歯科精密治療について

Miho歯科医院での治療方針の一つに、精密な治療を行えるように治療環境の整備をしているということがあります。

1枚目の写真、こちらは治療で使用している「拡大鏡(ルーペ)」です。

拡大鏡

これを装着することで、とても明るいライトがついていますので、暗いお口の中が非常に明るくなり、お口の変化、詰め物の隙間や歯垢の付着状況、歯石など非常に細かい部分まで観察できます。

こちらの拡大鏡は、拡大倍率が2.5 倍、4.5倍です。これらを使用して行う治療は、細かい作業が正確にできるため、治療後の良い状態を長く維持させることができます。余計な傷をつけたりすることもなく治療中の痛みを軽減することもできます。

デメリットとしては、ライトの電源ケーブルがやや邪魔になること、ルーペの種類によっては重さがあるので、鼻のあたりが圧迫されることがあります。これらは術者側のことですので、患者様には無関係な部分です。患者様へのデメリットとすれば、細かい作業で治療時間が長引きやすいといったところでしょうか?

特定の部分しか視界に入らないため、患者様のお顔の表情などは見えません。診療補助についているスタッフが治療中の患者様の体調などの変化には気を配る必要があります。

裸眼よりも精密に治せるツールの力を借りて、皆様の歯をより長持ちさせられる治療を行なっています。

さて、1月23日、当院で勤務している歯科衛生士の田河が東京でマイクロスコープ(顕微鏡)を使用した歯科治療のベーシックコースを受講してきました。

マイクロスコープは使いこなすのが非常に難しいため専門的なトレーニングが必要です。

こちらのセミナーでは、日本顕微鏡歯科学会の認定歯科衛生士の林先生が講師で、このようにしっかりと指導をしてくださいました。右上のモニターに模擬患者さんのお口が大きく写っていますね。マイクロスコープの場合は、このモニター画面を録画して患者様に見ていただくことも可能です。

当院の田河も日常は拡大鏡を使用しております。今回のセミナーを通し、マイクロスコープの活用に向けて、模型やデモ患者さんのお口で実際に使用するトレーニングを行いました。講師の林先生から実際のミラーの角度の指導を受けています。

顕微鏡歯科治療は、ほとんどの作業が左手のミラーごしとなるため、ミラーの選定や扱い方がとても重要となります。



こちらは顕微鏡を用いて「スケーラー」という歯石除去のための器具を研いでいる場面です。器具のお手入れにも利用できます。

マイクロスコープでは対物レンズと接眼レンズの組み合わせで、ルーペよりも一層大きく拡大して観察することができます。非常に明るい LEDのライトを備えておりますので、歯の細かい亀裂なども観察できます。

お口の中は暗くて見えにくいので、ルーペ、マイクロスコープを適宜使用することで、MI治療(最小限の侵襲で最大限の効果を引き出す治療)を実現できます。

前歯のセラミックによる審美治療症例

堺市中区 Miho歯科医院 

 歯科医師 前原美保

https://mihoshika.com

セラミックの被せ物による治療のお問い合わせを多数いただいております。

本日は症例の解説をしますね。

前歯4本、オールセラミック。

治療前、治療後の写真です。

仮歯を用いて前歯のシミュレーションを行い、

歯肉整形をして歯茎のラインを整えました。

しばらく歯茎の治癒を待ちます。

歯茎の整形というと怖いイメージがあるかも知れませんね、

極細の細いナイロン糸で縫合しております。

傷跡が目立たず、ナイロン糸は歯垢が付着しにくいため、

このように炎症を起こすこともなくきれいに治癒させることができます。

治療後の口元です。

自然な仕上がりになりました。

治療内容

オールセラミックスーパーファイン4本168300円×4=673600円、歯肉整形1回55000円、総額728600円(こちらは、特別に技術の優れた美しいセラミックを仕上げる技工士が担当しているため、価格も通常のセラミックよりもすこし高めの金額設定となっております)

