歯周病を予防する意義と方法について

歯周病は進行すると歯を失うことになる怖い病気です。

けれども、自覚症状に乏しく、重症化するまでにはそれなりに期間もかかるので、あまり深刻に考えない人も少なくありません。

そこで今回は、歯周病を予防する意義や方法についてわかりやすく解説します。

▼歯周病を完治させるのは難しい?

虫歯は、虫歯菌に侵された部分を削れば、完治させることも可能ですよね。

病変を物理的にゼロにすることができるので、完全に治すこともできます。

一方、歯周病というのは、歯茎への細菌感染が原因となることから、完治させるのはなかなか難しいといえます。

歯周病菌に感染した歯茎をすべて取り除くわけにはいきませんし、地道にその数を減らしていくしかないからです。

そういう意味でも歯周病はできるだけ予防することが重要といえるのです。

▼歯周病を予防する方法

歯周病を予防する方法は、至ってシンプルです。お口の中の細菌が繁殖しない環境を作り上げれば良いのです。

歯周病菌をはじめとした病原菌は、歯垢や歯石を住みかとして繁殖します。

それらの形成を防止することができれば、自ずと歯周病予防へとつながっていきます。

具体的には、毎日のオーラルケアが基本となります。

▼セルフケアを徹底する

歯垢や歯石をため込まないためには、日々のセルフケアを徹底する必要があります。

お口の中が汚れる原因というのは、主に食事ですので、食事のあとは必ず歯磨きやうがいをするようにしましょう。

とくに、朝起きた時と夜眠る前の歯磨きはしっかり行いましょう。

睡眠中は唾液の分泌が低下し、細菌が繁殖しやすくなるからです。

▼プロフェッショナルケアを受ける

歯周病は、セルフケアのみで予防するのは簡単ではありません。

歯磨きの方法やタイミング、回数などは自己流になりがちですので、定期的に専門家である歯科衛生士のアドバイスを受けることが大切です。

また、一度形成されてしまった歯石は歯ブラシで落とすことができませんので、クリーニングやスケーリングといったプロフェッショナルケアで除去するようにしましょう。

▼まとめ

このように、歯周病はセルフケアとプロフェッショナルケアをバランス良く行っていくことで予防しやすくなります。

歯周病は一度発症してしまうと厄介な病気なだけに、可能な限り予防するよう努めましょう。

当院までお越しいただければ、そのお手伝いができることかと思います。

虫歯のリスクは年齢によって変わる?

