妊婦歯科検診について

皆さんは「妊婦歯科検診」というものをご存知でしょうか?

その名の通り妊婦さんが受ける歯科の検診で、それぞれの住む地方自治体が実施しているケースがほとんどです。

今回は妊婦歯科検診についてわかりやすく解説します。

▼妊婦歯科検診とは

妊婦歯科検診とは、女性が妊娠期間中に受診する歯科検診で、基本的に無料で受けることができます。

検診の内容はそれぞれの地方自治体で少しずつ異なっていますが、基本的には一般的な歯科検診と同じです。

虫歯や歯周病の有無などを調べます。でもなぜわざわざ「妊婦」という名前がついているのか気になりますよね。

▼妊婦さんは虫歯や歯周病になりやすい

女性は妊娠する前よりも妊娠中の方が口腔疾患にかかりやすくなっています。

これは女性ホルモンのバランスが崩れ、口腔乾燥が起こりやすいことなどが原因といえます。

それだけに、妊婦さんにはしっかりとお口の健康を維持してもらうため、妊婦歯科検診が実施されるようになったのです。

▼口腔衛生管理まで手が回らない

女性ホルモンのバランスが乱れは、お口だけではなく、全身の健康状態にまで大きく影響します。

ですから、お口の衛生管理まで手が回らないという人が極めて多くなっています。

その結果、妊娠中に虫歯や歯周病にかかってしまうのです。

そこでひとつ注意していただきたいのが、歯周病によるお腹の赤ちゃんへの悪影響です。

▼歯周病が早産・低体重児出産を引き起こす

妊婦さんが重度の歯周病にかかると、早産・低体重児出産が誘発されることがあります。

これはお腹の赤ちゃんにとって深刻な悪影響が及ぶため、十分な注意が必要です。

そうしたシビアなトラブルを防ぐ上でも妊婦歯科検診は有益といえます。

検診によって歯周病などが見つかっても、適切な治療を施せば妊娠中でもきちんと治すことができますよ。

▼妊婦歯科検診を受ける方法

冒頭でも述べたように、妊婦歯科検診はそれぞれの自治体が実施しておりますので、まずは市役所などに問い合わせてみましょう。

実際に検診を行うのは、一般の歯科医院であることがほとんどなので、かかりつけの歯科医院で受けることができたらベストといえます。

▼まとめ

このように、妊娠期間中は虫歯や歯周病にかかりやすくなっていますので、妊婦歯科検診を積極的に受診しましょう。

その際、妊娠期間中のオーラルケア方法など、有益なアドバイスもしてもらえることかと思います。

歯周病の定期管理

歯周病は、比較的発症リスクの高い病気です。

現に、日本人の成人の8割以上がかかっていると言われていますので、オーラルケアを怠っていると明らかにそのリスクも上昇することでしょう。

また、治療によって症状が改善したとしても、再発しやすいのがこの病気の特徴です。そこで重要となるのが歯周病の定期管理です。

▼歯周病の定期管理とは?

歯周病の定期管理とは、いわゆる「定期検診」あるいは「メンテナンス」と呼ばれるものです。

数ヶ月に一度、歯医者さんを受診して、歯周病が再発していないかを調べます。

同時に、歯磨きが適切に行われているかもチェックした上でブラッシング指導などを実施します。

そんな定期管理を受けているだけでも、歯周病の再発を防ぐことは可能といえます。

▼どんなことをするの?

歯周病の定期管理では、必ず「歯周組織検査を」実施します。

これは初診の際に実施するもので、歯周病を発症しているかどうか、あるいはどのくらい進行しているかを調べる検査です。

具体的には歯周ポケットの深さを測る検査や歯の動揺度を調べる検査などです。

これらを実施することによって、歯周病の有無や進行度を診査することができます。

レントゲン撮影を行えば、顎の骨の状態もみることができます。

▼歯周病は完治させるのが難しい病気

歯周病の定期管理というのは、必ずしも病気が完治したあとに行うものではありません。

なぜなら、歯周病という病気自体、完全に治すことが難しいからです。

極端な話をすれば、お口の中の歯周病菌をゼロにすることは不可能ですよね?

