唾液の働き

皆さんは、お口の中に分泌される唾液には、どのような働きがあると思いますか?毎日当たり前のように分泌されている唾液ですが、実は驚くほどたくさんの働きが期待できるものなのです。今回はそんな唾液の働きについて詳しく解説します。

▼消化作用

唾液の働きといえば、消化作用ですよね。食べ物を小さな断片へと分解する働きで、唾液には主にアミラーゼと呼ばれる消化酵素が含まれています。アミラーゼはデンプンを分解するものなので、パンやお米、パスタといった主食を消化吸収に役立ちます。

▼抗菌・殺菌作用

私たちが風邪やインフルエンザ、むし歯や歯周病といった感染症にかかる際には、基本的にお口から病原体の侵入が起こりますよね。お口は食べ物だけではなく、細菌やウイルスの入り口でもあるのです。そこで抗菌作用や殺菌作用を発揮してくれているのが唾液です。唾液には、細菌などの活動を弱める働きがあることから、全身の健康維持・増進にも寄与しています。もちろん、お口の病気であるむし歯や歯周病の予防にも役立ちます。

▼自浄作用

お口の中が乾燥していたら、汚れが停滞してしまいますよね。その結果、さまざまな病気を引き起こすだけではなく、口臭の原因にもなります。けれども、私たちのお口の中というのは、絶えず唾液が分泌されていますよね。とりわけ何かを口にした際には、たくさんの唾液が流れ出てきて、食べかすなどを洗い流してくれます。唾液にはこうしたお口の中の自浄する働きも期待できるのです。

▼歯の再石灰化作用

歯の再石灰化の促進というと、フッ素がまず思い浮かぶかと思いますが、そもそもは唾液が備えている働きです。食事や虫歯による影響で、歯が脱灰したとしても、唾液に含まれる因子によって、再石灰化という働きが生じます。フッ素はその働きを促進してくれる物質なのです。さらに唾液には、緩衝作用(かんしょうさよう)という働きも期待できます。これは食べ物や飲み物によって酸性に傾いた口内環境を中性へと引きもどす働きです。お口の中が中性に保たれると、歯の脱灰が起こりにくくなり、むし歯のリスクも低下します。

▼まとめ

このように、唾液には実にたくさんの働きが期待できます。それはお口の健康だけではなく、全身の健康維持にも関わることなので、唾液腺の機能はいつも正常に保つよう心がけましょう。唾液の分泌が低下して、お口が乾燥しがちな方は一度当院までお越しください。その原因を突き止めた上で、適切な治療法をご提案します。