存率は3割です。

つまり7割ダメになります。

38歳でブリッジにした場合は48歳でダメになって、次は部分入れ歯となります。

このように5年サイクルで再発して歯を削る治療をしていたら、

徐々に自分の歯は失われて入れ歯に近づいてしまっています。

そこで、セレックワンデートリートメントを考えてみましょう。

20歳でできた虫歯をレジン治療をしていて、

25歳でまた虫歯になってインレーにするとします。

この時に銀歯ではなくセラミックの治療をしていれば、セレックで30年もたせることができれば55歳までセレックインレーのまま過ごせますね。

55歳で再治療をした場合には、次は30年また使ったとして85歳でやりかえになります。

セラミックの場合は噛み癖などにより欠けるリスクもありますが、銀歯を5年サイクルでやりかえていくよりも、セレックなら20年、30年サイクルでやり方を考えることができ、

身体にとっては非常に優しい治療と言えると思います。

セレックのメリット

・隙間から新しい虫歯にならない

・歯の亀裂防止になる

・保険治療より健康な歯を削らずに済む場合もある

・神経への刺激が少ない

・その日のうちに接着すると歯の感染を防止できるので、虫歯が非常に再発しにくい

・その日のうちに接着すると接着剤のつきが良いため長持ちする

・通院回数や麻酔の回数が減る

セレック治療後の写真

ここには、元はプラスチックの詰め物が入っていました。

一度削って外して(古いプラスチックの詰め物はその下に虫歯があることが多いのです)、綺麗にした上で、深い部分は再度プラスチックで整えます。

その後に歯の形を整えてセラミックの詰め物を作るのに適した形にします。

神経がある歯ですと、麻酔をして痛くないようにして削ります。

その後に3Dのスキャナーでお口の中のカラー写真を撮影します。

撮影したデータから詰め物をデザインします。

デザインができると、そのデータを元にセラミックのブロックを機械で削ります。

セラミックには色合いが色々とありますので、

それぞれの方の歯の色に合わせたブロックを選んで使用します。

ブロックの硬さも種類がありますので、歯ぎしりがある人や噛み合わせがきついと判断されるケースでは、より硬いブロックを使用します。

通常はご自身の天然歯の硬さと近い硬さの物を使用しますので、人工的に自分の歯のエナメル質をセラミックで作るようなイメージですね。

機械でセラミックの詰め物や被せ物を削る所要時間は、5〜10分程度です。

削り終わったものを磨いて仕上げをしたらお口に装着していきます。

専用のセメントを用います。

接着処理もしっかり行って装着しますので、

基本的にはそうそう外れることはありません。

噛み合わせは微調整して合わせます。

セレックのセミナーに行って来ました

先日、4月23日(日)はセレック治療のクオリティを高めるため、

大阪市内にて行われたセミナーに参加して来ました。

講師の先生は東京銀座のカザマデンタルクリニックの風間龍之輔先生です。

様々な症例を学んだり、

実際に模型を使ったデモンストレーションを見ることができました。

歯科のセミナーの参加者は男性の先生が多いですが、今回のセレックのセミナーは2/3くらいが女性のドクターでしたね。

最後に、こちらはセレックのブロックの見本です。

様々なブロックがありますね。

メーカーさんのショールームが会場でしたので、

展示されているものも色々と見ることができ、

セレック以外にも治療用のチェアやCT、

またセレックミリングマシーンの別の機種なども見ることができて良かったです。

Miho歯科医院

院長

前原美保