虫歯を予防するには

虫歯は、一度かかると自然には治らない病気です。

しかも、失った歯質は元に戻りません。それだけに、虫歯は予防するのが一番といえます。

今回はそんな虫歯を予防する方法についてわかりやすく解説します。

▼正しい歯磨きを身に付ける

虫歯予防の基本は「歯磨き」です。それも正しいブラッシング法を身に付け、毎日実践することが求められます。

いくら毎日朝晩しっかり歯磨きしていても、それが自己流だと磨き残しも多くなります。すると、歯垢や歯石などが徐々に蓄積し、やがては虫歯を引き起こしてしまうのです。

そこで有用なのが歯科医院で受ける「ブラッシング指導」です。

歯磨きの専門家である歯科医衛生士から自分にとって最適といえる歯磨きの方法を学びましょう。

▼フッ素を活用する

虫歯予防にフッ素が効果的であるのは科学的にも証明されています。

フッ素入りの歯磨き粉を使用し、歯を強くしていきましょう。

定期的に歯医者さんでの「フッ素塗布」を受けることで、虫歯予防効果はさらに高まります。

その他、フッ素が配合された洗口液を用いてうがいをすることも効果的です。

▼甘いものを控える

基本的に甘いものは、虫歯菌のエサになるとお考えください。

お菓子やスイーツに含まれる砂糖(スクロース)はその代表ですね。

また、ご飯やパン、パスタなども甘みを感じるかと思いますが、これらも糖質の一種であるグルコースなどで構成されていますので、虫歯菌の活動が活発化します。

とはいえ、主食であるご飯やパンを全く摂らないのは、健康上よくありませんので、摂取量をコントロールすることが大切です。

砂糖が多く含まれるおやつは、代用糖で作られたものを選ぶことで、虫歯のリスクを抑えることができます。

▼唾液の分泌を促す

唾液には、抗菌作用や殺菌作用、自浄作用などが期待できます。

これらはいずれも虫歯菌の活動を抑える方向に働くことから、虫歯予防に貢献します。

そんな唾液は、加齢や病気によって低下することがありますので、お口が渇きがちな人は、積極的に唾液の分泌を促すよう努力しましょう。

具体的には、唾液腺のマッサージを行ったり、日ごろからガムを噛んだりすることで、唾液の分泌が促進されます。

▼まとめ

このように、虫歯を予防するためには、生活習慣から改善する必要があります。

上述したような方法を実践することで、虫歯のリスクを大きく減らすことができますよ。

虫歯になりやすい食生活とは

虫歯の発症リスクは、日々口にする食べ物によっても大きく左右されます。

頻繁に間食をしていても虫歯になりにくい人もいれば、1日1~2回しか食事を摂らない人でも虫歯になりやすい人はいます。

それは食事の内容にヒントが隠されています。

▼虫歯菌のエサとなる栄養素とは

虫歯は、ミュータンス菌に代表される虫歯菌が活動しなければ、発生することはありません。

つまり、虫歯菌のエネルギー源となる食べ物が虫歯発症のカギを握るといえるのです。

その食べ物とは、いうまでもなく「糖質」ですね。

砂糖をはじめとした糖質を摂取することで、虫歯菌の活動が活発化して、歯質を溶かす酸が酸性されます。

▼糖質の摂取量を制限する

虫歯を予防するのであれば、日々の食事における糖質の摂取量をコントロールしましょう。

極端な話、糖質の摂取量をゼロにすれば、虫歯の発症リスクも限りなくゼロに近づけることができますが、それはなかなか難しいことですよね。

それだけでも虫歯のリスクは下がっていきます。

ですから、砂糖がたくさん使われたお菓子やスイーツを控えたり、主食である炭水化物の量を少し減らす努力をしてみたりするのはいかがでしょうか。

▼間食の回数を減らす

勉強や仕事の合間に、ついつい甘いものをつまんでしまう人は、虫歯のリスクが上がっています。

おやつにはたくさんの砂糖が使われているので、お口の中の虫歯菌も喜んでしまうのです。

また、何かを口に入れる頻度が高ければ高いほど、お口の中が汚れている状態も長くなるため、虫歯菌の活動も高まってしまいます。

ですから、間食の回数は少ない方が虫歯予防に効果的といえます。

▼代用糖を活用する

甘いものが大好きで、どうしてもお菓子やスイーツなどを我慢できない人は、代用糖が使われているものを積極的に選びましょう。

最近のお菓子には、砂糖と同じくらいの甘みがある代用糖が使われているものも少なくないので、成分表などをみて確認してみましょう。

とくにキシリトールは虫歯菌のエサにならないだけではなく、その活動を低下させる効果が期待できるのでおすすめです。

▼まとめ

このように、虫歯と食生活には密接な関連があります。

日々の食習慣を少し改善するだけで、虫歯の発症リスクが大きく低下することがあります。

当院の定期検診を受けていただければ、食生活の改善方法についても詳しくアドバイスいたします。

一緒に虫歯を予防していきましょう。

虫歯はどうしてできるの?

