コラム:妊娠中の歯科治療

今日は妊娠中の歯科治療についてのお話です。

Miho歯科医院にも妊婦の方がよくいらっしゃいます。

マタニティー歯科の観点から、よくある質問をまとめてみました!

 

Q1,妊娠中は歯科治療をうけてもいいでしょうか?

A1,安定期に行えば、通常の麻酔やレントゲンやお薬も問題ありません。
安定期以外でしたら応急処置のみにとどめておきます。

安定期に入れば、治療の際の麻酔も少量ですので問題ないです。

レントゲン撮影も防護服を着用することでほとんど被爆はありません。

また、お薬は安全性の高い種類のものを考慮して使用します。

どうしても心配な場合は、産婦人科の医師に相談して薬をだしてもらうようにします。

 

Q2,つわりがひどくて歯ブラシができません・・・

A2,小さめの歯ブラシに替える、
歯磨き粉を刺激の少ないものに替える、
どうしてもだめならせめてうがいをこまめにする


など工夫をしてみてください。

無理せずできることだけを調子がよい時に行うようにします。

殺菌作用がしっかり期待できる「クロルヘキシジン」という成分が入ったうがい薬の「コンクール F」がオススメです。 

Q3,妊娠してから歯ぐきが弱くなったような気がします・・・。

A3,妊娠中は、女性ホルモンの影響で歯ぐきの炎症が起こりやすくなります。

また、つわりでブラッシングが十分できないと、

不潔になって歯ぐきの炎症が起こります。

歯科医院で歯石を除去してもらうことで改善されますので、

歯科検診を一度は受けるようにしましょう。

 

妊娠中の女性のうち歯周病(いわゆる、しそうのうろう)の人は低体重児を早産する確立が高くなるという報告があります。

そして、お母さんのお口の虫歯菌は子供に感染するので、虫歯も安定期に入ったら治療しておいたほうが良いと思います。

この他にも疑問がありましたらどうぞお気軽にお尋ねくださいね(^^)

 

歯がなくなるのは老化のせい?

歯がなくなるのは老化のせいと考えていませんか?
お年寄りの歯がぐらつき始める、抜け落ちることを病気と考えない人もいます。
しかしこれはれっきとした歯周病(昔は歯槽のうろうと呼ばれていました)という病気です。

虫歯と比べると歯周病への対策はかなり遅れて始まりました。
歯に穴があき、痛みの伴う虫歯と比べると、
一般的な歯周病の進行はかなりゆっくりしています。
歯がぐらつきだしたり膿が出るなどの症状を自覚するのは、
歯周病が末期になってからなのです。
このため、長い間歯周病の治療は悪くなった歯を抜歯するしかありませんでした。

現在では、歯周病の発症や進行のメカニズムもある程度解明され、
初期から中等度までの進行は、患者さんの協力さえあれば、
十分にコントロールできるようになりました。
最新の研究では、血液を調べることによって患者自身の歯周病に対する感受性(歯周病にどのくらいなりやすいか)を歯周病の発症前から知ることができます。
つまり、歯周病は予防可能な病気なのです。

歯周病治療の基本はプラークコントロールです。
歯磨きもひとつの方法ですが、それだけでは十分ではありません。
歯と歯茎の隙間の溝(歯周ポケット)などのブラシでコントロールできないところは、歯科衛生士による専門的な処置が必要です。
場合によっては薬剤の使用が必要となることもあります。
さまざまな手段のプラークコントロールによって、
歯周病を進行させる有害な細菌の増殖を身体が許容できる程度にコントロールすることがこの病気の予防であり治療なのです。

歯周病も虫歯と同様に、そのかかりやすさは人によって違います。
遺伝的素因や喫煙などの環境因子も深く影響しています。
歯周病の予防のためには、「早期発見・早期コントロール」をこころがけましょう!!

暑い夏の虫歯予防!

こんにちは。

Miho歯科医院 院長の前原です。

暑くなると冷たいジュースが飲みたくなりますね。
でも、ジュースを飲むその前に…
そのジュースに砂糖は入っていませんか?

ペットボトル飲料でしたら裏側に

「果糖ブドウ糖液糖」と書いてあるものはとても危険です!!!

砂糖や炭水化物を摂取すると、
プラーク(歯垢)中の虫歯菌(ミュータンス菌)によって代謝されて有機酸が作られ、
その酸で歯の表面のミネラルが溶け出していきます。
これを脱灰(だっかい)と言います。
一定時間が経つと、唾液の浄化作用・緩衝作用により、
唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンが再び歯に沈着し、
溶け出した部分が修復されます。
これを再石灰化といいます。

お口の中では常に「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されており、
このバランスが「脱灰」に傾いてしまうと虫歯ができるのです。

砂糖が頻繁にお口に入る食生活をしていると虫歯ができてしまうのはそのためです。

たとえば、1日に同じ量のジュースを飲んでいる場合でも、
おやつと食事の間に飲んでいる習慣を、
ジュースはおやつと一緒に飲み、
それ以外の水分摂取を麦茶に変えるだけで、
虫歯ができる危険性は大きく改善されます!!!

お茶、お水などお砂糖を含まない飲み物は虫歯になりません。

紅茶でも「ストレートティー」はお砂糖が入っていて甘いですよね?!

「無糖」の紅茶でしたら虫歯を作る原因となりませんので安心です。

冷えているときは甘みがわかりにくいですが、ぬるくなったときに甘い飲み物は虫歯リスクがあって要注意!!なのです。

暑い夏の飲み物は工夫をして、
虫歯ができにくい食生活を送ってくださいね!

歯周病ってなあに?

