金属床の義歯とはなんですか?

こんにちは。

堺市中区 深井駅前の歯医者 Miho歯科医院 院長の前原美保です。

最近、保険適用外の自費治療の金属床(きんぞくしょう:メタルプレート)の義歯を希望される方が増えています!

外出が制限される中、お家で美味しいご飯を食べたいニーズが高まっていると思われます。

金属の入れ歯が何故いいのかについて解説します。

<金属床義歯とは>

入れ歯というと、ピンクの歯ぐきと白い歯のイメージがありますよね。

内側の歯ぐきの部分に金属を使用した「金属床義歯」と呼ばれるタイプのものは、

薄くて丈夫で長持ちして快適に噛めるので、歯を失ったあとに装着する場合の治療の選択肢としておすすめできるものです。

金属でできたメタルプレートは強度があってしっかりしていますが、加工が大変なので一般の保険治療では使用されません。

保険治療ではピンク色のプラスチックで入れ歯は作られますが、プラスチックは強度が弱いため。割れないようにするためにある程度の厚みが必要になります。

そのため平均して1.5mm-2.0mm以上の厚みがあり、

お口に入れたときにある程度の違和感が避けられないものとなります。

<金属床義歯のメリット・おすすめポイント>

・厚みが薄くなって快適に生活できる

(プラスチック製の入れ歯の三分の一の厚さ)

・硬いものを噛んでもたわまないのでよく噛める

・精密に作るのでぴったりフィットする

・たわまないことにより顎の骨に余計な負荷がかからず、長期的に骨が痩せるのを防ぐ効果がある(大事)

・温度が伝わるので食事が美味しい

(熱い、冷たいという温度変化は味覚を形成します)

・丈夫で壊れにくいので長持ちする

・ニオイがつきにくいので口臭の元になりにくい

・汚れが付きにくく清潔に保てる

・個人個人のお口の状態や症状、悩みに合わせた設計ができて自由度があるので、

快適なものになりやすい。

・薄いので喋りやすい

このように、多くのメリットがあります。

<入れ歯と温度感覚について>

食べ物の温度は美味しさと関係します。

例えば、冷たく冷えたゼリーは美味しいですよね。

逆に、温かいスープもホッとしますよね。

プラスチックの厚いパーツがある入れ歯は温度が伝わりにくいので、

お食事の美味しさが損なわれてしまいます。

<入れ歯の厚みについて>

人によっては入れ歯の厚みが気になる方もおられます。

入れ歯のお悩みで「入れていると発音しにくい」というのがあります。

基本的に入れ歯を作ったあとは一定期間は発音や咀嚼のトレーニングが必要と言われます。

プラスチックの塊をお口に入れたままで喋ろうとすると、どうしてもモゴモゴとなりますよね。

薄くなる方が原則としては邪魔にならず喋りやすくなります。

<強度・たわみについて>

続いて、メリットとして大きなものが強度です。

材質としてたわみにくくなれば、グッと噛んだ時にしっかり力を受け止めて噛みやすくなります。

噛んだときは一般的に自分の体重くらいの力がかかるとされています。

体型によって数値は異なりますが、40-70kgくらいの力が入れ歯にかかると考えてみて下さい。

プラスチック製だと容易に変形しそうですよね。

入れ歯が乗っている顎にも無理な力がかかります。

入れ歯を装着すると1年で0.5mm顎の骨が痩せて細くなっていくとされています。

10年で5mmですね、怖いですね。

顎の骨が痩せると入れ歯が合わなくなります。

私自身も時々経験しているのが、

顎の骨が痩せ過ぎているために、

あれこれどんな入れ歯を作ってもうまく使うことができなくなっている症例・・・。

入れ歯は顎の骨に密着させて使います。

専門的には「吸着」といい、唾液を接着剤のように介在してぴったりと入れ歯が顎に吸い付くことで入れ歯は歯の代わりの役目を果たします。

もっとわかりやすい例を挙げると、小学校などで顕微鏡で観察した理科の授業を思い出してください。

ガラスのプレパラートの上に水を1適垂らし、そこに試料とカバーガラスを乗せます。

裏返しても落ちませんよね。

あの現象を入れ歯で使っているのです。

ところが、合わない入れ歯を無理やり使っていると顎の骨が痩せて隙間ができ、

この吸着が起きなくなります。

どんな入れ歯を作っても、口の中でカパカパ動いて食事や発音ができない、

痛くて入れていられない、といったことになります。

何年か前になりますが、私の医院にも「総入れ歯が合わない、あちこち歯科医院を回って何回も作ったけれど、どれを使っても痛くて痛くて、とてもじゃないけれど使えない」という方がお越しになりました。