虫歯は「歯が溶ける」という特別な症状が現れる病気です。

重症化すると歯そのものを失うこととなりますが、そもそもなぜ虫歯はできるのでしょうか?

今回はそんな虫歯になる原因についてわかりやすく説明します。

▼虫歯は細菌感染症

虫歯はミュータンス菌に代表される虫歯菌への感染で発症する病気です。

つまり、風邪などと同じように細菌感染が根本的な原因となっているのです。

そのため、虫歯になっている人のお口の中からは、必ずたくさんの虫歯菌が検出されます。

▼虫歯菌は歯を溶かす酸を作り出す

私たちの歯は、虫歯菌に感染しただけでは溶けたりしません。

虫歯菌がいくら増えても、それだけでは歯を溶かすことができないからです。

例えば、「キシリトール」という物質が虫歯予防に効果があるお話は有名ですよね。

キシリトールは砂糖のように甘い物質なのですが、虫歯菌はエサにすることができません。

同時に、生命活動を営む中で「乳酸」などを作り出していくのです。

ですから、歯の周りにたくさんの虫歯菌がそんざいしていても、歯は溶けていかないのです。

けれども、お菓子やスイーツなどに含まれる「スクロース」が存在していると、虫歯菌たちが元気になって、酸をどんどん作り出していきます。

その結果、歯が溶けていくのです。

▼虫歯菌はほとんどの人の口の中に存在する

ここまで虫歯ができるメカニズムについてかんたんに説明してきましたが、重要な点がもう一つあります。

それはほとんどの人のお口の中に虫歯菌が住み着いているという点です。

私たちのお口の中には数百種類におよぶ細菌が住み着いており、これを「常在菌(じょうざいきん)」と呼んでいます。

そんな常在菌には虫歯菌も含まれているのです。

そこで不思議に思うのがなぜ虫歯になる人とならない人がいるのか、という点ですよね。

▼虫歯菌の数を増やさないことが大切

虫歯にならない人は、毎日のオーラルケアをしっかりと行って、虫歯菌が増えないように努めています。

お口の中の虫歯菌をゼロにすることはできませんは、悪さをしない程度にまで抑えておけば、虫歯を発症することはないのです。

▼虫歯菌にエサを与えない

上述したように虫歯菌はスクロースのような特定の糖質をエサに繁殖します。

ですから、日ごろから糖質を控えるなり、キシリトールのような代用糖を活用するなりして、虫歯菌にエサを与えないようにしましょう。

そうすることでも虫歯を予防することが可能となります。

▼まとめ

このように、虫歯は虫歯菌が産生する酸によって引き起こされる病気です。

そのメカニズムをしっかり理解しておけば、予防することも難しくなくなりますよ。

歯科精密治療について

Miho歯科医院での治療方針の一つに、精密な治療を行えるように治療環境の整備をしているということがあります。

1枚目の写真、こちらは治療で使用している「拡大鏡(ルーペ)」です。

拡大鏡

これを装着することで、とても明るいライトがついていますので、暗いお口の中が非常に明るくなり、お口の変化、詰め物の隙間や歯垢の付着状況、歯石など非常に細かい部分まで観察できます。

こちらの拡大鏡は、拡大倍率が2.5 倍、4.5倍です。これらを使用して行う治療は、細かい作業が正確にできるため、治療後の良い状態を長く維持させることができます。余計な傷をつけたりすることもなく治療中の痛みを軽減することもできます。

デメリットとしては、ライトの電源ケーブルがやや邪魔になること、ルーペの種類によっては重さがあるので、鼻のあたりが圧迫されることがあります。これらは術者側のことですので、患者様には無関係な部分です。患者様へのデメリットとすれば、細かい作業で治療時間が長引きやすいといったところでしょうか?

