学校検診では何をするのか

小学生になると、いよいよ学校検診を受ける機会がでてきます。いわゆる小児歯科での診療とは異なる部分が多々あるので、不安に感じている親御さまも少なくないかもしれませんね。今回はそんな学校歯科検診について、わかりやすく解説します。

▼スクリーニング検査

学校歯科検診というのは、全校生徒が受けるものなので、一人一人にかけられる時間は極めて少なくなっています。ですから、異常があるかどうかをチェックする「スクリーニング検査」として性質が強いといえます。一般の歯科医院で受ける定期検診とはかなり異なるということを知っておいてください。

▼学校歯科検診の内容

学校歯科検診では、学校歯科医である歯医者さんが子どものお口の中を一人一人チェックしていきます。むし歯や歯周病の有無だけではなく、歯が正常に生えてきているか、あるいは生え変わりがスムーズに進んでいるかなども調べます。その他、歯茎やかみ合わせの異常、顎関節の症状なども大まかに検査します。その上で異常が認められたら、かかりつけ医で精密検査や実際の治療を受けるように推奨されます。

▼学校歯科検診では治療は行わない

学校歯科検診はあくまで簡易的な検査を行うだけなので、具体的な歯科治療を行うことはありません。むし歯や歯周病を指摘されたら、いつも通っている歯医者さんのところへ行っていください。学校歯科検診で異常を指摘された旨を伝えれば、精密に検査した上で、適切な治療を施してくれます。

▼学校歯科検診はとても重要

学校歯科検診は、簡易的な検査しか行うことができませんが、子どものお口の健康を維持する上で、とても重要な役割を果たしてくれます。というのも、ご家庭によっては歯痛などの強い症状が認められない限り、歯医者さんには連れていかない、というケースも珍しくはないからです。

そのため、学校歯科検診で始めてむし歯などの異常に気付くことも多々あるのです。そういう意味でも学校歯科検診は、非常に重要といえます。ただ、出来ることなら学校歯科検診が始まる前から、小児歯科などに通い始めた方が良いといえます。

▼まとめ

このように、学校歯科検診ではお口の中を簡易的に調べ、精密検査や治療が必要かどうかを判断します。もしも異常が見つかったら、当院までいつでもご連絡ください。詳しく調べた上で、最善といえる治療法をご提案します。

保険の義歯と自費の義歯の違い

入れ歯やブリッジのことを専門的には「義歯(ぎし)」といいます。そんな義歯は保険診療と自費診療のいずれかを選択することができます。今回はそんな保険の義歯と自費の義歯の違いをわかりやすく解説します。

▼保険の義歯の特徴

保険診療の義歯は、当然ですが保険が適用されるので、治療にかかる費用が安くなります。自費で製作する義歯の3分の1、あるいは10分の1の費用しかかからないので、経済面を重視する方にはおすすめの方法といえます。

ただ、使用できる材料や治療法、製作法などが限定されるため、治療後にいろいろな不満が生じることもあります。また、自費の義歯よりも長持ちしない傾向にあり、入れ歯などを作り直す頻度も高くなっています。

▼自費の義歯の特徴

自費診療の義歯は、全額自己負担となることから、自ずと治療費も高くなります。もちろん、どんな材料をどのように使用するかによっても金額は変わってきますが、基本的に保険診療よりも高くなると考えておきましょう。その分、使いやすい、あるいは見た目が美しい入れ歯やブリッジを製作できるので、治療に対する満足感も高くなります。

例えば、部分入れ歯では、「クラスプ」と呼ばれる金属製の留め具が目立ちやすいですが、自費診療であれば、クラスプが存在しない「ノンクラスプデンチャー」を製作することも可能です。他にも、熱伝導率が高い「金属床」を選択することで、食べ物の熱が伝わりやすくなり、入れ歯を入れる前と同じように食事が楽しめます。保険診療の入れ歯では、レジンと呼ばれるプラスチックしか義歯床に使えないことから、食事の味も半減するというデメリットがあるのです。