セラミック治療におけるリスク、副作用について、

・治療後、痛みや違和感、出血、腫れ、麻痺などが出る事があります。

・強い衝撃を与えると、被せ物が欠けたり割れたり、外れたりする事があります。

・必ずしもご希望通りの見た目にならない事があります。

・治療に際して、根の治療が必要になる場合があります。

・根の治療を行った場合、腫脹や出血、痛みなどを生じる事があります。

・被せ物をかぶせた後に根の病気が再発した場合、被せ物を外さなければならない事があります。(外した被せ物の再利用は多くの場合、出来ません)

・麻酔を行った場合、腫れやむくみを生じる事があります。

治療には当然ながらリスクや副作用もあります。

自分に合った治療法なのか、担当医と慎重に話し合って決める必要があります。

まずは歯科医師にご相談ください。

まとめ:前歯の形が不揃い、歯茎とのラインが気になるといったお悩みにもセラミック治療は有効です。かみ合わせの問題や自分の歯を削ることに伴うデメリットもあるので、事前にしっかり相談に乗ってくれる歯科医師を選ぶとよいでしょう。

堺市中区 Miho歯科医院 

 歯科医師 前原美保

https://mihoshika.com

セラミック治療で使われる素材

歯科治療では、虫歯で穴が開いてしまったら、

残念ながら虫歯菌が感染している部分を削り取って代わりの物で補う、

という「外科」的な概念に基づいた治療が一般的です。

その際に治療で埋める材料として「セラミック」はとてもメリットのある材料です。

いくつか種類がありますので、今日はセラミック治療の材質について、少し詳しく解説したいと思います。

大きく分けて、プラスチック系の「ハイブリッドセラミック」とガラス系の「セラミック」があります。

ハイブリッドセラミックは、プラスチックにセラミックの粉末が入った複合材料とも言える素材です。

「セラミック」の呼び名ではありますがプラスチックなので、強度が弱くて使用に伴い欠けるリスクがあります。
ですが、硬すぎないので、噛み合う向かいの相手の歯を傷めないというのは一つのメリットでもあります。
プラスチックは経年劣化しますので、ハイブリッドセラミックも装着したその日が一番良い状態で、2-3年で変色したり表面がざらついてきたりします。
プラスチックのコップやお弁当箱などが使っていくうちに艶がなくなって傷ができていくように、口の中で歯ブラシをしたり硬いものを噛むことでだんだん劣化するのは避けられません。
しかしリーズナブルでお財布に優しいので、たくさんの本数の銀歯を白くしたいという方から選ばれているという実績はあります。

e.max セラミックは、ガラス系オールセラミックで、透明感や艶が天然の歯と見分けがつかないほど綺麗に仕上がります。

セラミックは歯垢が溜まりにくいので衛生的に保てます。詰めた周りが再度むし歯になる「二次うしょく」(うしょくとはむし歯の専門的な呼び方です)になりにくく、また周辺の歯茎の健康も保てます。

十分な強度もあるため、前歯でしたらブリッジを作ることも可能なくらいです。

透明感があることで周囲の歯や歯茎の色を拾って馴染みますので、仕上がりはとても綺麗です。

デメリットとしては、噛み締めや歯軋りで割れたり欠けたりするリスクがあるということです。

ただ、セラミックが欠けるくらい強い力がかかっているということは、セラミック以外の銀歯でもし治していたら、銀歯を留めているセメントが剥がれて銀歯の隙間にむし歯ができるかもしれません。セラミックなどの人工物は作り替えれば済みますが、自分の歯は取り替えることができないので、そういう意味では自分の歯を守る素材であると言えます。

