子供の虫歯予防と大人の虫歯予防は気を付けることが違うのか?

日本でも「虫歯は予防するもの」という考え方が徐々に広まりつつあります。実際、虫歯予防のために毎日のオーラルケアに力を入れたり、定期検診に通ったりよる人が増えてきています。そこで気になるのが子供と大人の虫歯予防の違いですよね。お口の中の環境は年齢によって大きく変化するので、ケアの方法も変えなければなりません。そこで今回は、子供の虫歯予防と大人の虫歯予防で気を付ける点の違いをわかりやすく解説します。

▼乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすい

子供のと大人の虫歯予防を考える上で、まず「乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすい」という点をしっかり意識しましょう。子供の歯の方がそもそも虫歯のリスクが高いのですから、より一層ていねいなオーラルケアが必要となります。そこで大切なのが「なぜ虫歯になりやすいのか」という点です。

▼子供の歯は未成熟

子供の歯は、大人の歯と同じようにエナメル質と象牙質で構成されています。けれども、エナメル質を作っている粒子が小さく、歯質が全体的に未成熟な状態となっています。これが永久歯よりも虫歯になりやすい原因です。そこで子供の虫歯予防では、未成熟な歯質を強化する点に力を入れることをおすすめします。

具体的には、歯科医院で受ける「フッ素塗布」ですね。フッ素というのは、歯の再石灰化を促したり、歯質を強化したりする作用が期待できるので、乳歯の虫歯予防には最適です。日常的に使用する歯磨き粉もフッ素入りのものを活用しましょう。

▼奥歯に汚れがたまりやすい

乳歯の奥歯は、永久歯よりも汚れがたまりやすくなっています。これは奥歯の噛む部分の溝が永久歯よりも複雑だからです。そのためしっかり歯磨きできているような気がしても、奥歯の溝に汚れが残り、虫歯を発症してしまうことも珍しくありません。そういった乳歯の虫歯リスクは「シーラント」という処置で大きく低下させることができます。レジンなどの材料で奥歯の溝を埋めてツルツルにします。その結果、汚れがたまりにくい状態を作り上げることができるのです。

▼まとめ

子供の虫歯予防と大人の虫歯予防では、気を付ける点が異なりますので、上述したことを踏まえた上でオーラルケアに努めましょう。どちらかというと子供の虫歯予防の方が大変といえます。大人の虫歯予防は、歯医者さんのいうことをしっかり聞いて、毎日のオーラルケアに生かすことで良い結果が得られやすいですよ。

歯科医院での麻酔について

歯科治療ではいろいろな場面で「麻酔」を施すことがあります。最も一般的なのはむし歯治療ですね。歯ぐきに注射針を刺して麻酔液を投与するあの麻酔処置です。おそらく、苦手としている人も多いことでしょう。今回はそんな歯科医院での麻酔について、わかりやすく解説します。

▼麻酔処置が必要な理由

麻酔は痛いので、出来れば受けたくないという方もいらっしゃいますよね。腕に打つ注射であっても怖いのに、それを歯ぐきに打つなんて信じられない、と感じても仕方のないことといえます。けれども麻酔を打たなければ、もっと痛い思いをするのも確かですよね。麻酔なしでむし歯を削るとなると、それはもはや拷問に近いものとなります。ですから、歯科治療における局所麻酔というのは、メインの処置である歯の切削を快適に受けるためには、欠かすことができないのです。

▼表面麻酔で痛みを軽減

当院では、麻酔処置に伴う痛みを軽減するため、事前に表面麻酔を施しています。ジェル状の薬剤を歯ぐきに塗ることで感覚がマヒするので、麻酔注射の痛みを感じにくくなります。いわば「麻酔のための麻酔」ですね。そうしたていねいな麻酔処置を行えば、不快な思いをすることもほとんどなくなります。

▼歯科治療恐怖症の方への麻酔

歯科治療が怖くてどうしても歯医者さんに行けない、という方には、笑気麻酔や静脈内鎮静法といった麻酔が推奨されます。こういった麻酔は、局所麻酔とは異なり、鼻から吸引したり、腕の静脈から投与したりします。いずれも気持ちを落ち着かせ、リラックスした状態で歯科治療を受けられるようになります。歯科治療恐怖症でなくても、インプラントのような強い緊張を強いられるような治療では、よく用いられる麻酔法といえます。