時間をかけて精密に型どりしてシリコンを裏に貼った入れ歯をお作りしましたが、

予想通りにその入れ歯もその方は痛くて苦労されていました。

きっと、私の歯科医院以外をその後にさらに受診されたことと思いますが、

顎の状態が悪ければいくら自費の入れ歯を作成してもうまくその機能を引き出すことはできません。

その患者様は、なんとか使えるようにと調整を何度も行いましたが、

そのうち来られなくなってしまいました。

顎が痩せてしまうとインプラントもできませんし、

カタカタ動く入れ歯を我慢しながら使うしかありません。

自分の歯を残しておくのが一番ではありますが、

不幸にして入れ歯を使用することになったなら、

顎の骨の状態が良いうちに金属のしっかりした入れ歯を作成し、

それ以上骨を失うことのないようにするというのは意義があると思います。

以上、入れ歯を金属で作るメリットについて、

いくつかの視点で解説しました。

<費用・期間>

費用や期間については、歯科医院によって様々なケースがあります。

金属床の入れ歯は自由診療で行われていますので、

どのくらい手間暇をかけ、どれだけ凝って作るかで変わってきます。

費用も数十万から数百万まで様々あるでしょう。

いづれにしても、ご自身の悩みをしっかりと聴いてもらい、

よく相談の上で治療をされると良いと思います。

 

【症例写真あり】歯ぐきの治療で周組織再生療法ってどういうものですか?

こんにちは!

堺市中区 深井駅前 Miho歯科医院の歯科医師で院長の前原美保です。

今日は患者様からのご質問にお答えします。

歯周組織再生療法についてです。

骨が再生するって本当ですか?というご質問です。

本日は症例の写真を交えて解説します!

こちらは「エムドゲイン」を用いた歯周組織再生療法を行った後のレントゲン写真です。

左の写真は手術前で、右から2つ目の歯の周囲が黒く写り、

骨が溶けてしまっています。

歯の根の部分に歯石が付いているのが白く写っていて、

根の表面がザラザラしています。

右の写真は手術から1年後のレントゲン写真です。

以前は黒く写っていた部分が白く写り、骨が再生してきている様子がわかります。

こちらの症例ではエムドゲインを使用しています。

エムドゲインはスウェーデンビオラ社で開発されたブタの歯胚(歯の元になる組織)を使用した歯周組織(歯の周りの骨・歯茎など)の再生材料でし。

エムドゲインゲルの主成分はタンパク質で、子供の頃に歯が生えるさいに重要な働きをするものです。

これを歯ぐきの手術の際に使用して、歯ぐきや骨の再生をさせる治療があります。

エムドゲインは世界44カ国以上で使用され、副作用報告は1例もありません。

世界で200万症例があります。

歯周病によって損傷した歯周組織の再生を促す治療であり、

エムドゲインを使用すると治癒も早くキレイに治ります。

骨まで回復しなくても歯ぐきの治りはすごく早いです。

歯周外科治療でしか応用できませんので、

通常の歯石除去だけでなく、一度歯ぐきを切って開く必要があります。

手術後は、感染させずに治るように定期的なケアが必要です。

しかし、従来に行われていた「フラップ手術(フラップオペ)」と呼ばれる保険適用の手術と比較すると、手術後の回復が非常に早い症例が多い治療法です。

エムドゲインゲルは保険適用外の薬剤ですので、

自費治療であり、価格は医院によって様々です。

当院では、症例により、7万円(税抜き)~20万円(税抜き)です。

(価格はこの記事に執筆の時点のものです)

歯の病気の代表的なものはむし歯と歯周病です。

むし歯がない方の場合は歯医者を受診するきっかけがなく、

歯周病治療が手遅れになるケースも見かけます。

歯周組織再生療法は、誰でも確実に骨や歯ぐきが再生するわけではなく、

適応症というのが厳密に存在します。

また、タバコをすっている喫煙者の場合は特に良好な結果は得られません。

やはり、歯周病になってから治すというより、

健康なうちから歯医者に通って歯周病を予防していくほうが賢明と言えるでしょう。

今日は、歯ぐきの治療の「歯周組織再生療法」についての解説をしました。

再生治療をご希望の場合は、まずは歯科医院でレントゲン検査や歯周組織検査を受け。

再生治療の適応症かどうかを歯科医師に診断してもらう必要があります。

 堺市中区 深井駅前 Miho歯科医院 歯科医師 院長 前原美保

セラミック治療って保険治療とどう違うの?