虫歯のリスクというのは、年齢によって変わってくるものです。

そのため、積極的に予防処置を受けなければ、すぐに虫歯になってしまうような年代も存在しています。

今回はそんな年齢別の虫歯リスクについてわかりやすく解説します。

▼歯がなければ虫歯にはならない

当たり前のことですが、虫歯は歯に生じる病気ですので、歯がなければ虫歯になることはありません。

つまり、歯が生えてくる前の赤ちゃんやすべての歯を失ったお年寄りの方は、虫歯のリスクがゼロとなります。

年代でいえば生後1年未満のお子さまや80~90歳代の高齢者です。

もちろん、歯を失う時期というのは人それぞれで異なりますので、厳密な年代を減給することは難しいです。

▼乳歯が生えてくる1~3歳は要注意

乳歯というのは、生後半年くらいから生え始め、3歳ごろには生えそろいます。

その期間中は歯並びも安定しないことから、虫歯のリスクも高まります。

逆に、この時期しっかりと虫歯予防をすることができれば、それ以降も虫歯にかかりにくい健康な口腔環境を維持しやすくなります。

ですから、1~3歳の時期には一度、小児歯科を受診しておくことをおすすめします。

▼6歳臼歯が生えてくるころもリスクが上がる

乳歯列が完成したら、次は永久歯への生え変わりです。

6歳くらいになると「第一大臼歯」という奥歯が生え始めます。

6歳臼歯とも呼ばれる歯ですね。

この時期も歯の生え変わりによって歯並びが乱れることから、虫歯のリスクが上がります。

フッ素塗布やシーラント処置を受けることで、虫歯のリスクを低下させるよう努めましょう。

▼永久歯が完成するまでの時期

永久歯列が完成するのは、15歳くらいです。

つまり、中学生から高校生にかけてすべての永久歯が生えそろう人が多いといえます。

その期間は部活や勉強など、毎日忙しいだけではなく、思春期特有のストレスも多いことから、虫歯のリスクも上昇します。

▼成人してからの虫歯のリスク

成人したあとは、歯もすべて生えそろっていますし、幼児期や学童期ほど虫歯のリスクは高くなりません。

毎日の歯磨きをしっかり行い、定期検診などを受けることで衛生的な口腔環境を維持することも難しくなくなります。

▼まとめ

このように、虫歯のリスクは年代によって大きく異なりますので十分注意しましょう。

それぞれの年代に応じた最適といえる虫歯予防法を実践することが大切です。

歯周病の症状と診断、治療について

歯周病は、虫歯とは異なる特徴的な症状が現れる病気です。

今回はそんな歯周病の症状と診断方法、治療方法などをわかりやすく解説します。

▼歯周病の症状

歯周病の症状は、進行度に応じて大きく変わります。

まず歯周病というのは、歯肉炎と歯周炎の2つに分けることができます。

歯肉炎は歯茎である「歯肉(しにく)」に炎症が生じる段階で、比較的軽度の歯周病に分類されます。

歯茎が赤く腫れ、ブラッシング後に出血するのが主な症状です。

「歯周炎(ししゅうえん)」は、歯茎だけではなく、歯根膜や歯槽骨といった歯周組織全体に炎症が広がった段階です。

重症度としては、歯肉炎よりも高くなっています。

歯茎から膿が出たり、歯がグラグラと揺れ動いたりするのは、歯周炎に見られる症状です。

最終的には歯を支えきれなくなり、歯の脱落が生じるのも歯周病の特徴的な症状といえます。

▼歯周病の診断方法

歯周病が疑われる場合は、「歯周組織検査」が行われます。

歯茎の状態を目で確認したり、歯周ポケットの深さを測ったりする検査です。

それに加えて、レントゲン撮影を行うことで、歯根膜や歯槽骨といった肉眼では確認することが難しい部分も診査することができます。

そうして得られた情報をもとに、歯周病の診断をくだします。

▼歯周病の治療方法

歯周病の治療は、「歯周基本治療」から始まります。

これは歯肉炎でも歯周炎でも同じです。歯周病の原因となっている歯垢や歯石を取り除き、お口の中の歯周病菌の数を減らします。

これは患者さまご自身のブラッシングが基本となりますが、歯科医院で受けるクリーニングやスケーリングも並行して行います。

ブラッシング指導することで、正しいオーラルケアを実践できるようにも導いていきます。

軽度の歯周病であれば、そうした基本的な治療で症状も改善されるのですが、重症度の高いケースでは、歯周外科治療などが必要となります。

具体的には、歯茎をメスで切開して、歯根面の歯石を落とすなどの処置です。

いずれにせよ、歯周病の治療というのは比較的長い期間を要するものだとお考えください。

▼まとめ

このように、歯周病は独特な症状が現れる病気ですが、自覚しにくいのもひとつの特徴です。

そんな歯周病を重症化させないためには、定期検診を受けることが最善といえます。

当院まで定期的にご来院いただければ、歯周病の早期発見・早期治療はもちろんのこと、歯周病予防のために歯のクリーニングやスケーリングも実施いたします。

大きな虫歯でも神経を抜かずに治療する方法

虫歯は進行すると、歯の神経に症状が現れてきます。冷たいもの、温かいものがしみてジーンとしたり、何もしなくてもズキズキと痛みます。専門的には「歯髄炎(しずいえん)」と呼ばれる症状です。歯髄炎を発症すると、基本的には神経を抜かなければならないのですが、治療法によっては神経を抜かずに済むことがあります。今回はそんな神経を保存する治療法についてわかりやすく解説します。

▼なぜ神経を抜かなければならないの?

大きな虫歯では、「抜髄(ばつずい)」と呼ばれる神経を抜く処置が行われます。歯に限らず神経というのはとても大切な組織なので、それを抜いてしまうことに抵抗を覚える人も少なくないでしょう。けれども、神経の症状が出ているということは、歯髄にまで感染が疑われることから、抜いてしまった方が安全といえるのです。ただし、ケースによっては神経を抜かずに済むこともあります。

▼神経に感染が広がっていない

歯髄炎のような神経の症状が現れていても、まだ歯髄に感染が起こっていない場合があります。とても大きな虫歯でも、神経がある場所の歯質はまだ残されていれば、細菌感染していない可能性が高まります。そういったケースでは、虫歯を取り除いたあとに、薬剤を塗布して歯髄炎の症状を抑えます。その後、問題がなければ被せ物などを装着します。

▼乳歯に行われる生活歯髄切断法

乳歯は、次に生えてくる永久歯のために、出来る限り神経を残す必要があります。そこで良く行われるのが「生活歯髄切断法(せいかつしずいせつだんほう)」です。これは乳歯の大きな虫歯に対して、神経の一部分のみ抜髄する処置です。結果的に、根っこの部分の神経を保存できることから、次に生えてくる永久歯への悪影響を最小限に抑えることが可能となります。