▼麻酔処置に注意が必要なケース

過去に歯科麻酔で体調を崩された経験がある方は、事前に歯科医師へ伝えるようにしましょう。もしかしたら麻酔薬に対するアレルギーがあるかもしれません。また、高血圧症や糖尿病など、全身疾患を持たれている場合も、麻酔処置の際に注意が必要なことも多いので、あらかじめ歯科医師と相談しておくことが重要です。

▼まとめ

このように、歯科治療には麻酔処置が必要となる場面も多く、不安に感じることも多いことかと思います。ただ、歯科医師は麻酔に関してもしっかりとした知識がありますので、その点はご安心ください。麻酔で体調が変動するような全身疾患をお持ちの場合は、事前にしっかりお伝えくださるようお願い申し上げます。

大きな虫歯でも神経を抜かずに治療する方法

虫歯は進行すると、歯の神経に症状が現れてきます。冷たいもの、温かいものがしみてジーンとしたり、何もしなくてもズキズキと痛みます。専門的には「歯髄炎(しずいえん)」と呼ばれる症状です。歯髄炎を発症すると、基本的には神経を抜かなければならないのですが、治療法によっては神経を抜かずに済むことがあります。今回はそんな神経を保存する治療法についてわかりやすく解説します。

▼なぜ神経を抜かなければならないの?

大きな虫歯では、「抜髄(ばつずい)」と呼ばれる神経を抜く処置が行われます。歯に限らず神経というのはとても大切な組織なので、それを抜いてしまうことに抵抗を覚える人も少なくないでしょう。けれども、神経の症状が出ているということは、歯髄にまで感染が疑われることから、抜いてしまった方が安全といえるのです。ただし、ケースによっては神経を抜かずに済むこともあります。

▼神経に感染が広がっていない

歯髄炎のような神経の症状が現れていても、まだ歯髄に感染が起こっていない場合があります。とても大きな虫歯でも、神経がある場所の歯質はまだ残されていれば、細菌感染していない可能性が高まります。そういったケースでは、虫歯を取り除いたあとに、薬剤を塗布して歯髄炎の症状を抑えます。その後、問題がなければ被せ物などを装着します。

▼乳歯に行われる生活歯髄切断法

乳歯は、次に生えてくる永久歯のために、出来る限り神経を残す必要があります。そこで良く行われるのが「生活歯髄切断法(せいかつしずいせつだんほう)」です。これは乳歯の大きな虫歯に対して、神経の一部分のみ抜髄する処置です。結果的に、根っこの部分の神経を保存できることから、次に生えてくる永久歯への悪影響を最小限に抑えることが可能となります。

▼幼若永久歯も神経の保存が優先される

生えて間もない大人の歯を「幼若永久歯(ようじゃくえいきゅうし)」といいます。幼若永久歯は、歯根が未完成なので、歯の神経を抜いてしまうのは非常にリスキーといえます。そこで行われるのが「アペキソゲネーシス」と呼ばれる治療法です。乳歯における生活歯髄切断法とほぼ同じ治療法で、根っこの部分の神経を残します。そうすることで、歯根の発育を完了させることができます。

▼特殊なセメントで神経を保護する

MTAセメントを用いて神経を保護することで、神経を抜かずに治療を終えることができる場合もあります。MTAは1988年頃から登場したと言われます。歯を削った後に神経に近い部分に詰めても、後々になって神経が壊死したり炎症を起こしたりしにくいものです。歯の神経を緊密に封鎖し、また菌の侵入を防ぐことができます。これまで、神経に近い大きな虫歯の治療をする際に、神経を保護する材料として水酸化カルシウム製剤や3Mix,3Mix-MPなどがの薬剤がありましたが、それらを注意深く使用しても良好な予後が得られるとは限りませんでした。MTAセネントではセメントの成分が水と反応して水酸化カルシウムが生成され、それによって強アルカリになることで細菌を寄せ付けず抗菌性がアップすると言われています。一旦固まるとかなり安定した硬さになりますので、長期に渡って痛みが出ないのもポイントです。ただし、MTAセメントは高価な材料で今のところ日本の健康保険適用ではありません。自費治療で費用を負担して治療を受ける必要があります。また、きちんと結果を出そうとするならばルーペやマイクロスコープなどを使った拡大精密治療で治療を受けるほうが良いでしょう。いくら良いセメントを使ったとしても肉眼治療では精度に限界があるからです。