セラミック治療は身体に安全で仕上がりも自然なものです。

気になる方はお気軽にご相談下さい。

審美歯科のご相談、随時受け付けております。

歯周病の治療

お問い合わせの多い歯周病の治療について

今日はお話したいと思います。

歯周病の治療方法は様々あり、病気の進行程度や個人のご希望により、

何が自分に合った治療法なのかということは異なってきます。

基本的な治療法をご紹介しますので、

ご自身の治療を選択される際のご参考になさってください。

これらの治療法は単独で、または組み合わせて進められていきます。

ブラッシング指導

歯周病治療の最も基本的で重要な治療が、日々のご自身でのブラッシングです。

毎日歯磨きはしているけれど悪くなってきた、

というのは、「磨いて」いるけれども「磨けて」いない、

ということになります。

野球でもテニスでも、バットやラケットにボールが当たらなければ

球は飛んでいきません。

歯磨きも同じで、いくら磨いていても、

肝心な部分に歯ブラシが当たっていなければ歯垢は落ちませんし。

虫歯や歯周病といった病気になってしまいます。

当院でもブラッシング指導には十分お時間をいただいて、

ご自身の歯磨きでお口の健康を守れるようにご指導をしています。

スケーリング

歯に付着した歯垢や、それらが「石灰化」といってだ液中のカルシウムで硬く石になってしまった「歯石」を、「スケーラー」と呼ばれる器具で除去する治療法です。

歯石の表面はざらざらしているため、より多くの細菌が棲む棲みかとなります。

ハンドスケーラーといって手作業で少しずつ歯石を取るタイプのものと、

超音波スケーラー、エアースケーラーといって機械で歯石を取るタイプのものに大きく分けられます。

歯科医師や歯科衛生士が歯垢・歯石を取ることで、

歯茎に感染を起こす歯周病菌を取り除きます。

ルートプレーニング(SRP)

