知っておきたい歯の豆知識:インプラントの構造

Miho歯科医院では、歯を失った時の治療法の一つとしてインプラント治療も行っています。

今日はインプラントの構造について解説致します。
下のイラストをご覧下さいね。

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右側のイラストでは、インプラント補綴による歯は3つの構造に分かれていますね。
3階建ての家のようなイメージをして下さい。
一番下がフィクスチャー、もしくはインプラント体と呼ばれる部分で、
顎の骨に植えて固定源となる部分です。
純チタンでできており、骨結合という様式で顎の骨と硬く一体化してくっつくことができます。
その上の真ん中にあたる部分がアバットメントと呼ばれる部分で、ここは骨に植えたインプラントが歯茎を貫通してお口に露出した土台となります。
一番上の部分は歯の形をしており、これにより食べ物を咀嚼して噛めるようになります。
建物で言うと3階に当たるこの部分は、インプラント上部構造またはインプラント上部冠と呼ばれます。
インプラント上部構造は、アバットメントとセメントを介して固定されるか、ネジで固定されており、
もし長年使って噛み合う部分が欠けてしまったなどのトラブルの時には外してリペアする事が可能です。
歯を失った方の場合は噛む力が元々強いことが多く、インプラント治療によってまたそこに歯を取り戻すことで、ご自身の噛む力で上部構造を壊してしまう可能性もあります。
また、天然歯(自分の歯)は年月と共に手前に少しずつ移動していきます。
個人差はありますが、40歳を過ぎると歯の移動が起こってくるケースがあります。
これは、並び合う歯と歯の接触する部分(コンタクトポイント、接触点)は磨耗していくので、
その分だけ手前に歯が動いていくメカニズムがあるからです。
そうすると、骨と結合して移動することができないインプラントの歯だけ、歯列の中で取り残されてしまいます。
手前の歯との間隙が少しずつ広がっていくことがあるのはこのためです。
隣り合う歯との間が空くと食べ物が挟まるようになり、それによって歯茎が圧迫されて血流が悪くなるため部分的に歯周病に罹ったり、不潔になることで虫歯が手前の歯にできたりするリスクが生じます。
このように前側の天然歯との間隙が開いてきた場合も、インプラント上部構造を取り外して隙間の大きさをリペアすることができます。
3階建ての構造のインプラントの場合は、もっともっと長く使用して、例えば将来を考えて寝たきりや手が不自由で歯磨きができなくなった場合にも対応することができます。
アバットメントの部分から取り外してしまうと、インプラントは完全に歯茎の奥に埋め込まれます。
お口の細菌が入り込んで感染を起こす危険性はなくなります。
お食事には取り外し式の入れ歯を作成し、お手入れ不足から起こる「インプラント周囲炎」を予防することができるのです。(インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病になる事はあります。インプラントの感染症をインプラント周囲炎と呼び、歯茎だけに炎症が留まるのみならず、骨にも炎症が及ぶと顎の骨が溶けて膿が出るなどトラブルにつながる危険性もあります)
このように3階建ての方式のインプラントには利点が沢山あります。
安価なインプラントの場合は、骨から突き出たインプラントが直接お口の中に露出してしまう構造のものもあるので、インプラント治療の価値を値段で判断するのは、実はとても危険な事なのです。
生涯を通じて快適に安全に過ごしていただくために、適切な設計のインプラントを選択されることをお勧め致します。
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H30年9月14〜16日は、日本口腔インプラント学会の学術大会が大阪にて行われます。
今年も参加して知識をアップデートしてきます(^ ^)