皆さんは、歯の健康にスポーツドリンクが与える影響についてご存知でしょうか?スポーツドリンクというと、不足した水分や塩分を効率よく摂取することができる便利な飲み物ですが、実はその摂取の仕方を間違えると、歯に深刻な悪影響を及ぼすことがあるのです。今回はそんなスポーツドリンクと歯の関わりにについてわかりやすく解説します。
▼スポーツドリンクは酸性度の高い飲み物
私たちが普段口にしている食べ物や飲み物には、それぞれ酸性度というものがあります。もっともわかりやすいのが水で、これはほぼ中性ですね。中性よりもpHが高いものをアルカリ性、低いものを酸性といいます。そして、市販されている飲み物の大半は酸性寄りに傾いており、とりわけスポーツドリンクは酸性度の高い飲み物といえます。それがなぜ歯の健康と関連があるかというと、ヒトの歯というのはむし歯菌が作り出す酸だけではなく、酸性の物質全般に弱い性質があるからです。
▼酸性の飲み物で歯が溶けやすくなる
例えば、お酢のような極めて酸性度の高い液体をお口の中にずっと含んでいたとしましょう。すると、むし歯によって歯が溶けるメカニズムと同様に、歯が少しずつ溶けていきます。いわゆる「脱灰(だっかい)」という現象が起こってしまうのです。それは酸性の飲み物であるスポーツドリンクを習慣的に飲んでいる場合も同じです。ちなみに、酸性の飲食物によって歯が溶けていく病気を専門的には「酸蝕症(さんしょくしょう)」と呼びます。
▼酸蝕症にかかる人が増えている?
スポーツドリンクがまさかお口の健康を害するとは思わず、1日の中でも頻繁に摂取している人は少なくありません。もちろん、脱水症状を防ぐという点においては健康の維持、増進に寄与するのですが、歯を正常に保つ上では、悪影響の方が大きくなります。ただ、そうした知識は正しく広まっていないことから、昨今、スポーツドリンクによる酸蝕症を発症する人が増えてきています。
▼酸蝕症を予防するために
酸蝕症を予防するためには、スポーツドリンクの頻回摂取を控える必要があります。あるいは、こまめに水分補給をとったとしても、その都度うがいをするなど、お口の中を中性に戻せば問題はありません。そうした取り組みが難しい場合は、スポーツドリンクではなく水で水分補給するのもひとつの解決策といえます。
▼まとめ
このように、スポーツドリンクは酸蝕症の原因となるため、頻回摂取には十分注意しましょう。糖分も含まれているので、むし歯のリスクも上昇する点も忘れてはいけません。