▼治療前に優先順位を決めておく

ここまで保険の義歯と自費の義歯の違いを説明してきましたが、それぞれ一長一短なのでどちらかが優れているとも言い難いのが現実です。そういわれると、ますます治療を選択しにくくなるかもしれませんね。そこで意識していいただきたいのが「優先順位」です。義歯の治療で、何を最優先に考えるかを決めておけば、治療の選択もスムーズに進んでいきます。具体的には、「審美性」「機能性」「装着感」などを優先するのなら、自費診療の義歯がおすすめです。それよりも「経済性」を優先するなら、間違いなく保険診療の義歯がおすすめといえます。

▼まとめ

このように、入れ歯やブリッジを製作する際には、まず保険か自費かを選ばなければなりません。どちらが適しているかは患者さまによって異なりますので、まずはお気軽に当院までご相談ください。

舌苔とは?

お口の中に堆積する汚れというのは、歯垢や歯石だけではありません。舌の上に形成される「舌苔(ぜったい)」という汚れに関しても、十分注意する必要があります。今回はそんな舌苔についてわかりやすく解説します。

▼舌の上の細菌の塊

舌苔は、かんたんにいうと舌の上に生じる細菌の塊です。白い汚れとして認められますが、その中には無数の細菌が繁殖しています。つまり、舌苔というのは歯垢とほぼ同じものといえるのです。それだけに、いろいろな病気を引き起こしたり、口臭の原因となったりするため要注意です。

▼舌苔による口臭

舌苔による悪影響でまず注意が必要なのが口臭です。舌苔の中には、食べかすなどのタンパク質を分解して、非常に強い揮発性のガスを産生する細菌が存在しています。そのため、舌苔がたくさんたまっている人のお口は、それなりに臭うようになるのです。もしも口臭で悩まれているのであれば、まずは舌苔の有無を確認することをおすすめします。

▼風邪や肺炎の原因になる?

舌の上で細菌が繁殖していると、それらが喉の奥へと追いやられて、風邪などの細菌感染症を引き起こすことがあります。誤嚥をしやすいご高齢の方は、誤嚥性肺炎にまで発展することがあるため、十分に注意しましょう。

▼舌苔の取り除き方

舌苔は、毎日のオーラルケアで取り除く必要があります。具体的には、「舌ブラシ」と呼ばれる専用の清掃器具を用いて、やさしく取り除くようにしましょう。意外にやりがちなのが、歯ブラシでゴシゴシとブラッシングする方法です。確かに、歯磨きの延長で舌の表面まで磨いてしまえば一石二鳥ですが、それではデリケートな舌の粘膜を傷つけてしまいます。その結果、舌に細菌感染が起こることも珍しくありません。ですから、専用の舌ブラシを用いて、ていねいに汚れを除去することが大切です。

▼完全に取り除かなくてもいい?

舌苔は、舌の表面の白い汚れとして認められますが、ある程度は誰でも生じるものです。それをゼロにしようと一生懸命ブラッシングすることは、かえって悪影響の方が大きくなるのでおすすめできません。多少であれば、舌苔が存在していても良しとしましょう。

▼まとめ

このように、舌苔というのは細菌の塊ですので、過剰に形成されていたら適切な方法で除去しましょう。舌苔の形成量によって、ある程度お口の衛生状態を見極めることが可能です。そのため、普段から歯だけではなく、舌などの粘膜にも気を配ることが大切です。

CO,C1,C2,C3,C4の違い

皆さんは歯医者さんで「Co,C1,C2,C3,C4」といった言葉を聞いたことがありますか?一見すると、ただの記号にしか見えませんが、むし歯の状態を表すとても重要な指標といえます。今回はそんな「CO,C1,C2,C3,C4」の意味や違いについてわかりやすく解説します。

▼むし歯の進行段階を意味する

「CO,C1,C2,C3,C4」というのは、すべてCという文字が含まれていますよね。このCは「カリエス」のCで、日本語ではむし歯を意味します。その後ろについている番号は、進行の度合いで、数値が大きくなるほど重症化していることを表しています。そこでひとつひとつの段階について、個別に説明していきます。