▼幼若永久歯も神経の保存が優先される

生えて間もない大人の歯を「幼若永久歯(ようじゃくえいきゅうし)」といいます。幼若永久歯は、歯根が未完成なので、歯の神経を抜いてしまうのは非常にリスキーといえます。そこで行われるのが「アペキソゲネーシス」と呼ばれる治療法です。乳歯における生活歯髄切断法とほぼ同じ治療法で、根っこの部分の神経を残します。そうすることで、歯根の発育を完了させることができます。

▼特殊なセメントで神経を保護する

MTAセメントを用いて神経を保護することで、神経を抜かずに治療を終えることができる場合もあります。MTAは1988年頃から登場したと言われます。歯を削った後に神経に近い部分に詰めても、後々になって神経が壊死したり炎症を起こしたりしにくいものです。歯の神経を緊密に封鎖し、また菌の侵入を防ぐことができます。これまで、神経に近い大きな虫歯の治療をする際に、神経を保護する材料として水酸化カルシウム製剤や3Mix,3Mix-MPなどがの薬剤がありましたが、それらを注意深く使用しても良好な予後が得られるとは限りませんでした。MTAセネントではセメントの成分が水と反応して水酸化カルシウムが生成され、それによって強アルカリになることで細菌を寄せ付けず抗菌性がアップすると言われています。一旦固まるとかなり安定した硬さになりますので、長期に渡って痛みが出ないのもポイントです。ただし、MTAセメントは高価な材料で今のところ日本の健康保険適用ではありません。自費治療で費用を負担して治療を受ける必要があります。また、きちんと結果を出そうとするならばルーペやマイクロスコープなどを使った拡大精密治療で治療を受けるほうが良いでしょう。いくら良いセメントを使ったとしても肉眼治療では精度に限界があるからです。

▼まとめ

このように、大きな虫歯であってもケースに応じて歯の神経を残すことが可能です。歯髄の保存療法を適応できるかどうかは、ケースバイケースとなっておりますので、まずは精密に検査する必要があります。歯髄を保存する治療をご希望の場合はまずは検査を受けて自分がその適用かどうか診断してもらいましょう。

音波歯ブラシについて

歯ブラシには、手で動かすタイプのものと電動のものとがありますよね。さらに電動のものには、音波歯ブラシという少し特殊なタイプが存在しています。今回はそんな音波歯ブラシの特徴などをわかりやすく解説します。

▼音波歯ブラシってなに?

音波歯ブラシとは、電動歯ブラシの一種で「音波」によって歯垢などを取り除きます。どちらからというと、音波ではなく超音波を用いる「超音波歯ブラシ」の方が有名かもしれませんね。いずれも通常の歯ブラシや電動ブラシとは異なる特徴を持っています。

▼音波による振動で汚れを落とす

通常の歯ブラシでは、歯の表面に毛先を当てて、汚れを掻き出していきますよね。研磨剤などを用いると、歯に強い刺激が加わり過ぎて、エナメル質を傷つけることもあります。一般的な電動歯ブラシも、ほぼ同じメカニズムで汚れを落とすものとお考えください。ですから、扱い方によっては歯を傷つけることもあります。

一方、音波歯ブラシや超音波歯ブラシというのは、直接的に歯を磨き上げるようなことはしません。音波歯ブラシから発せられる音波や超音波が振動を生み、その衝撃で歯の表面に付着した汚れを取り除くからです。歯科の定期検診などで、超音波装置による歯石除去などを受けた経験がある方もいらっしゃることでしょう。

▼音波歯ブラシは危険じゃない?

音波や超音波と聞くと、少し身構えてしまう人も少なくないかと思います。確かに、日常生活の中で音波や超音波を使うことはありませんし、ましてやそれをデリケートなお口の中に作用させるのですから、不安に感じるお気持ちもよく理解できます。とはいえ、先ほども述べたように、超音波装置は歯科医院でも用いられており、安全性は確率されています。むしろ、通常の歯ブラシや電動歯ブラシを不適切な形で使用する方が危険であるといえるのです。

▼普通の歯ブラシとどっちがいいの?

音波歯ブラシはとても便利な器具ですが、メリットしか存在しないわけではありません。装置自体が効果であると同時に、適切な方法で使用しないと磨き残しも多くなります。ですから、音波歯ブラシはすべての人におすすめできるものではないのです。もちろん、上手に使えば普通の歯ブラシよりも良い効果が得られることも多々あります。

▼まとめ

このように、音波歯ブラシは少し特殊な清掃器具ですが、安全性が確立されています。また、上手に使うことで口腔衛生の向上にも役立ちますよ。