皆さんは、TCH(歯列接触癖)という病気をご存知でしょうか?まだあまり広く知れ渡っていない病名だけに、詳しく知らない方も多いことかと思います。そこで今回はTCHの原因や症状、認知行動療法による治療法などをわかりやすく解説します。
▼TCHとは?
TCHとは、日本語で歯列接触癖(しれつせっしょくへき)といいます。その名の通り、上下の歯列が接触する習癖です。歯は上下の歯列で噛み合うために存在するので、特に異常はないのでは?と思われるかもしれませんが、それは食事をしているときだけです。食事以外の時間でも上下の歯列が接触しているのは、異常な状態と判断できます。
▼歯列が接触するのは1日に20分程度
私たちヒトの歯列は、1日にトータルで20分程度しか接触していません。その大半は食事のときで、他に会話をしているときなども歯列接触することがあります。ともあれ、全部合わせてたったの20分しか接触していないことに驚かれる方も少なくないことでしょう。逆に、20分以上歯列が接触するような習癖があると、お口の周囲にさまざまな悪影響が及ぶことがあります。
▼歯や顎関節に過剰な負担がかかる
食事をしているときの歯列接触は、間に食べ物が介在しているので、歯や顎にかかる負担はそれほど大きくありません。けれども、何も口にしていないときの歯列接触は、歯や顎関節、顎周囲の筋肉に過剰な負担がかかることから、さまざまな悪影響が及びます。
具体的には、歯の摩耗や顎関節症、顎の筋肉の疲労などです。歯科医院では、そういったTCHによる悪影響を防止するために、認知行動療法を行うことがあります。
▼認知行動療法とは?
認知行動療法とは、TCH以外にもいろいろな病気で行われる治療法です。病気について認知してもらって、意識的な行動をとることで症状の改善を目指していく方法です。TCHであれば、まず歯列接触による悪影響を理解してもらいます。その上で、意識的に歯の接触を控えるよう、歯を離す、脱力する、口を開けるといった行動をメモ書きなどしてもらいます。歯列接触が起こった際には、その目も見て行動に移してもらいます。それを習慣化されることで、徐々に歯列接触癖が改善されていきます。
▼まとめ
このように、TCHは認知行動療法によって改善することが可能です。TCHは、歯の摩耗や顎関節症など、大きな悪影響を及ぼし得る習癖なので、可能な限り早期に治療を受けましょう。ケースによっては、その他の治療法が選択されることもあります。