待合室に「歯周病」のパンフレットを置いています。
歯周病は痛みもなくゆっくり進行するので、
ほとんどの人は歯周病に気が付きません。
症状が出た時にはすでに手遅れ、
歯を抜かないとだめですね、と言われたりします。
そもそも歯周病ってどんな病気なのでしょう。
治るのでしょうか。
今日はそのような疑問についてお答えします!

歯周病の自覚症状としては、
・歯を磨くと歯茎から出血する
・歯茎が赤い、腫れている
・歯茎が痩せてきた
・歯茎から膿がでる
・口臭がする
・歯がぐらつく、咬むと動いて痛い
・歯と歯の隙間が広がってきた
などが挙げられます。
歯を支える歯茎・歯根膜・骨にかけての細菌感染症です。

歯周病の診断には、「歯周ポケット」という部分の深さを測ることと、
レントゲン写真によって骨の状態を確認することが必要です。
「歯周ポケット」とは、歯と歯茎の境目の溝のこと。
健康な場合でも1-3ミリの深さがあります。
深さが4ミリを超えてくると歯周病菌が増え、
治療の対象となってきます。
歯周ポケットを測定した時に出血があるのかないのかも重要です。
出血する歯周ポケットの場合は炎症が進行しており、
これからも悪化していく可能性があります。
また、レントゲン検査で骨が破壊されていないかを確認する必要があります。
慢性の炎症が持続すると、
歯を支えている「歯槽骨」という顎の骨が溶けてしまいます
骨が溶けてしまうので歯がぐらついてきたり、
ひどいときは抜け落ちてしまうのです!
恐ろしいですねー><

歯周病を治すには、まずは「プラークコントロール」が大切!
ご自身によって歯の表面を丁寧にブラッシングしなければいけません。
(歯の表面の歯垢を「プラーク」と呼びます)
どのように磨いてプラークを除去すればいいのか、
個人個人で歯並びや磨き癖などもありますので、
歯科医師や歯科衛生士の指導を受けてブラッシングの改善をすることが大事です。
やみくもに磨いてしまうと、歯茎を傷つけたり歯が削れたりします。
歯を磨かないと歯周病になりますが、
磨きすぎも逆に歯にダメージを与えてしまうのです。
「タバコのヤニ、茶渋の着色が気になるから」と
「ホワイトニング効果」を強調した歯磨き粉でゴシゴシ磨くのは禁物です。
研磨剤が多く入っている歯磨き粉は歯を削ってしまうことがあります。
また、歯石になった汚れは歯科医院で専用の器具を使って取らないと、
ご自身で無理をしても絶対に取れません。

プラークコントロールがまずは第一、そして歯石除去も重要な治療です。
「歯石を取るのに何回も歯医者に通わないといけないのはいや」
などとおっしゃる意見を聞きますが、
病状が進行している場合は歯石除去には回数がかかります。
程度が軽い場合を除いては1回ですべての歯のすべての面の歯石を取り除くことは困難です。
さらに重症の場合は、「歯肉切除」「歯肉剥離掻把術(しにくはくりそうはじゅつ)」などの
歯周外科処置を行う患者さんもいます。
進行している場合は歯の噛み合せの治療が必要になる場合もあります。

症状が出にくいのでなかなか気づきにくい歯周病ですが、
定期的なクリーニング(PMTC)により健康な歯を歯茎を維持していくことが可能なのです。

虫歯ができる理由をおさらいしよう!

今日は虫歯のできる理由をもう一度復習しましょう!
原因を知れば対策を立てることができます。

食事をする度に私たちの歯の表面では何が起こっているのでしょうか?
虫歯の原因は、俗に言う「虫歯菌」=「ミュータンス菌」の作り出す「酸」です。
歯の表面に「ミュータンス菌」のような虫歯の原因菌が棲み付いていると、
食事に含まれている炭水化物(糖)を栄養源にして、
かなり強い「酸」を作ります。
酸が作られると歯面のプラーク(=歯垢、細菌の塊)中の酸性度(PH)が上昇します。
酸性になると歯からカルシウムやリン酸などの、
歯質を構成している物質が唾液中に溶け出して、
歯の結晶構造が弱められます。
(この現象を「脱灰」といいます。)
しかし、唾液の働きによってプラーク中の酸性度が中和される(緩衝作用)と、唾液中に溶け出していたカルシウムイオンやリン酸イオンが再び歯に戻り、歯質の結晶構造を立て直します。
(この現象を「再石灰化」といいます。)

つまり、歯の表面では食事の度に「脱灰・再石灰化」が繰り返されているのですが、この二つの力のバランスが取れていれば何も問題ありません。
しかし、このとき強い「脱灰」が長く続いたり、「再石灰化」の力が弱いと、
「脱灰」が進んで歯に穴があき、虫歯となります。

虫歯のなりやすさは、歯の表面に固着して強い酸を作るミュータンス菌や乳酸桿菌の量、飲食回数、のど飴なのど常用や就寝前の飲食などの悪い食習慣、未成熟な歯や複雑な形態の歯、口腔清掃の不良(歯を十分に磨かない)、過度の砂糖摂取などの「脱灰」にかかわる因子と、
唾液の分泌量や緩衝作用、フッ化物の使用、抗う蝕食品(虫歯にならない食べ物)の使用などの「再石灰化」に関わる因子の相互作用によって決まります。
虫歯が進行した人の口の中では、このような条件がいくつか重なっていることが多いですが、個人差が大きいので十分に調べなければいけません。

お口の「脱灰・再石灰化」のバランスを整えていくことで、
虫歯になりにくいお口の環境にしていくことこそ、
本当の意味での虫歯治療になります。