虫歯を治すのに、

「保険にしますか?自費にしますか?」

歯医者さんで尋ねられて困った経験はありませんか?

こんにちは!

大阪府堺市中区 深井駅前 Miho歯科医院 院長の前原美保です。

精密な治療とともに、歯が悪くなる前の予防を大切にしています。

歯科医師として20年以上患者様の治療に携わってきました。

今回は歯科での自費治療について解説をします。

治療前

一般的な保険治療では、虫歯を削って詰める際に銀歯が使われます。

しかし、この銀歯は治療してから数年で再度虫歯になり、

結果としてご自身の歯をさらに大きく削ることになります。

安く治しても数年で再発するのは困りますよね。

次に紹介するのは銀歯を削って外し、セラミックに交換された症例写真です。

(1本だけ、銀歯を外して虫歯を治した後、再びご希望により銀歯を新たに装着しています)

セラミックを用いて下の歯4本、上の歯12本(インプラントによるもの2本)

合計18本治療しています。

・見た目が自然で綺麗

・虫歯再発のリスクが少ない

・変色しない

・口臭の原因となりにくい

などのメリットがあります。

セラミック治療のリスクとしては、

・費用がかかる(1本の治療に5−20万円くらい、歯科医院により異なる)

・削ることでしみる症状が出ることがある

・セラミックが割れたりかけることがある

参考 治療期間1年半

費用 総額 278万円

 別の写真を見てみましょう。

歯科用金属はお口の中で腐食して劣化し、

金属イオンが放出されます。

金属イオンは体内のタンパク質と結合して異物となり、

アレルギーを起こすことが知られています。

金属を装着して数年経ってから起こってきますので、

身体の不調の原因が金属であることを通常は気づきにくいでしょう。

金属アレルギーといっても、指輪や時計などのアクセサリーなら自分で外せますが、

銀歯の場合は自分で外すことができません。

歯科医院でも削り取って壊して外します。

厄介ですね。

銀歯では虫歯が再発したり体調を崩す原因となるので、

極力金属による歯科治療は避けておきたいものです。

お口の中の金属は電流が流れます。

スプーンやアルミホイルでピリッと電流を感じたことはありませんか?

お口の中で異種金属が唾液を介在して接触したことで電流が流れるのです。

人の身体は電流による影響を受けます。

歯の金属によって流れる電流が、いわゆる不定愁訴と言われるイライラ、肩こり、頭痛、不眠などを引き起こし、自律神経のバランスを崩す一因となります。

こういったトラブルを避けるためにも、セラミック治療は有効です。

なお、セラミック治療の適応症かどうかは歯科医師の診察が必要です。

セラミックにもデメリットがあり、強い歯ぎしりやくいしばりで割れるリスクがあります。

歯ぎしりがひどい方の場合は、夜間のマウスピース装着が必要な場合もあります。

マウスピースをつけることで、歯へかかる負荷を減らして、割れたり欠けたりするのを防ぎます。

Miho歯科医院 院長 前原美保

第一大臼歯を失ったら?

咀嚼に重要な第一大臼歯を失ったらどうしたらいいでしょうか?

今日は第一大臼歯を失ったらどう考えて治療を受ければいいかについてまとめました。

第一大臼歯は、通常は前から数えて6番目の歯、6歳で生えることから6歳臼歯とも呼ばれます。咀嚼の中心になり咬み合わせを支える大事な歯で、ここを失うと噛みづらくなります。
第一大臼歯を失った場合も、部分入れ歯、ブリッジ、インプラントのいずれかを用いて治療を行うことが必要です。
患者様の希望や価値観に合わせて、最も予後が良いと思われるものをおすすめしております。

例えば部分入れ歯は使いたくないというご希望の場合はどうでしょうか?