▼まとめ

このように、大きな虫歯であってもケースに応じて歯の神経を残すことが可能です。歯髄の保存療法を適応できるかどうかは、ケースバイケースとなっておりますので、まずは精密に検査する必要があります。歯髄を保存する治療をご希望の場合はまずは検査を受けて自分がその適用かどうか診断してもらいましょう。

オーラルフレイルの予防について

皆様、こんばんは。

先日、6/23に大阪市内にて、

当院勤務の歯科衛生士の田河が講師を務めるセミナーが開催され、

多くの歯科衛生士が受講に訪れて下さいました。

テーマは「オーラルフレイル」です。

最近はテレビ等メディアにて「フレイル」=虚弱 という言葉を耳にする事も増えてきたかと思います。

 

 

私達歯科医師の仕事の重要な役割として「オーラルフレイルを予防する」ということが挙げられると思います。

「噛む」機能の低下により食生活に偏りが生じ、栄養が十分に摂取できないことが、全身の健康状態を悪くしてしまいます。

日本老年医学会にてこの問題は取り上げられてきております。

 

「なんでも美味しく食べられる」ことは人生を豊かなものとし、食生活を楽しく充実した時間としてくれます。

 

今は食べるものが溢れかえる飽食の時代ですから、例えば歯を何本か失ったり大きく穴が開いてうまく噛まなような状況にあっても、「食べられる物」を「探して」食べれば、取り敢えずは空腹だけは避けられてしまいます。

しかしながら、日本においては特に「寝たきり」「要介護」が問題とされておりますが、「空腹を満たす」だけで「しっかりと咀嚼して栄養を食物から摂取しやすい状態」での食事が十分に行われないと、「健康寿命」の延伸は難しいでしょう。

平均寿命と健康寿命の差は、女性では特に12年程度は開きがあると言われております。

なんら制限されることなく、人生を謳歌する時間が長くなることこそが、真の健康と言えるのではないかと思います。

日曜にも関わらずこのように多くの歯科衛生士が受講され、医院でそれぞれオーラルフレイルの予防に取り組んでいただけたらと思います。

 

セミナーは大好評でして、追加講演の開催が決定しております。

 

この後、大阪でも8/18に再度開催される予定となっております。

 

当院でも「咀嚼機能検査」は実施しております。

お口の状況により、保険適用されるケースと、保険適用外で自由診療のメニューとして行っているものとあります。

検査内容は、保険のものと自由診療のものでは異なります。

詳しくはお問い合わせください。

予防歯科のお話☆

こんばんは!
NHKで22時から放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀」に、山形県酒田市の熊谷崇先生が取り上げられました。
http://www.nhk.or.jp/professional/2014/1027/index.html
熊谷先生は、私が学生時代から尊敬していた先生o(^_^)o
10年前になりますが、山形県酒田市まで実際に診療室の見学と研修に行ったことがあります。
オーラルフィジシャン養成セミナーです。
11月末のとても寒い日…雪で新幹線が止まってしまい、在来線を乗り継いで秋田まで回ってから山形に行った思い出があります!
2014-10-28-00-47-25
熊谷先生の講演には何度も足を運びました。
これは、その時の懇親会の時の写真です(^ ^)
今回、こうしてテレビで熊谷先生が取り上げられて嬉しいです。
虫歯は予防ができるんですよ!
皆さんにもっと知っていただきたいです。
悪くなってから治せばいい、それって、圧倒的に不利なんです。
歯科治療は殆どが以前の治療のやり直し。
再治療になる度に自分の歯を削って、平均して5回目の治療で抜歯になってしまいます。
治療すればするほど歯が弱くなります
そもそも虫歯にならないようにするにはどうするか、そちらの方が大事なんですよ(^ ^)
ご自身のホームケアを徹底し、それとともに専門家によるプロフェッショナルケアが大切です!!!
当院でも、定期的なメンテナンスを行い、ご自身の歯を一生使っていただけるよう、常勤衛生士2名、非常勤衛生士1名が現在対応に当たっております。
患者様には少し大変かも知れませんが、虫歯や歯周病を見逃さないように、詳細なレントゲン検査や、歯科用に色調調整されたデジタル一眼レフカメラによる口腔内写真を撮影し、記録を残しながらお口の管理を行っています。
自分の歯がいちばん快適ですよね!
悪くなる前に、歯のメンテナンスを始めましょう(^ ^)