▼「CO」初期のむし歯

よく誤解されるのですが、COの「O」はゼロではなく、アルファベットのオーです。観察を意味する「Observation」のOで、CO自体を「要観察歯(ようかんさつし)」といいます。簡単にいえば、初期のむし歯ですね。まだ歯の表面に穴があいていない状態で、白いシミが生じているのが特徴です。

▼「C1」はエナメル質のむし歯

C1は、エナメル質のむし歯です。まだ比較的軽度のむし歯で、痛みなどの症状は現れていません。歯の表面に浅い穴があいている程度です。むし歯にかかっている歯質を削り取り、コンポジットレジンを充填して治します。

▼「C2」は象牙質のむし歯

「C2」は象牙質のむし歯です。むし歯菌が象牙質まで到達すると、歯痛という痛みを生じるようになります。冷たいものがしみるのが主な症状です。むし歯の穴もそれなりに深くなっているので、食べ物などが詰まりやすくなっています。また、むし歯の穴が黒ずんだりもします。治し方はエナメル質のむし歯と同じです。

▼「C3」は歯の神経まで侵されたむし歯

「C3」は、歯の神経までむし歯菌に侵されてしまったむし歯です。激しい痛みを伴うようになります。歯の神経を抜いて、根っこの治療を行わなければなりません。

▼「C4」は残根状態

「C4」までくると、むし歯もいよいよ末期状態です。歯冠部が崩壊して、歯根だけの状態となります。歯の神経も死んでしまっているので、痛みを感じることもありません。大きくのケースで抜歯が適応されます。

▼まとめ

このように、むし歯というのはCOからC4まで大きく5段階に分けることができます。それぞれに異なる症状が認められることから、進行度合いを見極める指標にもなりますね。いずれにせよできるだけ早い段階で治療を始めた方が良いといえます。

歯を抜いてそのままにしてはだめ?

むし歯や歯周病など、何らかのお口の病気で歯を抜くことになったら、その後の治療についてもしっかり考えておく必要があります。歯を抜いたままにしておくと、さまざまな悪影響がお口の中に及びます。今回はそんな抜いた歯をそのままにしておくことのリスクをわかりやすく解説します。

▼噛みにくくなる

食べ物を噛む時には、上下の歯列全体がそれぞれ適切な位置でかみ合っています。その中の一部でも欠損が生じてしまうと、そしゃく能率というのは大きく低下します。その結果、食事をするのに時間がかかったり、不十分な状態で食べ物を飲み込んでしまったりすることとなります。これはお口や全身の健康にとってあまり良いこととはいえません。

▼歯並びが悪くなる

歯を抜いてそのままにしておくと、だんだんと歯並びが乱れてきます。歯列内にスペースが存在している、そのすき間を埋めるように歯が移動を始めるからです。歯並びが乱れると、見た目が悪くなるだけではなく、かみ合わせも悪化します。

▼発音障害が生じる

例えば、抜いた歯が前歯だった場合、抜歯後なにもせずに放置すると、息漏れが生じるようになります。歯というのは、単に噛むためだけにあるのではなく、言葉を発する上でも重要な役割を果たしているからです。そうした発音障害は、ブリッジや入れ歯を装着することで改善できます。

▼他の歯や顎に過剰な負担がかかる

抜歯後に補綴治療を受けないと、上述したように「噛みにくい」という症状が現れます。それはただ不自由を感じるだけではなく、その他の歯や顎に過剰な負担を強いることでもあります。ですから、そのような不安定な状態が長く続くと、健康な歯が摩耗したり、歯周組織に炎症が生じたりすることも珍しくはありません。さらに、顎のへの負担が大きくなり、顎関節症を引き起こしてしまうこともあるのです。

▼適切な歯科治療を受ける

ここまで解説してきた通り、抜いた歯をそのままにしておくと、さまざまなトラブルが生じやすくなるので注意しましょう。ですから、歯を抜くことが決まった段階で、次に行う補綴治療についてもしっかり考える必要があります。歯がない期間が長くなればなるほど、上述した悪影響は大きくなっていきます。

▼まとめ

このように、歯を抜いたままにすることは良くありませんので、適切な治療を歯医者さんと一緒に考えましょう。抜歯後の選択肢としては、ブリッジや入れ歯、インプラントといった治療法が挙げられます。