皆さんは、「口腔機能低下症」という病気をご存知でしょうか?最近、注目されるようになってきた病気で、高齢の方ほどそのリスクが高まります。今回はそんな口腔機能低下症についてわかりやすく解説します。
▼いろいろなお口の機能が低下する病気
お口が担う機能というのは、食べ物を噛むだけではありません。その他にもさまざまな機能があり、それらを実行する力が弱くなる病気を口腔機能低下症と呼んでいます。ここではそれぞれの症状についてかんたんにご紹介します。
▼口腔乾燥
ドライマウスのようなお口の中が乾燥する症状は、口腔機能低下症が疑われます。主に唾液腺の機能が低下することで、お口の中が渇きやすくなります。ですから、唾液腺をマッサージしたり、食事の際によく噛んだりすることで、唾液腺の機能を向上させることが大切です。
▼噛む力の低下
年をとると、徐々に歯の本数が減っていきますよね。さらに、そしゃくを担う筋肉の力も弱くなることから、噛む力であるそしゃく力が低下します。これもまた口腔機能低下症の症状のひとつといえます。そうした噛む力を取り戻すには、適切な歯科治療を受けたり、歯ごたえのある食べ物を積極的に食べたりすることが有効といえます。
▼発音機能の低下
言葉を正しく発音できなくなることも、口腔機能低下症のひとつの症状です。口唇や舌、口腔周囲の筋肉が衰えていることが主な原因となります。ですから、毎日、早口言葉を練習したり、家族や友人とおしゃべりする機会を増やしたりすることが大切です。吹き戻し笛を使用することで、唇や頬の筋肉を鍛えるという方法もあります。とにかく、毎日行えることから始めることが大切です。
▼飲み込む力の低下
飲み物や食べ物を飲み込む「嚥下(えんげ)」機能の低下も、口腔機能低下症の主な症状のひとつとして挙げられます。嚥下機能の低下は、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」という重篤な病気のリスクを大幅に引き上げますので、可能な限り早期に改善することが求められます。嚥下機能の訓練は、歯医者さんで学ぶのが一番です。一度覚えてしまえば、毎日かんたんに行うことができます。
▼まとめ
このように、昨今注目されつつある口腔機能低下症は、実にさまざまな症状が現れます。それらは、重篤な全身疾患にもつながりかねないものなので、放置するのは良くありません。お口の機能の低下を自覚されたら、まずはお気軽に当院までご相談ください。口腔機能低下症の治療法やリハビリ法について、わかりやすくお伝えします。