そのため、歯周病の症状が安定したら、積極的な治療をやめ、定期管理へと移行するケースが多いといえます。

ですから、治療が終わったからといって、そのまま放置することはとても危険なことであるといえるのです。

▼どのくらいの頻度で通院するの?

歯周病の定期管理は、患者さまのお口の状態によって異なります。

一般的には3ヶ月に1回程度の頻度が推奨されますが、お口の中が汚れやすかったり、歯周組織の状態が悪かったりする場合はもう少し頻度を高めて通院した方が良いといえます。

いずれにせよ主治医と相談した上で決定することが大切です。

▼まとめ

このように、歯周病は治療が終わったあとも適切な頻度で定期管理を受ける必要があります。

症状が安定してもしっかりと管理していかなければ、またすぐ再発してしまうからです。

歯周外科治療ってなに?

皆さんは「歯周外科治療」というものをご存知でしょうか?

「外科」という言葉がついているので、なんだか怖いイメージを持たれるかもしれませんが、重症化した歯周病には有効な治療となっています。

今回はそんな歯周外科治療についてわかりやすく解説します。

▼重症化した歯周病に適応

歯周病では「歯周基本治療」がまず行われます。それは重症化したケースでも同じです。

ただ、歯周炎にまで進行して、歯槽骨の破壊も著しいケースでは、基本治療だけで治すのはなかなか難しいものです。

そこで大きな力を発揮するのが歯周外科治療です。

その名の通り外科処置を伴うので、身体への負担は大きくなりますが、歯周病の症状も大きく改善することが可能です。

▼フラップ手術について

一言で歯周外科治療といっても、実はたくさんの種類があります。

代表的なのは「フラップ手術」です。

フラップ手術とは、歯周ポケットが深くなり過ぎてしまい、スケーリング・ルートプレーニングでは歯石などを除去できなくなったケースに適応されます。

歯茎をメスで切開し、歯の根っこの部分を露出させます。

その状態で通常のスケーリング・ルートプレーニングを行うことで除去困難だった汚れを取り除きます。

ですから、歯周外科治療といっても、基本的には歯の表面に付着した汚れを除去する、あるいは除去しやすい状態にするという点において、通常の歯科治療と同じであるといえるのです。

