歯のコラム:奥歯は必要ですか?

前回、歯の大切さについて書かせていただきました。
今日は引き続き、歯の中でも奥歯に絞って詳しく書こうと思います。

患者様の中に、
「奥歯は見えないし、なくても困っていないから、抜いてそのまま」
という方を時々お見かけします。

今すぐは困らないけれど、あとあとすごく困ってくる、
というのが奥歯の欠損(歯が無いこと)です。

前歯は見た目にも関わりますし、
歯が無いと息がもれてとうまく喋れず、
コミュニケーションの障害になります。
食べ物を噛み切ることもできません。
前歯の欠損は皆様もとても気にされます。
当然ですよね。

奥歯は・・・???

食べ物を咀嚼して小さくし、
飲み込める大きさにするという役目があります。
第一大臼歯と呼ばれる、前から数えて6番目の歯は、
とくに咀嚼の中心です。
その後ろの第二大臼歯でも咀嚼しています。
2本の歯はお互い助け合って、
柔らかい食べ物も、硬い食べ物も、
美味しく食事ができるように働いてくれています。

少し専門的な内容になるかもしれませんが、
「短縮歯列」と言って、ヨーロッパの方では5番目の歯まであれば歯並びは良しとするという考え方もあります。
ところが、短縮歯列の人たちの「口腔関連QOL」(お口に関係する事柄の生活の質、満足度調査)では、
QOL(Quarity Of Life)は高くありません。
わかりやすく言うと奥歯を失うと生活が不自由になることを実感しているということです。

歯を失ったあとはどういう治療が適しているのか、
それは患者様のお口の状態、生活環境、価値観によって異なってきます。
入れ歯、インプラント、ブリッジなど方法はいくつかあります。

奥歯の噛み合わせは、全身機能とも関係があります。

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こちらは高齢者においての研究です。
寝たきりになる原因の第一位は脳卒中で、第二位が転倒による骨折です。
健康で過ごすのに奥歯の働きも必要ですよね。

そして、豊かな食生活のために、奥歯も大事に考えてみてくださいね。

食いしばり、噛み締め対策、始めました。

こんにちは。
寒い日が続きますね。

寒いとついつい、身体も縮こまって食いしばりや噛み締めも増えてしまいがち。

表情筋や咀嚼筋をほぐす「オーラルストレッチ」を始めました。
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10分、20分、30分のメニューがありますので、
どこが気になるか、お時間や予算に合わせて選んでいただくことができます。

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予約制となっておりますので、事前に医院にお電話くださいませ。

歯周病のメインテナンスと同日に施術を受けられる方も多いですよ^^

唾液の分泌を促す効果もあり、口臭対策にもなります。
唾液は虫歯菌が産生する酸を中和してくれるのでお口を守っています。
(緩衝能と言います)
また、唾液自体にも殺菌効果があり、免疫IgAを担っています。
お口が乾燥すると虫歯や歯周病になりやすくなるのです。

口の周りの筋肉をほぐしてリラックスするだけでなく、
虫歯や歯周病も予防したいですね。

歯科疾患実態調査ってご存知でしょうか?

厚生労働省から、平成28年度の歯科疾患実態調査の結果が発表されています。

こちら をクリックしてください。

大きなトピックとして、

8020はちまるにいまる達成者は2人に1人以上で過去最高~

※80歳で20本以上の歯を有する者の割合

ということがあります!

これは、かなり大きく前進した結果です。
平成5年には、8020達成者はたった10%を超えたくらいでした。

日本でもようやく半分の方が年をとっても自分の歯を残せるようになってきたのですね。

まだ半分、ではありますが、
そのうち50%から60、70%と増えていくといいなと思います。

【コラム】入れ歯と姿勢、歩行

入れ歯の有無と噛み合わせは、実は密接な関係があると報告されています。
今日はそのお話をしましょう(^ – ^)

入れ歯のことを「義歯」と私たちは呼びますので、
今回のコラムでも「義歯」という言葉を使いますね。

義歯の装着により頭位が変化する、
義歯の有無により立っている時の体のふらつきが変化すると言われています。

また、義歯の装着により歩行速度が増加するというデータもあります。
研究では総入れ歯で歩行の際に加速度センサーを付けて、歩行速度、体のふらつきを測っています。
この研究により、高齢者の身体の平行機能の維持・向上に義歯が一役かっていることが示唆されました。

私は以前に高齢者の方の施設に往診に行っていました。
歯がない方に総入れ歯を作成した時のことです。
それまで車椅子生活で、全身的にも意識があまりはっきりしない状態の方がいました。
なんとか総入れ歯を作らせていただいたあと、
義歯完成の翌週に訪問したところ、
壁の手すりをつたって歩いておられてびっくりしました。
ぼんやりして受け答えもわかりにくい状況でしたが、
入れ歯が入ってからわりとしっかりとお話をしてくださるようになりました。
これは、もう6、7年以上前の経験ですが、
印象的な出来事として心に強く残っています。

単に噛むための道具というだけではなく、
非常に大きな役割が入れ歯にはあるのです。

【コラム】歯の本数と認知症

こんにちは。

歯の本数と認知症の関係について今日は書いていこうと思います。

70歳以上の高齢者を調査したところ、以下のような報告がされました。

健康な人:残存歯(自分の歯)14.9本
認知症の人:残存歯 9.4本

歯の本数が少ないと咀嚼機能が衰え、
脳への刺激が減るために認知症になると考えられています。

また、歯周病との関係性もわかってきました。

歯周病菌が生み出す毒素や炎症性物質が血液や唾液に混じって全身に回ると、
糖尿病や動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化から認知症へと繋がることも十分考えられます。

歯周病が日本人では歯を失う原因の第1位の病気です。
歯の本数が少ない人は認知症リスクが高くなると言われるのはこのためです。

では、すでに歯を失ってしまった場合は、
入れ歯やインプラント治療などによって噛み合わせを回復し、
しっかりなんでも咀嚼して食べられるように治療することも大切ですね。