スケーリングと総称してスケーリング・ルートプレーニングの略称で

SRPと呼ばれます。

スケーリング終了後に歯根の表面に付着した汚染物質を取り除きます。

歯周病が進行して歯茎の奥深い場所に歯石がついている場合、

痛みが出るので麻酔をかけてから歯石を取ることも多いです。

痛みに敏感な方は事前に麻酔の希望を相談してみましょう。

この治療もスケーラーを用いて行われます。

フラップ手術

歯周病が進行している場合は、スケーリングやSRPだけで治癒を目指すことは難しくなり、外科治療のフラップ手術を行います。

切開をして歯茎の奥の歯石を取り、歯茎の形態も整えて歯磨きしやすい環境に整えます。

一連の処置の後は歯茎を縫い合わせます。

縫った糸は1週間程度で抜き、柔らかい歯ブラシでしばらくの間はお手入れをしていただきます。

術後にしみたり歯の揺れが出ることがあります。

歯周ポケットが深くなっているところは、外科手術ですっきりすることが多いですが、タバコを吸っている場合や歯ブラシに時間をかけられない方の場合は治りが悪いです。

歯周組織再生療法

上記のフラップ手術の処置に加えて、歯茎や骨の再生を促すたんぱく質を入れて治療する方法です。

エムドゲイン、リグロスといった材料が使われます。

再生療法は適用症が限られてくるため、誰でもどんな歯でも、

この処置を行えば歯を抜かずに歯周病を治せるというわけではありません。

歯科医師の診断の元、治る見込みがあると判断される場合のみ行います。

歯周組織再生療法は骨の再生を促し、処置後の歯茎の治りも促進されます。

フラップ手術同様に、喫煙している方や歯磨きが十分にできない場合はお勧めできません。

メインテナンス

歯周病治療の成功のカギとなるのは、基本治療の後の定期的なメインテナンスです。

歯周病菌はバイオフィルムという膜で歯の表面に繁殖します。

1~3か月ごとに歯科衛生士が器具・機械を用いて、歯のお掃除をします。

長い間治療に通ってせっかく治った歯周病もメインテナンスが途切れてしまうと、また再発していつの間にか進行してしまったということは珍しいものではありません。

歯周病は生活習慣病でもあり、痛みなどの症状が出ないものです。

何年もかかって徐々に進行していく病気ですので、

治療も何か月、場合によっては年単位で症状が落ち着くということもあります。

治った良い状態を維持するメインテナンスもお忘れなく。

もっと知りたい!お子様の歯科検診

今日はお子様の歯科検診についてのお話です。

子供さんの虫歯、歯肉炎、歯の生え変わり、歯並び、口臭などなど、

子供を持つ親が気になることは沢山ありますよね。

一般的に乳歯といわれる子供の歯は生後半年ごろから生え始め、

3歳までに完成します。

乳前歯と言われる前歯が3本、

乳臼歯といわれる臼歯が2本ずつで、

上下左右で各5本ずつですから合計10本の歯が乳歯の本数です。

虫歯になりやすい場所というのがあり、

大抵は上の正面の前歯2本の間によくできてしまいます。

そして、この前歯の間に虫歯が出来ているお子さんは、

奥歯の4番目と4番目の歯の間にも虫歯が出来てくることが多いですね。

歯と歯の間はデンタルフロスでのお手入れが重要となってきますので、

お子さんの歯の仕上げ磨きの際に前歯の間と奥歯の2本の間は特に丁寧に通していただくことが有効だと思います。

歯の間は歯垢が溜まりやすく、お砂糖の入ったジュースによる影響も多いので、

歯の間に虫歯のあるお子様には食事指導も併せて行っています。

ジュースというと「オレンジジュース」「リンゴジュース」「コーラ」など思い浮かべますが、虫歯をつくりやすい飲み物として、「乳酸菌飲料」「ヨーグルト飲料」「野菜ジュース」も忘れてはいけません。

これらは「健康に良い」イメージがあって毎日飲ませているというお母さまもおられるかも知れませんね。

果汁由来の糖分が入っていたり、乳酸菌やヨーグルトは「酸性」で歯を溶かしやすいという特性もあります。

カラダにいいものと歯にいいものは別なのです。

スポーツドリンクも虫歯を多く作ります。

歯の事を考えるとお茶かミネラルウォーター、牛乳といったものが、

お子様の飲み物としては適しています。

できれば、味覚が完成する3歳くらいまでは、お砂糖の入った飲み物は飲ませないようにしたいですね。

砂糖は中毒性があります。

お砂糖の入った飲み物の味に慣れてしまい味覚が形成されてしまうと、

砂糖の入らないものを味気ないと感じるようになってしまいます。

それから、これから寒くなってくると特に美味しく感じるミルクティーも、

市販されているものは多量のお砂糖が入っている製品が多く、

お子様が常時飲んでいる場合はかなり重症の虫歯を引き起こします。

是非ご注意くださいね。

続いて、お子様の歯肉炎について。

歯肉炎は磨き残しの歯垢が原因で歯茎が炎症を起こし、

歯茎が赤く腫れあがり、歯ブラシをしただけでも血が出てきます。

この状態が長く続くと子供さんは歯ブラシが痛くて磨けなくなり、

更に、磨かないので歯肉炎が悪化するという悪循環になります。

歯肉炎になっている場合は大抵は口臭もしてきます。

磨き残しの歯垢は食べかすではなく細菌の塊です。

丁寧に痛まないように優しく歯磨きをしてあげると、歯肉炎は1週間ほどで落ち着いてきます。

歯肉の腫れが引くと、歯茎のキワから虫歯が見つかるケースもあります。

虫歯も歯肉炎も、歯磨きと食習慣の改善で予防することができますので、

気になる場合はお気軽に歯科医院を受診してくださいね。

歯の生え変わりについては、個人差が大きいです。

歯並びは遺伝的な要素もありますが、お口のくせ(例えば、なかなか指しゃぶりが辞められないとか、唇を前歯で噛んでしまうなど)がある場合は、それらの習慣の改善をしないと悪化してしまいます。

歯は唇・頬と舌との間のスペースのバランスがいいところに生えてきます。

お口のくせ(口腔習癖・こうくうしゅうへき)で悪い習慣がついていると歯並びも悪くなってしまいます。

口呼吸も要注意です。

口呼吸によりお口が乾燥して虫歯・歯周病になりやすくなり、

口臭もしてきます。

口呼吸は免疫力も下がるので、全身的にアトピーなど他のトラブルも起こってきます。

ぜひとも鼻呼吸に変えていきたいものです。

口呼吸の改善のトレーニングとして「あいうべ体操」が有効的です。

とても簡単なトレーニングで、ゆっくりと大きく口を開けて「あ」「い」「う」「べ」と発音するように口を動かします。

最後の「べ」では、舌を思いっきり前に出して舌の筋肉を鍛えます。

冬場の学校であいうべ体操をやった教室とやらなかった教室では、

インフルエンザでの欠席率が大きく違いがでたという報告もあります。

お風呂で親子であいうべ体操に取り組んでいただくのも有効ですね。

まとめ

お子様の歯科検診

・虫歯チェック

・歯肉炎検査

・歯垢の付着状況のチェック

・歯の生え変わりのチェック

・お口の癖のチェック

・食生活や歯磨指導

・フッ素塗布

などを、必要に合わせて行っています。