特定の部分しか視界に入らないため、患者様のお顔の表情などは見えません。診療補助についているスタッフが治療中の患者様の体調などの変化には気を配る必要があります。

裸眼よりも精密に治せるツールの力を借りて、皆様の歯をより長持ちさせられる治療を行なっています。

さて、1月23日、当院で勤務している歯科衛生士の田河が東京でマイクロスコープ(顕微鏡)を使用した歯科治療のベーシックコースを受講してきました。

マイクロスコープは使いこなすのが非常に難しいため専門的なトレーニングが必要です。

こちらのセミナーでは、日本顕微鏡歯科学会の認定歯科衛生士の林先生が講師で、このようにしっかりと指導をしてくださいました。右上のモニターに模擬患者さんのお口が大きく写っていますね。マイクロスコープの場合は、このモニター画面を録画して患者様に見ていただくことも可能です。

当院の田河も日常は拡大鏡を使用しております。今回のセミナーを通し、マイクロスコープの活用に向けて、模型やデモ患者さんのお口で実際に使用するトレーニングを行いました。講師の林先生から実際のミラーの角度の指導を受けています。

顕微鏡歯科治療は、ほとんどの作業が左手のミラーごしとなるため、ミラーの選定や扱い方がとても重要となります。



こちらは顕微鏡を用いて「スケーラー」という歯石除去のための器具を研いでいる場面です。器具のお手入れにも利用できます。

マイクロスコープでは対物レンズと接眼レンズの組み合わせで、ルーペよりも一層大きく拡大して観察することができます。非常に明るい LEDのライトを備えておりますので、歯の細かい亀裂なども観察できます。

お口の中は暗くて見えにくいので、ルーペ、マイクロスコープを適宜使用することで、MI治療(最小限の侵襲で最大限の効果を引き出す治療)を実現できます。

【コラム】高濃度フッ素配合歯磨剤って何がいいの?

昨年から、1,000?1,500ppmのフッ化物を歯磨き粉に配合することが効率で許可されました。
これまで、市販の歯磨き粉に配合するフッ素の上限は1,000ppmというルールがあり、
そのため、多くても950ppm程度のフッ素が配合されているというのが歯磨き粉の虫歯予防としての有効成分量でした。

フッ素の配合量が増えたことで、虫歯予防効果がどのくらい上がるのかについてお話ししたいと思います。

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フッ素による虫歯予防のメカニズム
フッ化物が歯に作用すると、以下のことが起こるとされています。
・歯のエナメル質の結晶が改善される
・唾液中のカルシウムイオン、リン酸イオンと共に、初期虫歯(脱灰)部分の再石灰化が促進される
・エナメル質の結晶が「フルオロアパタイト」という硬い歯質になる

WHO の研究により、1,000ppmを超える濃度のフッ化物配合歯磨剤では、濃度が500ppm上昇するごとに虫歯予防効果が6%アップするということがわかっています。

高濃度フッ素配合の歯磨剤の見分け方
1,000ppmを超える高濃度フッ素配合歯磨剤の場合は、
フッ素の濃度を購入時・使用時に確認できるよう、
容器や外部包装などに記載するよう義務付けられています。
ですので、購入時に店頭でフッ素の濃度を確認して購入するようにすれば間違いありません。
パッケージのフッ素濃度表示がわかりにくい場合は、治療などの際に当院にお持ちいただけましたら当院スタッフが確認いたしますね!

注意事項
6歳未満のお子さんへの使用は控えてください。
フッ化物は摂りすぎると急性中毒と慢性中毒が起きるとされています。
保管する場合も6歳未満のお子さんが手の届かないところにしてください。

現在国内で販売されている高濃度フッ化物配合歯磨剤
・チェックアップ スタンダード(ライオン)
・チェックアップ ルートケア(ライオン)
・チェックアップ ジェル ミント(ライオン)
・クリニカ アドバンテージ ハミガキ(ライオン)
・シュミテクト デイリーケア プラス(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン)
・バトラー エフペーストアルファ(サンスター)
・クリアクリーン プレミアム(花王)など

これらはいづれも1,450ppmのフッ化ナトリウムを薬用成分として配合しています。
また、15歳未満の子供さんの場合は、歯科医師の判断の元で使用するか決めた方がいいとされています。
とくに虫歯になりやすいというお子さんがおられる場合は、
高濃度フッ素配合の歯磨剤が適しているか歯科医にご相談ください。

高濃度フッ化物配合歯磨剤は、これまでの歯磨剤製品と比べて価格的には100円ほどアップしているようです(商品によります)。
同じ歯磨きをするなら、虫歯予防効果が高いもののを使用する方がいいですね!