虫歯のなりやすさは遺伝するか?

私たちがかかる病気には実にいろいろなものがありますが、生活習慣が関係していたり、遺伝によって決まっていたりとその原因もさまざまです。そこで気になるのが「虫歯」ですよね。虫歯も遺伝と関係しているのであれば、家系によっても虫歯のなりやすさは変わってくるといえます。ここではそんな虫歯のリスクは遺伝によって左右されるのかをわかりやすく解説します。

▼虫歯の根本的な原因は細菌

はじめに、虫歯の根本的な原因について確認しておきましょう。それはミュータンス菌に代表される虫歯菌への感染ですね。意外に忘れられがちですが、虫歯も風邪などと同じ細菌感染症の一種なのです。そういう観点からすると、虫歯は遺伝によって発症するということはまずあり得ないといえます。ただし、虫歯になりやすいかどうかは、また別の話になります。

▼虫歯になりやすいかは何で決まる?

虫歯になりやすいかどうかは、歯質によってある程度決まってきます。私たちの歯はエナメル質という無機質で覆われており、「耐酸性能(たいさんせいのう)」というものを備えています。これは酸に対して抵抗する力で、生まれ持ってこれが強い人もいます。逆に、遺伝的な原因でエナメル質が薄かったり、未成熟だったりすると、耐酸性能は低くなり、虫歯のリスクは上昇します。この点において、虫歯のなりやすさは遺伝するといえます。

▼歯が弱くなる病気がある?

先天的な病気で、歯の形成や発育が正常に進まないものがいくつかあります。そうした全身疾患があると、はじめからエナメル質形成不全や象牙質形成不全といった症状を伴うこととなります。その結果、歯が弱くなり虫歯にもかかりやすくなるのです。

▼親が虫歯でもそのリスクは上昇する

これは「遺伝」とは直接的には関係しませんが、一緒に暮らしている両親やおばあちゃん、おじいちゃんといった家族が虫歯にかかっていると、子どもも虫歯になりやすくなります。とくに、同じ食器など使ったり、口移しで食べ物を与えたりすると、虫歯菌の感染が広がりやすくなるため要注意です。逆にいうと、家族に全く虫歯がなければ、その子供も虫歯なりにくくなるといえます。

▼まとめ

このように、虫歯のなりやすさはある程度遺伝によって左右されます。ただ、それよりも大事なのは、生まれてきたあとのどう過ごすかです。正しいオーラルケアをきちんと身に付け、お口の中を清潔に保つことができれば、虫歯のリスクも大きく減少します。そうした取り組みを家族全員で実行することが大切です。