喫煙と歯周病

日本人の成人の約8割がかかっているといわれている歯周病ですが、その原因は歯垢や歯石といった歯の汚れだけではありません。ストレスや糖尿病など、全身の健康に関わる要因もリスクとなることがわかっています。とりわけ「喫煙習慣」には要注意です。今回はそんな喫煙と歯周病の関連についてわかりやすく解説します。

▼喫煙が歯周病のリスクを上昇させる

喫煙習慣は、歯周病のリスクを上昇させます。もうすでに歯周病にかかっている人は、その症状を著しく増悪させることがありますので注意しましょう。ですから、歯周病を患っていて喫煙の習慣もある患者さまには、基本的に禁煙をすすめています。そこで気になるのが喫煙と歯周病の関係ですよね。

▼歯ぐきの血管を収縮させる

タバコの煙は、歯ぐきの血管を収縮させる作用があります。歯ぐきの血管が収縮すると、周囲の組織に酸素や栄養素が供給されにくくなり、歯周病菌への抵抗力が下がります。その結果、歯周病の発症リスクが上昇するのです。

▼歯周病の症状を隠してしまう

歯周病の症状といえば、「歯ぐきが赤く腫れる」、「ブラッシング後の出血」などですよね。こういった症状があるからこそ、歯周病を自覚することが可能となります。けれども、喫煙習慣があると歯ぐきの症状が隠れてしまうことがあるのです。これをタバコによる「マスキング効果」といいます。タバコの煙によって歯茎の血流が悪くなると、自ずと歯茎の腫れや出血もおさまってしまうのです。その結果、歯周病を自覚するのが遅れ、発見した頃には重症化しているケースも珍しくありません。

▼沈着したヤニが細菌の温床となる

喫煙による悪影響として、もうひとつ「ヤニの沈着」が挙げられます。喫煙している人の部屋というのは、壁や天井にヤニがたまっていますよね。それと同じことがお口の中でも起こります。歯や歯ぐきにヤニが沈着して、細菌の温床となります。その結果、歯周病菌が繁殖して、歯周病を発症あるいはその症状を増悪させるのです。

▼タバコによる全身への悪影響

タバコは、お口の病気だけではなく、呼吸器などの病気の原因にもなります。それだけに、禁煙する価値は非常に高いといえます。ですから、今現在喫煙による歯周病でお悩みの方は、全身の健康のことも考えて、1日でも早く禁煙するよう努めましょう。

▼まとめ

このように、喫煙と歯周病には密接な関連がありますので、歯周病の治療および予防をする上で、禁煙は欠かすことができません。