前回に引き続き虫歯予防についてのお話をします。
兄妹でも虫歯の沢山できる子供とあまりできない子供がいます。
その違いは一体何なんでしょうか?
兄の方は歯磨きと甘いおやつの量に注意をしただけで虫歯はありません。
しかし、妹の方は虫歯の大きな穴があちこちに出来ています。
同じように歯磨きをさせ、
甘いおやつにも注意を払って育ててきたのに、
どうして虫歯の出来方に差があるのか疑問を感じると思います。
こういった場合は、唾液中の虫歯菌を調べたり、唾液の性状・量を検査したり、食生活を調べることで原因が明らかになります。
たとえばこのケースでは、
兄と妹ではミュータンス菌や乳酸桿菌などの虫歯の原因菌の感染量にかなりの差がありました。
また、虫歯菌がつくり出す「酸」を中和する唾液の力(緩衝能)も、妹の方がかなり劣っています。
妹はよく咬めないので唾液の分泌量もかなり不足しています。
ほとんど同じと考えられていた食生活も、
小さい頃から三食をしっかり食べる兄と比べると、
妹は食が細く、その分食事の回数も多くなりがちでした。
また、熱を出したときに小児科の先生に勧められて飲み始めたイオン飲料を、身体によいと考え日に何度も飲んでいることがわかりました。
虫歯の原因菌が多く、それらの菌が作る酸に対する抵抗力が十分に備わっていない上に、口の中が乾燥気味で食事の回数も多い妹の口の中は、歯を溶かす力(脱灰)が強く働いており、虫歯が出来るのは当然のなりゆきでした。
このように、虫歯ができる理由は歯磨きや砂糖だけが問題なのではなく、
一人ひとりが抱えている条件によって違っているのです。