残る選択肢はブリッジかインプラントです。

抜歯した歯の両隣が天然歯で健康な場合は、せっかくの天然歯を削ってブリッジを装着することは、できれば避けたいものですね。

歯がぐらぐらしているわけでもないのに、連結してつなぐというのも
受け入れ難いものがあります。

そういった場合はインプラントを一本入れれば、十分に失った機能を回復させることができます。

特に下顎の場合は上顎よりも成功率が高く、安心した予後が見込めます。


インプラントは顎の骨にチタンでできた人工の歯根を埋め込み、被せ物を作って自分の歯の代わりにします。

第一大臼歯は奥歯の永久歯の中では一番早く生えてきて、子供の頃から咀嚼の要として、お口の中で重要な役割を果たしています。

上下の第1大臼歯だけで咀嚼力全体の1/3を受け持つと言われ、その力は約60キログラムにも相当します。

しかし、虫歯や歯周病で抜いたあと放置している方も多いのが現状です。


日本人の第1大臼歯の平均寿命は50歳前後というデータがあり、50歳前後で失った後は何らかの処置が必要になります。
失った後放置すれば、奥の7番目の歯が手前に倒れ込んできたり、上の噛み合う歯が下に伸びてくるなど二次的な障害を引き起こします。倒れたり伸びてくることでそれらの歯も悪くなり、ひいては歯を失うことに繋がりかねません。かみ合わせが崩れた「咬合崩壊」という状態のリスクも高くなります。1本の歯の喪失を引き金に次々とドミノ倒しのように他の歯も悪くなっていきます。

二次的な障害を引き起こした状態になった場合、きちんと治すためには矯正治療で倒れた歯を起こしたり伸びてきた歯を削って整えるなど、さらに治療が必要になって複雑になり、治療の費用や期間もかかってしまいます。二次的な障害は痛みもなく徐々に起こるため、自分で気づきにくいものです。治療に訪れる患者さんでこの二次障害を自覚している方は少ないです。


第一大臼歯は重要な歯です。もし治療が必要な状態になった時は放置せず早めに治療を受け歯を失うことのないように守っていきましょう

以上、第一大臼歯を失ったら?というトピックについてでした。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは

大阪府 堺市中区 Miho歯科医院
歯科医師 前原美保
https://mihoshika.com

閉塞性症候群に対するマウスピース治療についてお話しします。

睡眠歯科として注目を集めている分野です。

睡眠時無呼吸症と診断される患者さんは全国で50万人が受診して治療をしていると言われ、全体で500万人が潜在患者とされています。
そもそも睡眠障害は90種類以上あると言われ、内科による診断が必要です。
睡眠障害はナルコレプシーやむずむず脚症候群、レム睡眠行動障害、PLMDなど様々です。

睡眠時無呼吸は全身にさまざまな悪影響を及ぼします。
高血圧、肥満、脳血管障害、不整脈、糖尿病等と関係があります。
睡眠時無呼吸症はメタボリックドミノの上流にあると言われ、各種生活習慣の中から睡眠時無呼吸が起こってきます。
放置すると、脳卒中や虚血性心疾患など様々な病気に発展する可能性があるため、早期に食い止めることが非常に大事です。

治療法としては、睡眠体位を工夫する、減量、禁酒、外科療法、CPAP、マウスピースが考えられます。

歯科で行われるマウスピースによる治療は、CPAPがうまく生活に馴染まない場合などに有効です。

医科による診断の元に行われます。

レントゲンでお口の状態を調べ、歯型を取り、マウスピースを作成し、それを使いながら調整して合わせて行きます。

マウスピースで効果が出やすい症例と効果が出にくい症例とあるので、スクリーニング検査が必要です。

マウスピースで効果が出やすいのは、比較的痩せ型で軽症の睡眠時無呼吸症の場合です。

マウスピースで治療効果が出ない場合は外科治療が適用となる場合もあります。

マウスピース治療でのデメリットは、長期に使用すると噛み合わせが変わってしまうことがあると言うことです。

噛み合わせが変わってしまうケースではマウスピースの使用を中止するしかありません。

噛み合わせが変わるのを防ぐために、夜間はマウスピースをはめて寝た後、朝起きてから寝る前の噛み合わせに戻るように意識して噛むことが大切です。
寝ている間はマウスピースにより下顎を前に出すような位置に意図的に移動させているため、上下の歯の当たる位置が変わってきます。

下を前に出した位置で固定することで、軟口蓋や舌が喉の奥に落ち込むのを防ぎ、息の通り道を確保しているのです。

重度の睡眠時無呼吸症の場合は大学病院での治療をお勧めします。大学病院では内視鏡を使った検査や、内視鏡を使ったマウスピースの制作をしているので、より重度の症例には適しています。

軽症なら一般の歯科でも対応できるとされるので、睡眠時無呼吸症で悩んでいる方は是非歯科医院にもご相談ください。

以上、本日は睡眠時無呼吸症に対する歯科治療をお伝えしました。

大阪府 堺市中区 Miho歯科医院
歯科医師 前原美保
https://mihoshika.com