▼歯周組織再生療法について

歯周外科治療には、「歯周組織再生療法」という治療法もあります。

これは歯周病によって破壊された骨などを再生させる治療法です。

再生治療には、自分で骨である自家骨や人工骨、それらの再生を誘導する特別なタンパク質などが用いられます。

最近では、保険が適用された歯周組織再生療法も存在しています。

▼その他の歯周外科治療について

歯周外科治療には、他にも下がってしまった歯茎を移植によって治したり、細菌に汚染された歯の根っこを切除したりする治療法もあります。

それぞれ適応症が異なりますので、事前に精密な検査を行うことが大切です。

▼まとめ

このように、歯周外科治療は重症化した歯周病に適応されるもので、様々な種類があります。

実施したからといって必ず歯周病が完治するわけではありませんが、基本治療では得られないような治療効果が得られます。

ただ、身体への負担も大きいので、出来ることなら歯周基本治療のみで改善したいものです。

歯周病と全身の関わり

歯周病は、歯茎に炎症をもたらすだけではなく、重症化することで全身の健康を害したり、全身疾患を発症させたりすることがあります。

今回はそんな歯周病と全身の関わりについてわかりやすく解説します。

▼誤嚥性肺炎との関わり

昨今、歯周病と誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)との関わりが注目されています。

歯周病が重症化すると、お口の中で増殖した歯周病菌が唾液や食物と一緒に気管へと誤嚥され、肺炎を引き起こすというものです。

実際、誤嚥性肺炎を発症している人の気管からは、かなりの確率で歯周病菌が検出されます。

また、肺炎は死に至るリスクもある重大な病気なので十分に注意する必要があります。

▼糖尿病との関わり

歯周病と糖尿病は、相互に関わり合っています。

糖尿病を発症している人は歯周病にかかりやすいですし、その逆もまたしかりです。

具体的には、歯周病菌や炎症性物質血中に乗ることで、インスリンの効果を弱めることがわかっています。

一方、糖尿病にかかると、歯茎のような末梢の組織に十分な血液および栄養素などが行き届かなくなることで、歯周病菌への感染リスクが高まるのです。

この2つの病気では、そうした負の連鎖反応が起こります。

▼脳梗塞や心筋梗塞との関わり

歯周病は、血管の病気とも密接な関連が認められます。

歯周病が慢性化すると、歯周病菌が血流に乗るようになります。

すると、血管壁が硬くなる動脈硬化が起こったり、血液中に血栓が生じたりします。

その結果、脳や心臓の血管を詰まらせる脳梗塞、心筋梗塞を引き起こすことがあるのです。

▼早産・低体重児出産との関わり

今現在、妊娠されている方あるいは近い将来、妊娠を予定されている方は、歯周病に十分注意しましょう。

歯周病が重症化すると、早産や低体重児出産を招くことがあるからです。

これもまた歯周病菌や炎症性物質が血流に乗って全身へとめぐることが原因となります。

これらの物質が子宮に到達すると、出産を急がせるような作用を示すからです。

そのためたかが歯周病とは考えず、その管理はしっかり行うことが大切です。

▼まとめ

このように、歯周病は重症化することでいろいろな全身の病気を引き起こすことがあります。

いずれの病気も命に係わるような重大なものなので、可能な限り予防することが大切です。

そのため歯周病は早期に治療を開始して、重症化しないようコントロールしましょう。

3ヶ月に1回程度の定期検診を受ければ、重症化する前に歯周病を発見することができますよ。

歯周病を予防する意義と方法について

歯周病は進行すると歯を失うことになる怖い病気です。

けれども、自覚症状に乏しく、重症化するまでにはそれなりに期間もかかるので、あまり深刻に考えない人も少なくありません。

そこで今回は、歯周病を予防する意義や方法についてわかりやすく解説します。

▼歯周病を完治させるのは難しい?

虫歯は、虫歯菌に侵された部分を削れば、完治させることも可能ですよね。

病変を物理的にゼロにすることができるので、完全に治すこともできます。

一方、歯周病というのは、歯茎への細菌感染が原因となることから、完治させるのはなかなか難しいといえます。

歯周病菌に感染した歯茎をすべて取り除くわけにはいきませんし、地道にその数を減らしていくしかないからです。

そういう意味でも歯周病はできるだけ予防することが重要といえるのです。

▼歯周病を予防する方法

歯周病を予防する方法は、至ってシンプルです。お口の中の細菌が繁殖しない環境を作り上げれば良いのです。

歯周病菌をはじめとした病原菌は、歯垢や歯石を住みかとして繁殖します。

それらの形成を防止することができれば、自ずと歯周病予防へとつながっていきます。

具体的には、毎日のオーラルケアが基本となります。

▼セルフケアを徹底する

歯垢や歯石をため込まないためには、日々のセルフケアを徹底する必要があります。

お口の中が汚れる原因というのは、主に食事ですので、食事のあとは必ず歯磨きやうがいをするようにしましょう。

とくに、朝起きた時と夜眠る前の歯磨きはしっかり行いましょう。

睡眠中は唾液の分泌が低下し、細菌が繁殖しやすくなるからです。

▼プロフェッショナルケアを受ける

歯周病は、セルフケアのみで予防するのは簡単ではありません。

歯磨きの方法やタイミング、回数などは自己流になりがちですので、定期的に専門家である歯科衛生士のアドバイスを受けることが大切です。

また、一度形成されてしまった歯石は歯ブラシで落とすことができませんので、クリーニングやスケーリングといったプロフェッショナルケアで除去するようにしましょう。

▼まとめ

このように、歯周病はセルフケアとプロフェッショナルケアをバランス良く行っていくことで予防しやすくなります。

歯周病は一度発症してしまうと厄介な病気なだけに、可能な限り予防するよう努めましょう。

当院までお越しいただければ、そのお手伝いができることかと思います。